●Tyler Cowen, “Inform pedestrians, not drivers”(Marginal Revolution, April 11, 2013)
サシャ・カプール(Sacha Kapoor)&アルヴィンド・マーゲサン(Arvind Magesan)の二人の共著論文(pdf)より引用。
市場における情報の役割について調査している実証研究の大半では、市場参加者間の「情報の非対称性」(情報格差)を縮小させる政策に目が向けられており、「情報の非対称性」を縮小させる政策は経済厚生の改善につながる(社会全体の利益になる)との結論が示唆されがちである。本稿では、カウントダウン式の歩行者用信号機――信号の色が切り替わるまでの残り時間が表示される歩行者用信号機――の導入がいかなる効果を持ったかを検証することを通じて、市場に参加する全員が手にする情報の量を同じだけ増やす政策の効果を評価する。本稿での検証結果によると、カウントダウン式の歩行者用信号機の導入に伴って、①歩行者と車の交通事故の数は減ったこと、その一方で、②車同士の交通事故の数は増えたこと、そして、③交通事故の総数は増えたこと、が見出された。以上の結果は、歩行者にだけ新たに情報を与えて、車の運転手には情報を与えずにいる [1] … Continue reading方が、経済厚生の改善につながる可能性があることを示唆している。市場参加者間の「情報の非対称性」を拡大させる政策が経済厚生の改善につながる場合もあるのだ。
@m_sendhil経由で知ったネタ。
References
↑1 | 訳注;「歩行者にだけ新たに情報を与えて、車の運転手には情報を与えずにいる」術の一つとして、本論文では、歩行者用信号機の信号の色が切り替わるまでの残り時間を(信号機に表示するのではなく)スピーカーで伝えるようにして、歩行者だけが残り時間を知れる(聞ける)ようにしたらどうかと提案されている。 |
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