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タイラー・コーエン「含み益への課税」(2021年10月25日・26日)

Tyler Cowen “The tax on unrealized capital gainsMarginal Revolution, October 25, 2021

想定される計画がどのように働くと想定されているかを僕が理解できていないだけかな。含み損による税額控除はないんだよね?ということはもはや流動的な資産クラスを保有したくなくなるよね?価格が上昇していくらかの税金を払って、その後に価格が下落して損失域に入ってしまったと考えてみよう。それでも税金を払うんだよ!?還付は全くない。そもそもそうした資産を保有するのが悪くない考えとなるには、その価格が事前にどれだけ下落すればいいんだろうか、その正確な額が分かるんだろうか?それともこの税の対象になるお金持ちの投資家は市場価格を動かすような大した人たちじゃなくて、こうしたとてもリスクの高い資産クラスから単に彼らが追い出されるってこと?

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二コラ・シャトレ「GDPの落ち込みが激しいのは行動制限のせい:米欧の比較」(2021年9月27日)

Nicolas Chatelais “Covid-19 et divergence de baisses de PIB entre Europe et États-UnisBloc-note Eco, Banque de France, le 27 septembre 2021

2020年におけるGDPの落ち込みは、アメリカではヨーロッパよりも緩やかだった。感染拡大へ対処の一環として強制あるいは自粛として行われた行動と移動の制限は、フランス、イタリア、スペインではより強力であったことがアメリカとの差のうち40%以上を説明する。この要因は産業の特化の差(アメリカがデジタル産業に優位をもち、ヨーロッパは観光業の比重が大きい)によって増幅された。財政支出の違いによって説明できるのは差の20%以下である。

グラフ1:2020年における米欧間のGDP変化の格差の説明要因(出典:IMF、各国統計、著者による計算)

読み方:行動制限の違いがアメリカと仏+伊+西グループの間の成長率の差の40%を説明する。この3か国のグループが観光業への依存が最も高いことは、アメリカとの差の20%と少しを説明する。

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タイラー・コーエン「援助はエリートたちによって横取りされてる」(2021年10月12日)

Tyler Cowen “Elite capture of foreign aidMarginal Revolution, October 12, 2021

この証拠は海外の銀行口座から得られたものだ。以下は論文の要約。

エリートたちは外国の援助を横取りしているのだろうか。本論文は、援助に強く依存している国への援助金の拠出によって、秘匿性と個人資産管理で知られるオフショア金融センターにおいて銀行預金の急激な上昇が発生するが、それ以外の金融センターでは発生しないことを実証した。この推定は内戦、自然災害、金融危機などの同時期に起きたショックとは混同されておらず、事前に決定された援助コミットメントによる測定でも頑健である。示唆される漏洩率はサンプル中の中央値で約7.5%で、GDPに占める援助の割合に応じて高まる傾向にある。この発見は最も援助依存率の高く国における援助の横取りとも整合的である。


ケビン・ルイス御大の紹介による全文リンクはこちら。著者はヨルゲン・ジュエル・アンダーセン、ニールス・ヨハンセン、ボブ・リジカースで、誰でもアクセスできるバージョンはこちら

ノア・スミス「みんなが待ち望んでいた授賞:カード、アングリスト、インベンスのおかげで経済学はより科学的になった」(2021年10月12日)

Noah Smith ”The Econ Nobel we were all waiting for -Card, Angrist, and Imbens have made econ a more scientific field.-“, Noahpinion, October 12, 2021

新しい考えは全てを疑いに持ち込み、
火の元素は完全に消失し、
太陽も大地も失われ、誰の知恵をもっても
どこを探すべきかは教えてくれない

ジョン・ダン

2021年のノーベル経済学賞は、その実証経済学における業績によってデビッド・カード、ジョシュア・アングリスト、グイド・インベンスが受賞した。誰がノーベル経済学賞を受賞するかを予測するのにはとっても簡単なやり方がある。その分野においてまだ受賞してない最も影響力のある人たちを並べて、ミクロ理論家が2年連続で受賞することはないと仮定するんだ。最も影響力の強い人たち10人か20人そこらを、その研究がインパクトを与えた時点で見た場合の影響力の大きさの順に並べて、その中でもその影響力が一番昔にさかのぼる人が受賞する可能性が最も高い。(もちろんここで問題となるのは影響力が強いのはだれかを決めることだ。インパクトランキングや、経済学者に訊いてみたり、単にその分野で全体として何が起きているかの知識に基づいたりといったことの組合せでやるんだけど、思ったより難しくはない)

何年もの間、このやり方で僕も含めて多くの人たちがデビッド・カードがノーベル賞を受賞すると予想した。アラン・クルーガーとの共著による最低賃金に関する1994年の論文は経済学業界全体を揺さぶった衝撃的なもので、新時代の訪れを告げるものだった。それ以降、カードは実証労働経済学の最前線に立ち続け、教育から移民男女間の賃金差格差やその他ありとあらゆるものの研究に自らが先鞭をつけた技術を拡張・改善してきた。この分野におけるアングリストとインベンスの影響も同じようにとてつもないものなのだけれど、それが出てきたのはもっと後になってからなので、彼らが受賞するのはもっと後の年になっていたとしても不思議じゃなかった。でもカードの受賞は明らかに遅すぎだ。

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アレックス・タバロック「ノーベル経済学賞は信頼性革命に」(2021年10月11日)

Alex Tabarrok ”A Nobel Prize for the Credibility RevolutionMarginal Revolution, October 11, 2021

ノーベル経済学賞はデビッド・カード、ジョシュア・アングリスト、グイド・インベンスが受賞した。経済学における実証研究で有名誌に載っているもののほとんどすべて(そして有名誌に載らない大量の研究も)は、差分の差法、操作変数法、回帰不連続といった技術を使った自然実験の分析によるものだ。こうした技術は強力なものだが、それだけでなくその背後にある考え方は一般の人にも理解できるもので、このことが経済学者が一般に向けて話す際にとてつもない利点となっている。ひとつ例を出すとすれば、カード&クルーガー (1994) (全文はここから読める)による有名な最低賃金研究が挙げられる。この研究は、ニュージャージー州における1992年の最低賃金引上げがファーストフード店の雇用を減らさず、雇用を増やした可能性すらあるというその逆説的な発見によってよく知られている。しかし、この論文の真に偉いところは、カードとクルーガーが問題を研究するにあたって使用した手法の明快さなのだ。

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テイヴス&ヴェジーナ「人民の敵による長期的発展」(2021年9月23日)

Gerhard Toews, Pierre-Louis Vézina “Enemies of the peopleVOXEU, September 23, 2021

「人民の敵」とは、教育を受けたエリートであるというだけの理由でソビエト体制の脅威になるとみなされた数百万人の芸術家、エンジニア、管理職、教授たちだった。数百万人の非政治犯とともに、彼らはグラーグ、すなわちソヴィエト全土にわたる労働収容所制度へと強制的に移住させられた。本稿では、この暗い移住エピソードによる長期的な影響を検討する。これにより、人民の敵が収容者中に占める割合が高かった収容所ほど、今日においてその周辺地域が繁栄していることを企業の賃金水準や利潤、人口当たりの夜間光量から捕捉した。

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スコット・サムナー「中国のCPTPP加盟申請をチャンスとすべきだ」(2021年9月19日)

Scott Sumner “Treat CPTPP as an opportunity TheMoneyIllusion, September 19, 2021

以下のニュースが目を引いた。

かつて中国を孤立させてこの地域におけるアメリカの優位を強化する手段としてアメリカが推し進めたアジア太平洋貿易協定に対し、中国が加盟を申請しました。

9月16日遅くに中国政府が発した声明によれば、中国は環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定という正式名称で知られるこの協定に参加するための公式の加盟申請書を提出しました。

これは素晴らしいニュースだ。中国がCPTPPの全てのルールを遵守するなら(現時点ではそうではない)CPTPPに歓迎されるべきだ。いかなるCPTPP加盟国も、いずれの加盟国におけるいかなる類の「自由な言動」に対し、他の加盟国に経済制裁を課すことはできないといった規定も設けるべきだ。今日、中国は他国における気に入らない言動に対して報復を行っている。中国はこうした条件の下で加盟をしたいのなら、いれてやればいい。我々は中国のナショナリズムを抑え、ならず者国家でなくするような協定であればなんであれ積極的になるべきだ。

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アレックス・タバロック「有機農業による経済危機」(2021年9月7日)

Alex Tabarrok “Organic Disaster Marginal Revolution, September 7, 2021

スリランカの大統領は、有機農業100%を達成しようと今年に入って突如として化学肥料を禁止した。この禁止によって生産量の減少と価格の急騰が起こり、観光業の減少と新型コロナ感染拡大とも相まって経済危機が発生している。

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タイラー・コーエン「資本注入して延命させるとしたら?」(2021年8月31日)

Tyler Cowen “The capital life extension queryMarginal Revolution, August 31, 2021

アルジャン・ナラヤンのコメントより:

このブログの読者とタイラーの記事1 の別バージョンについて考えてたんだけど、あまりにも早く資本を使い果たしてしまった人や団体に(彼らがその生涯で備えた資本と)同じだけの額の資本をさらに与える力があったとしたら、誰を選ぶ?

反事実的な想定をしてみると分かりやすいと思う。イーロン・マスクは2008年にほとんどのお金を使い果たして、ダイムラーによって救済された。これがなければいくつかの面では今よりもずっと悪いことになっていただろう(リチウムイオンの生産だけでなく、全ての自動車会社が輸送の電力化問題にこれだけ切迫感をもって取り組むこともなかった)。時をさかのぼって同様に救済すべきは誰だろう?

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  1. 訳注;若くして死んだ芸術家を延命させるとしたら、誰が一番生産性の観点から適切かという趣旨の記事 []

マーク・タイラー「19世紀のイギリス貴族とアメリカ成金の同類婚」

Mark Taylor “The Downton Abbey effect: British aristocratic matches with American business heiresses in the late 19th centuryVOXEU,  September 5,  2021

19世紀後半におけるイギリスの農産物価格の下落は、貴族に加え、土地を所有する「平民」の収入もまた縮小させた。良縁の結婚によって資金を得るという伝統を続けるため、イギリス貴族は大西洋の対岸であるアメリカの、多額の持参金はあるがアメリカ基準においてすら全く名門ではない女性相続人に目を向けた。本稿では、アメリカの大実業家の娘たちをイギリス貴族との結婚に導いた社会・経済的な力について検討する。


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