●Tyler Cowen, “Interview with Paul Samuelson”(Marginal Revolution, June 17, 2009)
ポール・サミュエルソンがインタビューに応じている。聞き手は、コナー・クラーク(Conor Clarke)。一部を引用しておこう。
ミルトン・フリードマンは、「MV=PQ」なる教義(貨幣数量説、交換方程式)をいたく信奉していました。その教義からほんの少しも距離を置こうとしませんでした。一生を通じてそうでした。ところで、彼は、その賢さに触れるために会っておきたいと思える人物の一人でした。それと同時に、そのあまりの説得力のために、できれば会いたくない(論争したくない)と思える人物でもありました。ここで少しばかり打ち明けさせていただきますと、彼とは60年以上にわたっていい関係を続けてきたんですよ。とは言っても、彼についてどう思っているかを何もかも包み隠さず面と向かって吐露したわけじゃありません。彼はリバタリアンでした。それも、あまりに過激なリバタリアンでした。彼が医師の免許制度(国家資格制度)に反対したりするのを周囲のみんなは冗談だと思っていましたが、彼は本気だったんです。かつて顧問を務めていた関係もあって、四半期(3ヶ月)に一度のペースで連邦準備制度理事会の会合に足を運ぶことがあったのですが、フリードマンも同じくそこにいました。景気の見通しについて、彼と意見が一致したのは2回だけでしたね。
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●Tyler Cowen, “Quotations by and about Paul Samuelson”(Marginal Revolution, December 13, 2009)
ポール・サミュエルソンの言葉(名言)がこちらのサイトにまとめられている。公共財に関する彼の画期的な論文はこちら(pdf)。わずか3ページの論文だ。こちらの記事では、サマーズやバーナンキといった著名な経済学者の面々がサミュエルソンに賛辞を送っている。その中からルーカス(Robert Lucas)の言葉を引用しておこう。
「サミュエルソンは、『経済学界のジュリア・チャイルド』みたいな存在だった。基礎を叩き込んでくれると同時に、複雑な文化のインサイダーの一員であるかのような気にさせてくれる手腕の持ち主だった。彼の『経済分析の基礎』は、大好きな一冊だ。同世代の他の面々と同じく、『経済分析の基礎』の世界観がすっかり内面化されてしまっていて、経済理論の分野における問題を数式に置き換えられないようだと、自分が何をしようとしているのか見当もつかないくらいだ。数理的な分析は、経済理論の数ある手法の中の一つではなく、唯一の手法だというのが私なりの結論だ。『経済理論』すなわち『数理的な分析』なのだ。それ以外は、単なる絵とお喋りに過ぎない。」
こちらでサミュエルソンの主要な論文のpdfがいくつか見つかるだろう。