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アレックス・タバロック 「今年度(2018年度)のノーベル経済学賞を手にしたのはウィリアム・ノードハウスとポール・ローマーの二人」(2018年10月8日)

●Alex Tabarrok, “The Nobel Prize in Economics Goes to William Nordhaus and Paul Romer!”(Marginal Revolution, October 8, 2018)


申し分ないチョイスだ! ノードハウスは環境経済学の発展に貢献した功績を讃えて、そしてローマーは経済成長論の発展に貢献した功績を讃えての受賞となった。ローマーの業績についてはMRUniversityの教材用ビデオで解説済みだ。(内生的成長理論をはじめとした)経済成長の話題やチャーター都市構想1についてだけではなく、経済学の教育ツールの開発を手掛けた「起業家」としてのローマーの一面についても解説している。ビデオが制作されたのはMRUniversityが船出したばかりの頃で随分前のことになる。そのため、(ビデオを制作して以降にローマーの周辺で巻き起こった)あれやこれやの小ネタには触れられていない。とは言え、ローマー本人から「あのビデオは気に入っているよ」とのお言葉を頂戴している。というわけで、今年はノーベル経済学賞の解説エントリーを書く必要はなさそうだ。

だがしかし、コーエンは別だ(例年通り腕を振るってノーベル経済学賞の解説エントリーを書き上げている)。コーエンによるノードハウスの業績解説はこちら〔227thday氏による訳はこちら〕、ローマーの業績解説はこちら〔拙訳はこちら〕をご覧あれ。

  1. 訳注;ローマー本人がチャーター都市構想をテーマに語っているTEDトーク(日本語字幕付き)はこちら。 []

アレックス・タバロック「テクノロジーの文化的継承:試行錯誤で学習…はしないけど改善はするみたい」

[Alex Tabarrok, “Improving But Not Learning by Doing,” Marginal Revolution, October 4, 2018]

名著『人類が成功した秘訣』で,ジョー・ヘンリックは知性がもたらしたのではない複雑な技術製品や営みの事例をいくつも挙げている.そうした製品や営みを産み出したのは,仕組みをろくに理解しないまま文化的に世代をまたいで継承されてきた無数のささやかな改善の積み重ねだ.Derex et al. は,この文化的な世代継承仮説を検証するたくみな実験を披露している.
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アレックス・タバロック 「『かような条件が課されていたとしたらグラフェンも発見されずじまいとなっていたことでしょう』 ~ノーベル賞受賞者がイギリスの移民政策に喝!~」(2012年12月31日)

●Alex Tabarrok, “Restrictions on high skill immigration to Britain”(Marginal Revolution, December 31, 2012)


インデペンデント紙より。

イギリス政府による新たな移民制限策――EU域外からの移民労働者を対象とした最低年収要件の導入(年収3万1000ポンドを超える外国人労働者に限ってイギリス国内での就労を認める)および留学ビザ発給の厳格化――は有能な学者がイギリス国内の研究機関で働く機会を閉ざすことになる。そのように語るのはロシア生まれの物理学者であるアンドレ・ガイム博士。ガイム博士は画期的な「超素材」であるグラフェンを発見した功績により2010年にノーベル物理学賞を受賞しているが、ガイム博士は本紙の取材に対して「私をはじめとした研究チームの面々が(就労ないしは就学目的で)イギリスに入国しようとする時に(移民の制限を目的とした)かような条件が課されていたとしたらグラフェンも発見されずじまいとなっていたことでしょう」と語っている。

イギリスへの移民の年間の純流入数は20万人を超えているが、その数を「数万人単位」にまで減らすことを目的として今年度(2012年度)から移民の受け入れに関して新たな条件が課されることになった。その結果としてイギリスの研究機関で科学上の大発見がなされる見込みが薄くなりつつあるとガイム博士は警告する。

・・・(中略)・・・

ガイム博士は現在54歳。博士がイギリスの地に初めて足を踏み入れたのは1990年代初頭に遡る。当時の博士はロシア国籍の持ち主。イギリスにやって来たのはノッティンガム大学で博士研究員(ポスドク)として働くためだった。当時の年収は現在の価値に換算すると2万7000ポンド程度。当時の段階で年収3万1000ポンドという最低年収要件が課されていたとしたら博士はイギリスに入国できなかった(イギリスで博士研究員として働けなかった)ことになる。

ちなみにだが、ガイムは歴史に名を残す並み居る科学者の中でも個人的にお気に入りの一人だったりする。ノーベル賞(受賞理由は「グラフェンの発見」)もイグ・ノーベル賞(受賞理由は「カエルの磁気浮上」に成功)もどちらも受賞しているのはガイム只一人だけなのだ。たまげた話だよ

アレックス・タバロック 「ノーベル賞受賞者による街角での科学教室」(2012年7月14日)

●Alex Tabarrok, “Street Corner Science”(Marginal Revolution, July 14, 2012)


(1988年度の)ノーベル物理学賞受賞者であるレオン・レーダーマン(Leon Lederman)が路上で通行人から寄せられた質問(科学上の質問)に逐一回答する「街角での科学教室」を開いている1。素晴らしい試みだ。同様の試みに乗り出す経済学者の登場が待たれるところだ。ただし、通りの角ごとに別々の経済学者を置く必要があることは言うまでもないであろう。

ちなみに、今回の情報はMetafilter経由で知ったものだ。

  1. 訳注;ちなみに、残念ながらレーダーマンはつい先日(2018年10月3日に)亡くなっている。 []

アレックス・タバロック 「科学の世界に再び舞い戻ってノーベル賞を受賞」(2014年10月8日)

●Alex Tabarrok, “The Nobel Prize in Chemistry”(Marginal Revolution, October 8, 2014)


今年度(2014年度)のノーベル化学賞を共同受賞した一人であるエリック・ベツィグ(Eric Betzig)はハワード・ヒューズ医学研究所が創設したジェネリア・ファームで研究チームのリーダーを務めている。壮大な外観のジェネリア・ファームは米バージニア州アッシュバーンの近郊に鎮座している。講演にお呼ばれしたこともあってジェネリア・ファームの内部にはこれまでに何度か潜入した経験があるのだが、その際にベツィグが開発した超高解像度の顕微鏡が化学、生物学、脳科学といった分野の研究にいかなる影響を及ぼしているかをまざまざと思い知らされたものだ。ベツィグが開発した新型の顕微鏡の助けを借りれば生きた細胞のダイナミックな動きを目にすることができる。その顕微鏡で捉えられた「映像」をご覧になりたければこちらのページでいくつか確認できるので是非ともチェックされたい。画面を下にスクロールすると染色体が分離する様子を捉えた映像(アニメじゃないよ!)も見れるのでそちらも忘れずご覧あれ。

ベツィグは実に変わったキャリアの持ち主だ。ベル研究所で6年にわたり研究に従事。その後はというと科学の世界から足を洗って製造業の分野に転身することに。父親が経営する工場で機械の開発に携わることになったのだ。父親の工場で働き出してから10年ほど経過した頃に科学の世界に再び戻りたいとの思いが湧き上がってきたものの、(父親の工場で働いていた)10年の間に発表した論文の本数はというと・・・ゼロ。科学の世界に戻りたくともおいそれと居場所を得られようはずもなかったわけだ。そこでベツィグは実家のコテージでああでもないこうでもないと頭を捻りに捻った。科学者としての職を得るためにアイデアの発見に努めたわけであり、その時に思い付かれたアイデアがノーベル賞受賞への道を切り開くことになったというわけだ。

今回の件で情報を寄せてくれたMonique van Hoekに感謝。

(追記)今年度(2014年度)のノーベル化学賞の対象となった(蛍光顕微鏡にまつわる)テクニックの詳細についてはデレク・ロウ(Derek Lowe)によるこちらの記事を参照されたい。

アレックス・タバロック「男子の方が数学・科学に比較優位がある?」

[Alex Tabarrok, “Do Boys Have a Comparative Advantage in Math and Science?” Marginal Revolution, September 17, 2018]

疑問の形をとっていても,このタイトル「男子の方が数学・科学に比較優位がある?」はきっと性差別的に見えてしまうだろう.「タバロックは,男子の方が女子よりも数学と科学に秀でてるって言いたいの?」 いや,ぼくが言わんとしてるのは,男子の方が劣ってるかもしれないってことだ..
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アレックス・タバロック「却下された方が論文は引用されやすくなる?(それはどうかな)」(2018年9月10日)

[Alex Tabarrok, “Rejection is Good for Citation (maybe),” Marginal Revolution, September 10, 2018]

Science に掲載されたとある論文が,923の科学誌の論文8万本以上を検討して,こんなことがわかったと言っている――却下された論文の方が一発で掲載された論文よりも最終的には引用されやすくなる.
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アレックス・タバロック「ウソでした:ヒステリーをバイブで処置してた説」

[Alex Tabarrok, “Hysteria Was Not Treated With Vibrators,” Marginal Revolution, September 2, 2018]

こんな話をご存知だろうか?――「ビクトリア朝時代に、「ヒステリー」の処置用に新しく発明された労働節約的な機械式バイブレータを使ったために、男性医師たちは意図せずして女性患者たちにオーガズムをきたさせてしまった。」 これはただの都市伝説とはちょっぴりちがう。学術書や論文で広まった話なんだ。Hallie Lieberman と Eric Shcatzberg が書いた新論文「学術的な品質管理の失敗例:オーガズムのテクノロジー」では、不正行為という言葉こそ使ってはいないけれど、ほぼそれに近い言い方をしている。
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アレックス・タバロック「ギャンブルで科学を救えるかな?:予測市場と再現実験プロジェクト」(2018年8月28日)

[Alex Tabarrok, “Gambling Can Save Science,” Marginal Revolution, August 28, 2018]

30年近く前のこと,ジョージメイソン大学の同僚ロビン・ハンソンがこんな疑問を言っていた――「もしかしてギャンブルで科学が救えるんじゃない?」 いまや,答えは「救える」だとわかっている.予測市場(ロビンの呼び名は「アイディアの先物市場」)を使って科学理論の品質を計測するというアイディアは裏付けられている.社会科学再現プロジェクト (Social Science Replication Project) の最新論文 Camerer et al. (2018) では,2010年から2015年のあいだに Nature と Science に掲載された社会科学研究21件を再現しようと試みた.再現実験を実施する前に,著者たちは(これまでの再現実験研究でやったのと同じように)予測市場を開いた.その結果,今回も予測市場はうまく再現される研究とそうでない研究を実にうまく予測してみせた.
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アレックス・タバロック「グローバル中間階級」(2018年8月27日)

[Alex Tabarrok, “The Global Middle Class,” Marginal Revolution, August 27, 2018]

ワシントンポスト:世界は歴史上の大きな到達点を前にしている:ブルッキングズ研究所の研究者 Homi Kharas によれば,2020年までに,世界人口の半数以上が「中間階級」になるという.

Kharas が定義する中間階級とは,食料・衣類・住居といった基本的な生活必需品をまかなった上で,さらに美食・テレビ・バイク・住宅の改善・高等教育といった贅沢品にもわずかながら出費できる階級のことだ.

これは画期的な到達点だ:数千年にわたってこの惑星の生きる人々の大半が農奴や奴隷その他として貧苦のなかにあったのに,いまや人口の半分がただ生き延びるだけでない生活をおくる金銭的な手段をもちあわせている.

「1830年代に産業革命がはじまる以前に,中間階級はないも同然だった」と Kharas は言う.「ただ王族と小作農がいるだけだった.いまや,中間階級が多数派を占める世界になろうとしている.」

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