●Tyler Cowen, “How does bad weather influence elections?”(Marginal Revolution, November 4, 2016)
悪天候は、選挙結果に影響を及ぼすようだ。どのようにしてかというと、エリク・デュハイム(Erik P. Duhaime)&テイラー・モールトン(Taylor A. Moulton)の二人が新理論を提唱しているので、彼らの論文のアブストラクト(要旨)を引用しておこう。
「悪天候は、投票率を下げる」という説が政治学者の間で長らく流布している。しかしながら、天候の良し悪しが米国内での選挙結果に及ぼす影響については、未だにはっきりしない面が残っている。これまでに試みられた最も綿密な研究の結果によると、雨が降ると共和党に有利に働くことが見出されていて、フロリダで降った雨が2000年の大統領選挙の結果を左右した [1] … Continue reading可能性が示唆されている。しかしながら、そのことに疑問を投げかける声が出てきている。雨が降った場合に投票率が下がるのは、非激戦州 [2] 訳注;どの候補者が勝利するかが投票前からあらかじめわかっているような州。だけだというのである。本稿では、泡沫候補(泡沫政党から出馬している候補者)――往々にして見逃されがちな存在――を支持している有権者の投票行動に着目して、1972年~2000年までの間に行われた米大統領選挙に改めて分析を加えた。悪天候は、投票率を下げることによって選挙結果に影響を及ぼすのではない。泡沫候補を支持している有権者の心理に変化をもたらすことによって選挙結果に影響を及ぼすのだ、というのが我々の言い分である。悪天候になると、泡沫候補に投票して後悔する(自分の無力さを実感する)のを避けようとする欲求が強まって、二大政党(共和党&民主党)から出馬している候補者のいずれか一方に票を投じるように誘(いざな)われるのだ。
来る火曜日(11月8日)に雨が降れば、(リバタリアン党から出馬している)ゲーリー・ジョンソンに投じられるはずだった票の一部が(共和党の大統領候補である)トランプに流れる可能性があるというわけだ。
デュハイムのホームページはこちら、モールトンのホームページはこちら。二人ともMIT(マサチューセッツ工科大学)のスローン経営大学院で学んでいる最中だ。デュハイムは、来年ジョブマーケットに参戦予定らしい(モールトンの今後の予定についてはわからない)。