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アレックス・タバロック「高校の授業に Zoom爆撃してみた」(2020年4月10日)

[Alex Tabarrok, “Zoom Bombing a High School Class,” Marginal Revolution, April 10, 2020]

現代マクロ経済学の原理』を使っている高校の授業に「Zoom爆撃」してみた.ウイルス感染の経済学を通常の経済学に関連づけるとお役に立つんじゃないかと思ったんだ.そこでぼくが言ったこと:
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アレックス・タバロック「忘れられた1957年パンデミックと景気後退」(2020年3月24日)

[Alex Tabarrok, “The Forgotten 1957 Pandemic and Recession,” Marginal Revolution, March 24, 2020]

1957年のアジアインフルエンザ・パンデミックでは,アメリカ国内で7万人~10万人の死者が出た(57年インフルエンザは COVID-19 ほど感染率も死亡率も高くなかった).1957年の第4四半期に,経済成長率(年率換算)は -4% になり,翌58年の第1四半期には -10% まで落ちた.これは,第二次世界大戦後では最大の成長率低下で,のちの金融危機のときよりも大きい.だが,1958年の第3~第4四半期に成長率は大きくもどして 10% 近くにまで上がった.通年でみると,GDP の低下は 1% 未満となっている―――悪い景気後退にはちがいなく,第二次世界大戦後では3番目に深刻ではあったけれど,前例がないような景気後退ではなかった.
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アレックス・タバロック「マスクが足りない? 市場にまかせよう」(2020年3月23日)

[Alex Tabarrok, “Let the Markets Work,” Marginal Revolution, March 23, 2020]

多くの人が大統領は「国防生産法」(Defense Productions Act; DPA) を用いるべきだって言っているけれど、現実には、国防生産法はとりたてて有用でもないし必要不可欠でもない。各種の市場はすでに急速かつ洗練されたかたちでリソースの再配分を行なっている。品物の不足は、その大部分が一時的な需要の増加によるものだ。いま、店頭の棚にはふたたび品物が揃いつつある。食品は潤沢にある。手指の消毒剤と手洗い用石鹸は、店頭まで届けられつつあるか、すでに並べられている。トイレットペーパーが品切れになることはない。CDC と FDA が認可したことで、検査キットは増産中だ。
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アレックス・タバロック「1918年インフルエンザパンデミックの持続的な影響」(2020年3月10日)

[Alex Tabarrok, “The Lasting Effects of the 1918 Influenza Pandemic,” Marginal Revolution, March 10, 2020]

[いままで記事の冒頭に閲覧注意の警告をおいたことなんてなかったけれど,いまの状況では,子供を授かる予定がある人たちがここに出てくる情報を読むと不安を覚えたり気を悪くしたりするかもしれない.いまのパンデミックが1918年当時ほど悪くなるとは思わない.また,天気がぼくらにとって良い方にはたらくことを願っているし,タイラーが論じたようにアメリカが本格的に対応をはじめることも願っている.ぜひ,「1918年-1919年のパンデミックで有効だったのは?」(原文)も読んでほしい.あちらにはもっと前向きなメッセージがある.]

1918年インフルエンザパンデミックがアメリカでもっとも猛威を振るったのは,1918年10月のことだ.その後4ヶ月間でインフルエンザによって死亡した人々の数は,20世紀に戦闘で死亡したアメリカ人の数を超えている.パンデミックは急速に展開する.このため,生まれるタイミングがほんの数ヶ月ちがっただけで,赤ちゃんが子宮内で経験する環境は大きく異なっていた.とりわけ,1919年生まれの赤ちゃんたちは,1918年生まれや1920年生まれの赤ちゃんたちよりもずっと大きな度合いで,子宮内でインフルエンザにさらされることとなった.1918年インフルエンザによって急激に相違が生じたことで,ダグラス・アーモンドは長期的な影響を検証する機会を得た.その成果が「1918年インフルエンザ・パンデミックは終わった過去か?」だ.

アーモンドは,〔赤ちゃんがインフルエンザに〕接触してから何十年ものちに大きな影響が見られるのを発見している.

1960年・1970年・1980年の国勢調査の記録を見ると,〔1918年パンデミック当時の〕胎児の健康状態は,ほぼあらゆる社会経済的な結果に影響している.パンデミック当時に子宮にいた場合,男女ともに学業成績が不連続的な大幅低下を示している.感染しいた母親の子供は,高校を卒業する確率が最大で 15% 低くなっている.男性の賃金は,感染によって 5~9% 少なくなっている.社会経済的な地位は(…)大幅に低下していて,貧しくなる確率は,他の世代に比べて 15% も上昇している.公共の福祉受給額も同じく上昇している.

一例として,下記のグラフを見てもらいたい.これは,1980年時点の男性の身体障害率を示している.1980年当時に60歳前後だった男性を生まれた四半期別にまとめてある.1919年の1月~9月に生まれた世代は,「パンデミック当時に子宮内にいた.この人々は,61歳で身体障害をもつ確率が 20パーセント高くなると推定される(…).」

さらに,下記の図3 は,1960年の平均就学期間〔学校に通った年数〕を示している.ここでも,1918年生まれの人々では明らかに年数が下がっている.ここで留意してほしいのが,当時妊娠していた女性がみんなインフルエンザに感染したわけではない点だ.つまり,〔当時の赤ちゃんが〕インフルエンザに接触した実際の影響はこれよりもっと大きく,就学期間がおよそ5ヶ月短くなっている.その大半は,卒業率の低下というかたちで現れている.

身体障害率が高くなり教育水準が下がるということは,政府が支払うお金がもっと増えるということだ.これを示しているのが下記の図だ.

アーモンドは,こうした支出に福祉給付のラベルを付けているけれど,これは少しばかり誤解を招くラベルかもしれない――これらは1970年だと社会保障障害給付 (Social Security Disability payments) だった.アーモンドは次のように記している:

女性と非白人への平均支払額をプロットしたのが図8だ.平均福祉給付は,女性も非白人も1919年生まれで12パーセント大きくなっている.母親がインフルエンザに感染した子供では,およそ3分の1高くなっている.四半期にわけて生まれたタイミングに注目すると,こうした支払い額の増加は,1919年の4月から6月に生まれた人々への支払いが大きくなっていることで生じているのが明らかになる.

とくに障害の度合いが高い男女は1970年以前になくなっていたかもしれない.つまり,ここで言われているのは障害の影響の最低ラインだ.

アーモンドは他に考えうるさまざまな要因を検証して除外しているため,子宮内での接触が重要に思える.たとえば,1918年の子供たちは,1920年の子供たちとさして変わりがないように見える.つまり,インフルエンザで体の弱い子供たちが1918年にバタバタと亡くなってしまったわけではない.

アーモンドは,たんに歴史のいちエピソードとして1918年パンデミックに関心を抱いたわけではなく,乳幼児の健康と乳幼児の保険プログラムは費用対便益の比率が高いと主張するためでもあった.後者は,いまなお意義のある教訓だ.

多謝: Wojtek Kopczuk.

アレックス・タバロック「1918年-1919年のパンデミックで有効だったのは?」(2020年3月7日)

[Alex Tabarrok, “What Worked in 1918-1919?” Marginal Revolution, March 7, 2020]

1918年のインフルエンザパンデミックは,人類を苛んだ史上最大の感染拡大だった.死者数は世界でおよそ 4,000万人にのぼった.これには,合衆国での死者 55万人も含まれる.現代のパンデミックに対して,公衆衛生対応策と並行して公衆衛生の便益を最大化しつつパンデミックが社会にもたらす混乱の影響を最小限にとどめようとの対応を計画するにあたって,1918年~1919年のパンデミックから得られる教訓は適用できるだろうか?

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アレックス・タバロック「電気を権利扱いすることの帰結」(2020年3月5日)

[Alex Tabarrok, “The Consequences of Treating Electricity as a Right,” Marginal Revolution, March 5, 2020]

貧しい国々では,電気料金が安い.あまりに安くて,「電気を1単位売るたびに電力事業はお金を損する」ほどだ.その結果として,使用量割り当てや電力不足が日常茶飯事になっている.Journal of Economic Perspective の共著論文で,Burdgess, Greenston, Ryan, Sudarshan はこう論じている――「こうした電力不足は,電気を権利として扱って私的財として扱わないことの帰結として生じる.」
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アレックス・タバロック「英語のポップソングは悲しみと怒りが色濃くなってきてる」(2020年2月17日)

[Alex Tabarrok, “Pop Songs are Getting Sadder and Angrier,” Marginal Revolution, February 17, 2020]

AEON: 英語圏のポップソングは,だんだんネガティブになっている.ネガティブな情動に関連する単語の使用頻度が,1/3 以上も増えている.一例として,ビルボードのデータセットをとりあげよう.歌一曲あたり平均 300語が使われていると仮定すると,ヒット曲の上位 100曲の歌詞は毎年 30,000語使うことになる.1965年に,否定的な情動に関連した単語はおよそ 450ほどだった.2015年に,その数字は700以上になっている.その一方で,同じ期間に,ポジティブな情動に関連した単語は減少している.1965年の歌には,ポジティブな情動の単語がおよそ1,750語あったのに対して,2015年にその数はたった 1,150ほどにまで減っている.ここで気にとめておきたい点がある.絶対数でみると,ネガティブな情動に関連した単語よりもポジティブな情動に関連した単語の方がいつでもより多く現れているのだ.これは人間の言語に普遍的に見られる特徴で,「ポリアンナ原則」と呼ばれている(ポリアンナはその名前を冠した小説の主人公で,いつでも完璧に楽観的な女の子だ).これが逆転するとは,まず予想しがたい:その上で言うと,問題なのは変化の方向だ.

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アレックス・タバロック 「迂回賄賂」(2014年2月17日)

●Alex Tabarrok, “Indirect Bribing with Plausible Deniability”(Marginal Revolution, February 17, 2014)


ステファノ・デッラヴィーニャ(Stefano DellaVigna)&ルーベン・デュランテ(Ruben Durante)&ブライアン・ナイト(Brian Knight)&エリアナ・ラ・フェラーラ(Eliana La Ferrara)の四人の共同研究の成果をまとめたワーキングペーパーより。

・・・(略)・・・本稿では、1994年から2009年までの期間を対象に、イタリア国内の民間企業が支払った広告費の変遷を検証する。1994年から2009年までというのは、シルヴィオ・ベルルスコーニが断続的に計3度にわたってイタリアの首相を務めていた時期にあたるが、ベルルスコーニは首相の地位にある間も、イタリアを代表する民間放送局グループであるメディアセット(Mediaset)のオーナーの座から退かずにいた。政府のご機嫌をとろうとする企業は、ベルルスコーニ首相がオーナーを務めるテレビ局のスポンサーになろうとするのではないか。〔広告費を支払うのと引き換えに、政府から政策面で何らかの便宜を図ってもらおうとするのではないか。〕そのように予測されることになるが、実際のデータもそのことを裏付けている。ベルルスコーニの首相在任中に、メディアセットが擁する民放チャンネルに広告費を支払う動きが勢いを増しているのである。規制の多い業界に属する企業ほど、その傾向が強いことも見出されている。・・・(略)・・・

ベルルスコーニのアメリカ版がリンドン・ジョンソン(第36代アメリカ合衆国大統領)だ。ラジオ局のオーナーだった妻のレディ・バードの力を借りて、同じ手口で財を築いた(私腹を肥やした)のだ。 ロバート・カロ(Robert Caro)が(リンドン・ジョンソンの伝記である) 『Means of Ascent』(「成り上がる術」)の中で次のようなエピソードを紹介している。

とあるビジネスマンは語る。「お役所から仕事を受注したいなら、リンドンにそのための力添えをしてもらいたいなら、彼が所有するラジオ局のスポンサーになればいいってことは誰もが知るところでしたよ」。

この件については、ジャック・シェーファー(Jack Shafer)がこちらの記事で――カロの上記の本を踏まえつつ――もう少し詳しくまとめているので、あわせて参照されたい。

情報を寄せてくれたジョン・バン・リーネン(John van Reenen)に感謝。

アレックス・タバロック 「ウォー・ポリティクス ~国内景気、戦争、大統領選挙~」(2004年4月14日)

●Alex Tabarrok, “War Politics”(Marginal Revolution, April 14, 2004)


あれは1995年のこと。経済学の世界で最も権威のある学術雑誌であるアメリカン・エコノミック・レビュー誌に一篇の論文が掲載された。その論文とは、“War Politics: An Economic, Rational-Voter Framework”。著者はグレゴリー・ヘス(Gregory Hess)&アタナシオス・オルファニデス(Athanasios Orphanides)の二人。アメリカン・エコノミック・レビュー誌の長い歴史の中でも一二を争うくらい物議を醸した論文の一つだ。

「国内経済の舵を取る能力」に「戦争を指揮する能力」。有権者はその二つのマネジメント能力を行政府の長(大統領)に求める。本論文ではそのようにモデル化されている。二期目を狙う現職の大統領が再選を果たすためには、「国内経済の舵を取る能力」と「戦争を指揮する能力」の二つのマネジメント能力の面で挑戦者(対立候補)よりも秀でていることを有権者に納得してもらわねばならないというわけだ。 [Read more…]

アレックス・タバロック「透明性を高めすぎると世の中いっそう不透明になる」(2020年1月10日)

[Alex Tabarrok, “Too much transparency makes the world more opaque,” Marginal Revolution, January 10, 2020]

『ニューヨークタイムズ』のキャスリン・キンズバリーの論説ページを見ると,誇らしげにこう宣言している――これまで伝統的に,選挙の候補者たちとオフレコで話したあとに,自分たちが支持する候補を公表するやり方をとってきたけれど,今後は完全に「透明に」するんだそうだ.
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