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ドレシェル&カレムリ=オズカン「雇用を守るため中小企業にマイナス税を支給せよ」

Thomas Drechsel, Sebnem Kalemli-Ozcan “Standard macro and credit policies cannot deal with global pandemic: A proposal for a negative SME taxVOXEU, March 24, 2020

新型コロナウイルス・パンデミックでは,経済を支援する強力な政策介入が必要だ。本稿では,中小企業に対する給与総額に基づくマイナスの定額税の費用とコストについての推定を示す。従業員500名未満の全ての企業の給与総額を3か月に渡ってまかなう政策により,アメリカの6,100万が恩恵を受けることができ,その費用はGDPの3%である。

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サイモン・エベネット「汝の隣人を愛せよ:パンデミックにおける医療物資の輸出規制」

Simon Evenett “Sickening thy neighbour: Export restraints on medical supplies during a pandemicVOXEU, 19 March 2020

多くの国際サプライチェーンにおける中国の中心性から,世界の貿易フローに対する新型コロナウイルスの影響については大きな関心が払われている。さらに,貿易政策のやっかいな一面が今や明るみに出てきている。本稿では,24か国が最近になって医療物資に輸出規制を課したというGlobal Trade Alertによる発見の紹介と評価を行う。

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タイラー・コーエン「コロナウイルスによって進歩派左翼は死んだ」

Tyler Cowen  “The Coronavirus Killed the Progressive LeftMarginal Revolution, March 20, 2020

タイトルは僕の最新のBloombergコラムのトピックから。もちろん釣りタイトルなんだけど,糸の先に付いてる餌は真実だ。以下はそこからちょこちょこ抜粋したもの。

― 進歩派左翼の平等主義もまた,おぼろげな記憶のようになるだろう。エリートは自分に害がないときであればたいてい富の再分配を支持するし,実際にカリフォルニアや北東部の海岸沿いの金持ちエリートは進歩主義運動の屋台骨となっている。しかし,こうした人々が自身の生活や職業が脅かされていると感じる,あるいは彼らの子供たちの未来が突如として安泰ではないように思われてしまうと,再分配はそんな魅力的な理想ではなくなってしまうだろう…

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ロバート・バロー他「過去のインフルエンザ・パンデミックに照らした新型コロナウイルス危機」

Robert Barro, Jose Ursua, Joanna Weng ”Coronavirus meets the Great Influenza Pandemic”, VOXEU, 20 March 2020

新型コロナウイルスによる被害の最悪のシナリオとして妥当なものはどんなものだろうか。本稿では,1918年から1920年にかけてのインフルエンザ・パンデミックからの教訓を示す。43か国のデータから分かるのは,インフルエンザに関連する当時の死者数は3,900万人,世界人口の2%に及び,これを現在の人口に当てはめると1億5,000万人になる。第一次世界大戦による影響を取り除いた場合でも,GDP及び消費は平均的な国でそれぞれ6%と8%減少し,株式と短期国債による実質収益も有意に下落した。大規模な潜在的損失が人命と経済活動に見込まれることは,被害を抑えるための現在の政策を正当化するものであるが,そこには死者と失われる産出との間の困難なトレードオフが存在する。このトレードオフについて議論することが必要だが,これまでのところそうした議論がなされていないのだ。

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リチャード・ボールドウィン「新型コロナ暴動シナリオ:格差と感染の混合爆弾」

Richard Baldwin “The COVID-19 upheaval scenario: Inequality and pandemic make an explosive mixVOXEU, 15 March 2020

医療専門家の推測が示唆するところでは,アメリカの病院の収容能力はイタリアと同程度の新型コロナ症例の急増に対処するに足りていない。患者の選別をしなければならない状況にアメリカの病院が陥るのを避けることは,非常に多くのアメリカ人が医療へのアクセスに問題があり,数十年に及ぶ経済的低迷と格差の拡大に由来する激怒の兆候,幅広く銃が所有されていることを考えれば,とりわけ重要だ。そのためには,注意深すぎるほどに注意し,即時かつ大規模に社会的距離をとることが必要だ。

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「連邦準備制度の所有者はだれ?」

Federal Reserve Board FAQ “Who owns the Federal Reserve?” 


連邦準備制度(Federal Reserve System)は誰にも「所有」はされていません。連邦準備制度は,1913年の連邦準備法によってアメリカの中央銀行として創設されました。ワシントンDCにある理事会(Board of Governors)は,連邦政府の機関であり,議会に対して報告するとともに直接の説明責任を負っています。

連邦準備制度の権限は,1913年に連邦準備法の制定によって同制度を創設した議会に由来します。この中央銀行「制度」は3つの重要な特徴を備えています。すなわち,(1)集権的な理事会である連邦準備理事会,(2)12の連邦準備銀行(Federal Reserve Banks)による分権化された運営構造,そして(3)官民混在の性質です。

大統領によって指名され,上院によって承認されるところの理事会は,連邦準備制度の一般的な指針を提供するとともに,12の準備銀行を監督します。理事会は議会に対して報告するとともに直接の説明責任を負っていますが,ほかの多くの公的機関とは異なり,その資金は議会の予算法によるものではありません。議長及びその他の職員は議会の前で宣誓を行い,理事会は金融政策報告書という直近の経済の進展や理事会の金融政策に関する計画に関する多岐にわたる報告書を年に2回提出します。理事会はまた,独立した監査による連邦準備制度の財務諸表及び連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事録を公にしています。

さらに,金融政策の目標を設定するのは議会ではあるものの,どうやってそうした目標を達成するかに関する理事会の決定,そして連邦準備制度の金融政策決定主体である連邦公開市場委員会の決定にあたっては,大統領をはじめ,ほかのいかなる行政・立法府の主体の承認も必要ではありません。

一部の識者は,準備銀行が民間企業と類似の組織となっていることをもって連邦準備制度が民間主体であるとの誤った考え方をしています。たとえば,12の準備銀行のそれぞれは,地区(District)とよばれるアメリカ国内のそれぞれ独自の地理的範囲内で業務を行っており,各銀行は独立した法人組織でそれぞれに理事会(board of directors)が設置されています。連邦準備制度の委員となっている市中銀行は,自らの管区にある準備銀行の株式を保有しています。しかしながら,準備銀行の株式を保有するのと民間企業の株式を保有するのでは大きな違いがあります。準備銀行は営利業務を行っておらず,一定量の株式の所有は連邦準備制度への加入のための法律上の要件となっています。実際のところ,準備銀行は自行が必要とする全ての支出,法律上の要請による配当支払い,限定的な範囲での剰余金の維持を差し引いた純利益を財務省に送金することが法律によって義務づけられています。

アレックス・タバロック「安全なセックスのためにもっとセックスしよう」

Alex Tabarrok ”More Sex is Safer SexMarginal Revolution, October 26, 2019

スティーブン・ランドバーグのMore Sex is Safer Sex[もっとセックスするほどもっと安全に](右のリンクは1997年のNew York Times掲載版,書籍版はこちら)は今年のノーベル賞受賞者のマイケル・クレマーの論文から着想を得ているというのを忘れていた。以下はその要約。

ありとあらゆるところで淫奔は罪であるというのを目にしてきたことだろう。ここでは自己抑制の罪について話してみたい。

あるところにマーティンという魅力的だけど割と慎重で少ないセックス履歴を持つ若い男性がいるとしよう。彼は職場の同僚のジョーンとよろしくやっている。先週のオフィスパーティーが迫るにあたって,ジョーンもマーティンもお互いに相談はしなかったけれども,パーティの後にどちらかの家で一緒に過ごすんじゃないだろうかと考えてはいた。不幸なことに,運命の女神がその手先であるアメリカ疾病予防管理センター(CDC)を通じて介入をしてきた。パーティーの朝,禁欲の美徳を説くCDCの中吊り広告がマーティンの目に入った。マーティンは反省し,パーティーに行かず家に留まることにした。マーティンが来なかったので,ジョーンはマーティンと同じくらい魅力的だけれど彼よりずっと慎重さを欠くマクスウェルと一夜をともにした。そしてジョーンはAIDSに罹ってしまった。

注意深いマーティンがセックス相手探しから手を引いてしまうと,ヤリチンのマクスウェルが不運なジョーンを美味しく頂くのを容易にしてしまう。電車の中吊り広告がマクスウェルよりもマーティンに対してより効果的である場合,そうした広告はジョーンの安全に対する脅威となる。そうした広告が,マーティンをより社会的に有益にするかもしれないカルバン・クラインの広告を押しのけてしまう場合にはより一層だ。

世界中のマーティンがちょっとだけ性に開放的になったならば,AIDSの拡散を遅らせることができる。もちろんやり過ぎれば良いってものじゃない。マーティンが開放的になりすぎると,マクスウェルと同じように危険になってしまう。しかし,性に保守的な人たちが性的活動を多少増やすのであれば,それ以外の私たちにとってそれはとても良いことだ。ハーバード大学教授のマイケル・クレマーは,年間2.25人未満のパートナーしかいない人たち全員がそれ以上のパートナーをもっと頻繁に得るようになれば,イングランドにおけるAIDSの拡散を相当程度遅らせることができると推測している。

クレマー(チャールズ・モーコム)の元々の論文はこちら。ランズバーグはこうした状況においてはコンドームに対する補助金が最適だと示唆している。全文を読んでみてほしい

追記:後になって気づいたけれど,クレマーのモデルはタイで起きたことに非常に良く当てはまるようだ。

アレックス・タバロック「大麻を吸うと頭がおかしくなるのか,頭がおかしいから大麻を吸うのか」

Alex Tabarrok “The Causal Effect of Cannabis on CognitionMarginal Revolution, November 3, 2019


大麻をたくさん吸うと頭がおかしくなるのか,頭がおかしいから大麻をたくさん吸うのか。大概は後者だ。Ross et al. (2019)は以下のように述べている

大麻が認知に機能障害を引き起こすと多くの研究者が結論づけているものの,別の説明もある。まず,認知機能が貧弱であることは薬物使用のリスク要因である。具体的には,幼年期に計測された実行機能は,その後の薬物使用及び薬物使用障害を占うものである(SUDs; Ridenour et al., 2009)。したがって,研究にあたっては事前の認知機能をコントロールする必要がある(Meier et al., 2012)。次に,貧弱な認知機能と大麻使用も関連している可能性があり,このことは一方が他方を引き起こしているのではなく,両者が社会経済的地位の低さという共通のリスク要因を共有しているからである  (Rogeberg, 2013) 。Lynskey and Hall (2000)は,早期の薬物使用は薬物使用グループへの加入,登校率の低さ,中退などによって尚早に大人の役割を演じることになるなどの社会的背景のもとで引き起こされる可能性が高く,そうした学業上の参加に関わる影響は後々の認知機能にも影響を与えうると提案している。

実際,遺伝子及び家族環境をコントロールした双子研究は,大麻が認知を低下させるとはしていない。

Lyons et al. (2004)は通常使用の後に20年にわたって使用状況の異なる一卵性双生児を調べ,両者の間で有意な差があるのは50以上の認知指標のうちたったひとつだけだったことを見いだした。また,Jackson et al. (2014)は,大麻使用の状況が異なる一卵性双生児において用量依存関係や認知の有意差について何の証拠も見つからないとした。同様に,Meier et al. (2017)は,大麻依存や使用頻度の異なる一卵性及び二卵性の双子からなるサンプルにおいて,認知機能の差に何の証拠も見つからないとした。したがって,双生児を使ってコントロールするようデザインした準実験においては,大麻が貧弱な認知を引き起こすという証拠はほとんど得られていないのである。

Ross et al.は類似の研究を行っているが,計画する,焦点を合わせる,衝動を抑える等の実行機能も検証している。これらはIQと関連しているものの別個のスキルであり,彼らは次のように結論している。

大麻使用が多い家庭ほど一般的な認知能力がより低いことが示された。しかし,家庭内において,より使用量の多いほうの双子がより低い認知スコアを示すことは稀だった。総合的に見れば,認知に対する大麻の因果効果についての証拠はほとんどなかった。

素晴らしい情報源のケヴィン・ルイスに感謝。

デュラント&ジュレロヴァ「政府に都合の悪いニュースは別のニュースでまぎらわそう:注意逸らしの政治学」

Ruben Durante, Milena Djourelova “The politics of distraction: Evidence from presidential executive ordersVoxEU, 17 November 2019  

政治家は,世論から厳しく見られるのを避けるため,異論の多い政策は戦略的にタイミングを見計らって発表していると疑われることがある。本稿では,アメリカの大統領令のタイミングの系統的な分析によって,そうした疑いは,少なくともアメリカ大統領令に限っては,正しいことを示す。大統領は大統領令,とくに世論の反発を生み出すとみらあれるものについてはメディアや世論の注意がそれるような重要なイベントとぶつかるように発出する傾向にある。

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プライス・フィッシュバック「アメリカにおける第二次世界大戦:支出,赤字,財政乗数,犠牲」

Price Fishback ”World War II in America: Spending, deficits, multipliers, and sacrifice” VoxEU, 12 November 2019

アメリカは大量の軍事物資を生産することで「民主主義の兵器工場」となり,それによって1940年から1945年までの間に実質GDPは72%上昇した。その一方,この政府支出の拡張による推定財政乗数は1を切る。国内各地域レベルでの幅広い研究は,軍事支出が一人あたりの活動に小さな影響しか与えていないことを示している。準計画経済における軍事支出は民間消費と投資をクラウドアウトし,人々を軍への入隊に押しやった。要するに,アメリカ人は戦争に勝利するために大きな犠牲を払い,同盟国はさらにそれ以上の犠牲を払ったのだ。

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