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アレックス・タバロック「貧しい眠りは家も貧しくする:インド標準時のコスト」

Alex Tabarrok “Poor Sleep Makes People Poor: The Costs of India Standard TimeMarginal Revolution, February 5, 2019

独立後,インドは国土全体に単一の時間帯を採用した。インドは東西1,822マイルにまたがり,これは経度で29度に相当する。15度ごとに時間帯を分けるという慣習にインドが従っていれば,インドには少なくとも2つの時間帯があったことになる。時間帯が1つしかないことで,東では一番西よりも二時間早く日が昇るということがあり得る。

モーリク・ジャグナニは,その独創的かつ驚きの論文の中で,インドの単一の時間帯は睡眠の質,特に貧しい子供のそれを下げており,それによって彼らの教育の質を下げていると主張している。なぜ名目の変化が実質変数に影響を及ぼすのだろうか。学校はインド全土で大体同じ時刻に始まるが,日が沈むのが遅い場所では子供たちが床に就くのも遅い。そのため,西にいる子供たちは東にいる子供たちよりも睡眠が短く,これが彼らの教育水準,後々には彼らの賃金にさえ響くのだ! [Read more…]

アレックス・タバロック「字幕>吹替え」(2019年1月15日)

Alex Tabarrok, “Subtitling > Dubbing“(Marginal Revolution, January 15, 2019)

テレビ番組の翻訳技術が英語スキルに影響するか全世界的規模の分布を調査した。字幕付きオリジナル版の放送は大きなプラス効果があるのに対し、吹替え版では反対であることが、英語能力試験の点数において認められた。各国がどちらの翻訳方法を選択したのか歴史的背景を分析し、字幕指標の可能な内生性を説明するのに使用した。スキルタイプ別に分けると、テレビ番組は特にリスニング能力に有効なことがわかった。我々の論文は、外国語学習の上達方法として政府が字幕番組を推進することを提言している。

これは「テレビか否か:字幕の英語スキルへの影響( TV or not TV? The impact of subtitling on English skills)」からである。有益な調査結果を載せている賢い研究だ。

私たちのマージナル・レボルーション大学(Marginal Revolution University, or MRU)(教科書のリンクはこちら)のミクロ経済学原理およびマクロ経済学原理の動画は、英語、スペイン語、ヒンディー語、アラビア語、その他諸言語の字幕が付いているので、経済学のみならず語学を学ぶ手助けにもなるかもしれない、と私は言わずにはいられないのだ。

アレックス・タバロック「メキシコ国境沿い犯罪率」(2019年1月8日)

Alex Tabarrok, “Border Crime“(Marginal Revolution, January 8, 2019)

ケイトー研究所のアレックス・ナウラステ氏は、メキシコ国境沿いに位置する郡の犯罪率は、全米のその他地域と比較して低いと述べている。

もしアメリカ全土の犯罪率が国境沿い地域の2017年のものと同等であったならば、殺人事件は33.8%、窃盗事件は2.1%、そして暴力事件は8%低かっただろう。

もちろん、国境沿いの郡は国境に接していない郡に比べるとずっと田舎であるなどの違いがある。とはいえ、違法移民とアメリカ国民(American Blood)についての激しいレトリックに比べると、いくつかの事実は衝撃的だ。

アレックス・タバロック「FBIは取り調べを録画していない」(2018年12月24日)

Alex Tabarrok, “Why doesn’t the FBI videotape the interviews?“ (Marginal Revolution, December 24, 2018)

マイケル・ラパポート氏は、ロー・アンド・リバティー誌で次のように書いている。

取り調べ中に取り調べを受けている人物が嘘をついていると思ったら、政府に対して偽証したとしてFBIはその人物を起訴することができる。刑罰はかなり重い。合衆国法典第18編第1001条のもと、連邦政府に対するいかなる偽証も5年間の実刑の対象とされている。随分と長い刑期だ。

FBIはどうやって偽証を証明しているのだろうか?ビデオ録画していると思われるかもしれない。録画は偽証をしているかどうか証明するのに最高の証拠だ。だが、あなたがそう思っているとしたら、とんでもない間違いだ。

FBIは取り調べを録画していない。取り調べの録画を禁止するFBIガイドラインがあるらしいのだ。代わりに、FBIはもうひとり捜査官を取り調べに立ち合わせる。そして立ち会った捜査官は、取り調べ中に自分が取ったノートをもとに、第302書式Form 302)というレポートを提出する。

ここでは何が起こっているのだろうか?なぜFBIは録画を禁止して、代わりに取り調べの概要に頼るのだろうか?最も明らかな理由はFBIを贔屓してはくれないものだ。取り調べを録画していないなら、FBI捜査官は取り調べ対象の人物が偽証しているというFBI独自の見解で議論することができる。(被告人が法廷で証言したとしても)被告人よりもFBI捜査官のほうが信用されやすいので、この取り調べのやり方はFBIにとって有利である。逆に録画があると、裁判官や陪審員は偽証があったかどうかを自分で判断できてしまう。

現行法においてこれは憲法違反だという意見を持つひともいる。正当な法の手続き条項(the Due Process Clause)の解釈を巡って争われたマシューズ対エルドリッジ事件では、より正確な判断をもたらし、費用をかけるに値する別の方法があるならば、〔録画なしの取り調べは〕違憲であるとしている。録画の費用の低さを考えれば、正確さのために録画するのは便益が費用を上回るのは明白だろう。

バービー・シルバーグレイト氏のこちらの素晴らしい記事も参照されたし。

アレックス・タバロック「2018年の記事ベスト10」

Alex Tabarrok “The Top Ten Marginal Revolution Posts of 2018” Marginal Revolution, December 20, 2018


ページビュー数で測った場合,本ブログMarginal Revolutionの記事で今年最も人気があったのは,警官とそれ以外の人たちでは違った法律が適用されているという話だ。「刑務所釈放カード(Get Out of Jail Free Cards)」

2位は「タイラー・コーエンの人生のための12のルール(Tyler Cowen’s 12 Rules for Life)」だ。7番目のルールの「自らを傷つけるものから学ぶ術を学びなさい」に今日は目を引かれたが,リスト全体を通して多くの知恵に溢れている。

3番目に人気があったのは,タイラーでも私でもゲスト投稿者ですらない本ブログの読者からのコメントだ。「主要IT企業で働くことに関してとある頭の良い人の見解(One smart guy’s frank take on working in some of the major tech companies)」

お気に入りの記事のうちの一つが4位に入った。「”The Profit”からの教訓(Lessons from “The Profit”)」 The Profitの新シーズンが始まったが,いまだに面白い。産業組織論の経済学者なら必見だ。

5位もお気に入りの一つだ。 [Read more…]

アレックス・タバロック「スポーツ選手のタトゥーの著作権は誰のもの?」

Alex Tabarrok, “Athletes don’t own their tatoos“(Marginal Revolution, December 28, 2018)

ニューヨークタイムズ紙の記事有形的表現媒体に固定されている」創造的イラストは如何なるものも著作権を有している。アメリカ合衆国著作権局によれば、これはひとの皮膚上にインクで表示されたものも含む。しかし、法律専門家が指摘するように多くのひとが誤解しているのは、タトゥーの著作権はタトゥーをしているひと本人ではなく、タトゥーアーティストのものだということだ。

タトゥーアーティストの中には著作権を企業に売却した者もおり、それら企業はゲームに出てくるスポーツ選手のタトゥーがそっくりに表示してあるとしてゲーム制作会社を現在訴えている。

Solid Oak Sketches社は、3人のバスケットボール選手から5つのタトゥーの著作権を取得した、レブロン・ジェームズ選手の肖像と市内局番1 も込みで。NBAオフィシャルゲームソフトであるNBA2Kシリーズにこれらタトゥーが〔無断に〕使用されているとして2016年に訴訟を起こす前のことである。
この企業は訴訟前に過去の著作権侵害について81万9500米ドル、将来の使用料として114万米ドルの取引を試みていた。
このような脅しを回避するために、現在ではスポーツ選手たちはタトゥーを入れる前にタトゥーアーティストからライセンスをあらかじめ得るようにと忠告されている。
  1. 訳注:ジェームズは出身地の番号を自身の出生の表現として使用している []

アレックス・タバロック 「バンクシーの真意やいかに? ~1枚60ドルで売ります~」(2013年10月15日)

●Alex Tabarrok, “Banksy Comments on the Nobel Prize?”(Marginal Revolution, October 15, 2013)


Mashable: ストリートアーティストとして知られるバンクシー(Banksy)の絵が土曜日にニューヨークのセントラルパークで路上販売された。露店で売りに出されたのは万ドル単位相当の値打ちがあると見積もられている作品ばかりだが、そのお値段は1点あたりなんとわずか60ドル。

その模様はバンクシーの公式サイトで映像付きで報告されているが、記念すべき最初の売り上げにたどり着くまでに開店から数時間を要したという。最初の購入者は女性。値引き交渉の末に2点の作品を半額で購入していったという。午後6時に店が閉じられるまでに絵を購入していったお客の数は合計で三名。一日の売上高(売り上げ総額)は420ドルにとどまったらしい。

ちなみに、バンクシーの作品のうちで『Space Girl & Bird』は2007年にオークションで57万8000ドルの値がつけられており、『Keep it Spotless』は2008年に187万ドルで落札されている。

ファーマ&シラー&ハンセンの三人――「資産価格の実証分析」への学術的な貢献が讃えられて本年度(2013年度)のノーベル経済学賞を共同で受賞した三人――なら上の結果について何てコメントするだろうね?

複製不可能な作品(アート作品)を売って得られる儲けを最大化する(一つでも多くの作品をできるだけ高値で売りさばく)というのはマッチングの問題の一種であり、「この作品を手に入れるためなら誰よりも金を出してやる」と意気込む相手(買い手の候補)を世界中から探し出す努力が欠かせない(この点について詳しくは “An Economic Theory of Avant-Garde and Popular Art”(pdf)を参照のこと)。・・・という観点からすると、上の結果はマーケティング(宣伝)の失敗として説明がつけられるかもしれない。

「現代芸術(モダンアート)はバブルに彩られている」という別の説明も考え得る。将来的に誰かに(自分が買った時よりも高い値段で)売ってしまえるだろうと予想するからこそ買う。そうじゃなければモダンアートなんて買わない、というわけだ(ファッション感覚で買ったり流行に乗って買うというのもバブルを後押しする働きをする可能性があるが、それでもやはり将来的にいいカモ買い手が見つかる(高値で転売できる)に違いないという予想に支えられている点では変わりがない)。

あるいはバンクシーとしては(「シグナリングの理論」の分野を開拓した)別のノーベル経済学賞受賞者の業績に目を向けよと言いたいのかもしれないね。

マーク・ソーマ 「消費経済の歴史は想像以上に古い?」(2005年9月8日)/ アレックス・タバロック 「自壊する絵 ~本物のアーティストがここに~」(2018年10月6日)

●Mark Thoma, “The Consumer Driven Economy”(Economist’s View, September 08, 2005)


消費経済(消費者主導の経済)の歴史は思っていたよりも古いようだ。


上の画像は大英博物館が公表した「嘘っぱち」の洞窟壁画。大英博物館に展示されていた作品で原始人がショッピングカートを押す姿が描かれている。作者は匿名の「アート・テロリスト」ことバンクシー(Banksy)。大英博物館に無断でこっそり置いていったという。・・・(略)・・・〔全文はこちら1

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●Alex Tabarrok, “Banksy is the Real Deal”(Marginal Revolution, October 6, 2018)


Hyperallergic: 金曜日の夜にロンドンで開催されたオークションでバンクシーの作品が「自壊」した

競売大手のサザビーズが取り仕切るオークションの午後の部の締め括りとして登場した(バンクシーの代表作である)『少女と風船』(2006年制作)。「95万3829ポンド(約1億4000万円)!」という印象的な掛け声とともにオークションは終了。

キャスターライン・グッドマンギャラリーの創業者であるロバート・キャスターライン(Robert Casterline)もオークション会場にいた一人。我々の取材に対して落札直後に何が起こったかを説明してくれた。「オークションの終了を告げる小槌が打ち鳴らされた瞬間でした。額縁の内側から警報音が鳴り響いてきたんです」。会場は「大混乱」。

「百万ドルを超える値で落札され、私も含めて聴衆の面々が席に座ろうとしたその時です。絵が突然動き出したんです」とキャスターライン。作品が収められている額縁もバンクシー本人が用意したものであり、シュレッダーが仕掛けられていたという。作品が落札されるやシュレッダーが作動して絵をバラバラに裁断し出したというのだ。「はじめのうちはすっかり混乱して何がなんだかわかりませんでしたが、しばらくすると興奮に襲われて震えましたね」とキャスターライン。

サザビースの現代アート部門(欧州地域)の責任者を務めるアレックス・ブランクチク(Alex Branczik)がアート・ニュースペーパーの取材に応じているが、どうやら彼も会場にいた一同と同じくらい仰天したようだ。

バンクシーって天才だね。

  1. 訳注;リンク切れ。ちなみに、バンクシーが件の作品を大英博物館に無許可で置き去ったのは2005年のことだが、今現在は晴れて「許可を得て」大英博物館に置かれているとのこと。大英博物館にて開催中の展覧会(会期は2018年9月6日~2019年1月20日)で正式な作品として展示されているらしいのだ。 []

アレックス・タバロック 「誰が彼を責められようか?」(2004年8月31日)/「『メタ』パフォーマンス・アート」(2007年7月15日)

●Alex Tabarrok, “Can you blame him?”(Marginal Revolution, August 31, 2004)


ロンドンにある国立美術館のテート・ブリテンに展示されていた作品の一つ(右の画像がそれ)が男性の清掃員によって誤って廃棄されるという事件が起こった。幸いなことに作者(であるグスタフ・メッツガー)が近くに居合わせており、(驚くべきことでもないだろうが)瞬く間に作り直されて事なきを得たということだ。

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●Alex Tabarrok, “Meta Performance Art”(Marginal Revolution, July 15, 2007)


パフォーマンス・アートの大ファンとは言えないのだが、つい最近大好きな「メタ」パフォーマンス・アートにめぐり合うことができた。事の始まりは(動物の死体を切り刻んだ作品死んだ牛の頭にウジ虫やハエを群がらせている作品で知られる)ダミアン・ハースト(Damien Hirst)が制作した現代アート史上最も高価な作品にある。8000個を超えるダイヤモンド――額にして数百万ドル――が散りばめられた頭蓋骨がそれだが、ロンドン在住のアーティストである「ローラ」(ローラ・キーブル)がそっくりな作品(パロディ)を仕上げたのだ。頭蓋骨に(ダイヤモンドの代わりに)スワロフスキー・クリスタル(スワロフスキー社製のクリスタル・ガラス)を散りばめて他のゴミと一緒に真夜中に美術館の外に展示。まさに「プライスレス」。

アレックス・タバロック「有料トイレを合法化せよ!」(2018年11月27日)

[Alex Tabarrok, “Legalize Pay Toilets!” Marginal Revolution, November 27, 2018]

有料トイレはヨーロッパではありふれているけれど,アメリカではめったにみない.そのワケを City Lab でソフィー・ハウスが書いている.アメリカでは,多くの地域で有料トイレが1970年代に違法になったんだそうだ:
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