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アレックス・タバロック「同じ量のワクチンで接種回数を2割増しにする魔法とサプライチェーン最適化」(2021年1月14日)

[Alex Tabarrok, “The Magical Extra Doses and Supply Chain Optimization,” Marginal Revolution, January 14, 2021]

ファイザー製ワクチンを使って薬剤師たちがワクチン接種をはじめたところ,標準的な 5回分小瓶から 6回~7回の投薬が可能なのを発見した.追加分はどこから生まれたんだろう? べつに,規定量を超える量が瓶につめられていたわけじゃない.小瓶には,標準的な注射器を使ったらきっかり5回分になる量しか入っていない.ところが,ワクチン接種会場によっては,死容積が少ない注射器が利用できたところがあった.「死容積が少ない」とは,注射が終わったときに吸引具と注射針のあいだに残るワクチンが少なくてすむ,ということだ.このため,死容積が少ない注射器を使うと,注射器に残ったまま無駄になるワクチンが減って,同じ瓶からより多くの人にワクチン接種できるようになるわけだ.
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アレックス・タバロック「トランプ関税を教科書で取り上げたよ」(2020年11月19日)

[Alex Tabarrok, “International Trade in Modern Principles,” Marginal Revolution, November 19, 2020]

トランプ関税は,スムート・ホーリー関税法以後でいちばん大きな貿易政策の変更だ.トランプ関税の経済的な長短がどうであれ,教科書の執筆者にとっては最高の題材になってくれている.Flaaen, Hortaçsu & Tintelnot のすばらしい論文を参照しつつ最新版の『現代経済学の原理』でとりあげたのも,まさにその一例だ.その箇所の抜粋をみてもらえば,ぼくらが書いた教科書『現代経済学の原理』でとっているアプローチがよくわかるだろう.
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アレックス・タバロック「プラットフォームの経済学」(2020年11月17日)

[Alex Tabarrok, “Platform Economics in Modern Principles,” Marginal Revolution, November 17, 2020]

どうして Facebook は無料なんだろう? どうしてクレジットカードは無料どころかお金がもらえたりするんだろう? 独身者向けのバーはたまに女性限定でドリンク無料にしつつ,男性にはそうしないんだろう? こうした問いは,どれもプラットフォーム経済学の領域に属してる.プラットフォーム経済学は,うまれたばかりの分野だ.ティロールとロシェが書いた2003年の重要論文が,事実上,この分野を生み出したにひとしい―――あと,その論文は,2014年にティロールがノーベル経済学賞を受賞した理由のひとつにもなっている.新しいとはいえ,プラットフォーム経済学は,現代経済にとって必要不可欠な財を取り扱っている.そこで,プラットフォーム経済学の背後にある直観をいくらかでも『現代経済学の原理』で教えなくちゃと,ぼくとタイラーは考えた.とはいえ,学生たちが学ぶべき新しい題材はもう十分にあるので,ぼくら2人は自分たちに試練を課すことにした―――すでに学生たちが知っている原理を使って,プラットフォーム経済学の直観的な部分を解説するという試練だ.意外にも,プラットフォーム経済学はたった2つの原理で教えられる:外部性と弾力性だ.
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アレックス・タバロック「不景気なときに卒業するのはキツかったりするよ」(2020年11月8日)

[Alex Tabarrok, “Graduating in a Recession Can Be Rough,” Marginal Revolution, November 8, 2020]

不況時に卒業するのはときにキツい。不況時には初任給がより低くなるし、その後の昇給ペースも遅い。トップ企業に採用されるのは難しいから、どんどん上に登っていくキャリアパスに乗るまでいっそう長くかかる。新卒時の労働市場条件が長期的にもたらす帰結をまとめた論文で Till von Wachter が述べているように、最初の一歩でしくじると、その後に与えられる選択肢は事態をいっそう悪くさせることの多いものとなる。
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アレックス・タバロック「経済学を学ぶと賃金は大幅に増えるみたいよ」(2020年10月14日)

[Alex Tabarrok, “Studying Economics Increases Wages a Lot,” Marginal Revolution, October 14, 2020]

経済学を専攻した学生たちの賃金中央値は,40歳で9万ドルに達する(2018年).他の社会科学を専攻した学生たちは,6万5千ドルでしかない.この大差はどこから来たんだろう? 統計的な選択効果だろうか,それとも因果関係がはたらいているんだろうか? Zachary Bleemer と Aashish Mehta は,南カリフォルニア大学の学生たちを対象に,足きりで専攻がとれなかった学生たちと,かろうじて専攻がとれた学生たちを比較している.必要な成績をとれていた場合,経済学専攻を選ぶ学生は大きく増え,彼らが20代半ばに稼ぐ給与がおよそ $22,000増える.このように,専攻による給与に観察される差の大半またはすべては,どうやら因果関係によるものらしい.給与の増加をうながしている要因は,経済学を専攻した学生たちが高給の産業に専門化するよう選好を変える点にあるようだ.
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アレックス・タバロック「本日の政治的に正しくない論文:給与格差のしぶとさ」(2020年10月8日)

[Alex Tabarrok, “Politically Incorrect Paper of the Day: The Persistence of Pay Inequality,” Marginal Revolution, October 8, 2020]

職場での差別が不可能だったりありそうにない市場ですら,男女の賃金格差があるようだ.たとえば,Uber の運転手は,性別を考慮しないアルゴリズムで賃走を割り振られ,賃走の時間と距離に基づいて対価を支払われる.だが,運転手の手にするお金にはおよそ 7% と小さいながらも男女差が長らく続いている.これは,男性運転手の方がわずかに速く,混雑した地域で働くのを選び,わずかながら経験が多いことに起因しているようだ.Litman et al. (2020) によれば,これと同種の相違がメカニカルタークでの稼ぎにも見られるという.
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アレックス・タバロック「猿の子育て実験からわかること」(2020年9月2日)

[Alex Tabarrok, “Monkey Parenting Matters,” Marginal Revolution, September 2, 2020]

ジェイムズ・ヘクマンを含む経済学者グループが NBER で新しい論文を出した.複数世代を重ねる猿の子育て実験から得られたデータを分析して児童の発達を研究する流れに,これで経済学者も合流したわけだ.1950年代にハーロウがやった一連の実験で,母親なしで育てられた猿は子育てがあまりうまくないのはよく知られている.(またハーロウの実験は,「肌と肌での母子の接触」という例のマントラの由来でもある.) 今回の論文が独特なのは,母親に育てられる猿と保育所に育てられる猿を無作為に割り振り,これを2世代繰り返したところだ.というか,この新論文に出てくる猿の子供たちには,同じくヘクマンを含む著者たちの以前の論文に登場した子供たちが含まれているんじゃないかと思う.複数世代を重ねる実験を行うことで,不利・短所が後続世代に継承されるのか,不利・短所が緩和されるのかを研究者たちは検証できる.
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アレックス・タバロック「高校の授業に Zoom爆撃してみた」(2020年4月10日)

[Alex Tabarrok, “Zoom Bombing a High School Class,” Marginal Revolution, April 10, 2020]

現代マクロ経済学の原理』を使っている高校の授業に「Zoom爆撃」してみた.ウイルス感染の経済学を通常の経済学に関連づけるとお役に立つんじゃないかと思ったんだ.そこでぼくが言ったこと:
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アレックス・タバロック「忘れられた1957年パンデミックと景気後退」(2020年3月24日)

[Alex Tabarrok, “The Forgotten 1957 Pandemic and Recession,” Marginal Revolution, March 24, 2020]

1957年のアジアインフルエンザ・パンデミックでは,アメリカ国内で7万人~10万人の死者が出た(57年インフルエンザは COVID-19 ほど感染率も死亡率も高くなかった).1957年の第4四半期に,経済成長率(年率換算)は -4% になり,翌58年の第1四半期には -10% まで落ちた.これは,第二次世界大戦後では最大の成長率低下で,のちの金融危機のときよりも大きい.だが,1958年の第3~第4四半期に成長率は大きくもどして 10% 近くにまで上がった.通年でみると,GDP の低下は 1% 未満となっている―――悪い景気後退にはちがいなく,第二次世界大戦後では3番目に深刻ではあったけれど,前例がないような景気後退ではなかった.
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アレックス・タバロック「マスクが足りない? 市場にまかせよう」(2020年3月23日)

[Alex Tabarrok, “Let the Markets Work,” Marginal Revolution, March 23, 2020]

多くの人が大統領は「国防生産法」(Defense Productions Act; DPA) を用いるべきだって言っているけれど、現実には、国防生産法はとりたてて有用でもないし必要不可欠でもない。各種の市場はすでに急速かつ洗練されたかたちでリソースの再配分を行なっている。品物の不足は、その大部分が一時的な需要の増加によるものだ。いま、店頭の棚にはふたたび品物が揃いつつある。食品は潤沢にある。手指の消毒剤と手洗い用石鹸は、店頭まで届けられつつあるか、すでに並べられている。トイレットペーパーが品切れになることはない。CDC と FDA が認可したことで、検査キットは増産中だ。
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