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ブランコ・ミラノヴィッチ「格差研究の歴史」(2020年11月8日)

The history of global inequality studies
Sunday, November 8, 2020
Posted by Branko Milanovic

 私はこの間、グローバル格差研究の起源について、クリスチャン・クリスチャンセンによって書かれた非常に素晴らしい論文を読んだ。この論文はまだ発表されていないためここで引用することはしないが、興味のある読者には、これと同じテーマを扱った、彼とスティーブン・ジェンセン(編集者)による素晴らしい著書『Histories of Global Inequality(グローバル格差の歴史)』に収められた、特にイントロダクションの論文を読むことを勧める。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「『資本主義だけ残った』世界の芸術家の役割」(2021年2月8日)

The problems of authenticity under capitalism
Monday, February 8, 2021
Posted by Branko Milanovic

 『Capitalism, Alone』〔邦題『資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来』西川美樹訳、みすず書房、2021年〕の最終章で、私は、富の拡大によってもたらされる私生活の様々な変化(と、それによってこれまで家族の中で提供されていたサービスが商品として調達できるようになること)と、私生活の中に資本主義的関係性が「侵入」してくることによる、私生活の様々な変化について論じている。論じた問題の内の1つが、高度に商業化された社会では家族の有用性が低下し、社会が豊かになっていくにつれて、家族の人数が明らかに減少していく(というよりもむしろ、孤独な生活への選好が見られる)現象である。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「『資本主義だけ残った』:ブルガリア語版出版記念インタビュー」(2020年12月26日)

On “Capitalism, Alone”: A conversation
Saturday, December 26, 2020
Posted by Branko Milanovic

この記事は、ブルガリア語版『Capitalism, Alone』〔邦題『資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来』西川美樹訳、みすず書房、2021年〕の出版に際して、セガ新聞に寄せたインタビュー記事だ。ブルガリア語での記事はこちら

1. ユーゴスラビアで育ち、ベオグラード大学で博士号を取得したことは、あなたの世界観やあなたの研究にどのような影響を与えてきたと思いますか。

私に影響を与えたのは、主にユーゴスラビアの非同盟外交政策だったと思います。イデオロギー的な動機から学校で教えられたことの中にも、非同盟、つまり反帝国主義や反覇権主義(これはソ連のこと)に重点を置いたものがありました。このおかげで、私たちは世界の非ヨーロッパ圏にも心を開き、関心を持つことができたのです。全員に同じ影響があったわけではないでしょうが、私は10代の頃ですら、とても政治的でとても「第三世界主義(Tiermondiste)1 」的でした。私が知る限り、セルビアや旧ユーゴスラビアの他の地域の学校では、今では同じような考え方が見られず、残念に思うことがあります。現在は、欧州連合(EU)という形のヨーロッパ中心主義が支配的で、ヨーロッパ以外への関心が抑圧されています。 [Read more…]

  1. 訳註:米ソに与しない国々の団結を推進する考え方 []

ビル・ミッチェル「税金を払ったり国債を買ったりするためのお金はどこからやって来るのか?」(2018年3月15日)

Where do we get the funds from to pay our taxes and buy government debt?
Posted by Bill Mitchell on Thursday, March 15, 2018

先週あたりのやや長いTwitter上のやり取りで(不本意にも)私が引用されていた。そこでは「MMTを全て理解している」と自負する人(つまり、彼はMMTの基本原理や抽象性と洞察力のレベルを理解しているのだと思う)が、現代貨幣理論(MMT)提唱者が徴税や国債発行は通貨発行政府の支出を賄ってはいないと主張して嘲笑されている、と延々と主張している。彼は、税収があたかも中央銀行にある政府預金口座に入金されているように見え、政府はその口座残高がプラスでない限り支出ができないという米国の既存の制度的構造を指摘している。また、どうやら「債務上限」に関する現在進行中のごまかしにも言及しており、Twitter上にある主張によれば、それが財政赤字が国債発行から得た借金によって賄われているという「事実」を証明するものらしい。先週、私のブログの読者からこの問題に関する多くのメールを受け取った。彼らは(概して)この主張に対して「説得力がある」と感じたためか、その真偽について疑問に思っていた。初期からのMMT提唱者はこの点について本当に誇張しすぎていたのだろうか?また、こうした会計上の取り決めが、実際には政府が赤字支出のために税収と借金の両方によって資金を調達しなければならないという証拠になるのだろうか?困惑が広がっているようだ。政府の支出と徴税に関連する金銭的な流れの根本的性質を理解できれば、上記のような議論がせいぜい表面的なものに過ぎず、とある基本的な問いに対処できないことがすぐに分かるようになる。それは、税金を払ったり、国債を買ったりするためのお金はどこからやってくるのか、という問いだ。そこまで掘り下げれば、この問題はすぐに解決できる。 [Read more…]

ビル・ミッチェル「MMT批判者の大行列 − 忘却への行進」(2019年3月7日)

Bill Mitchell, “The conga line of MMT critics – marching into oblivion“,  Bill Mitchell – Modern Monetary Theory, March 7, 2019

ちょうど先週末、「経済に関する教育的・学術的交流」の推進を目的とした、米国を拠点とするEastern Economic Associationによる毎年恒例の会議がニューヨークで開催された。討論会の一つは「貨幣の新たな見方」に焦点を当てたもので、注意力に欠けた経済学者が不満を抱き、我々の研究を打ち砕こうとしたためにMMTバッシングのセッションに変わったという話を確かに聞いている。こうした手法はほとんど標準化されてきている。MMTではないものをMMTとして作り上げ、一次ソースをほとんど参照せず、自分たちの主張に適合するように言葉の策略によってねじ曲げることができるものだけを参照し、虚偽のMMTを用いて引用もしていないMMT発案者の様々な過失を批判し、MMTは役に立たないと結論づける。もしくは、それが正しいのは少なくとも知っていたし、斬新さはないからという理由で、いつものように片付ける。現実から目を背ける。自分が信頼性を失った退行パラダイムの一部であるということが怖くて認められない。横断性条件の最適化が満たされる必要があるというようなことをあれこれ言いながら怒鳴り散らす。批判の大行列の一員になれたことに幸福を感じる。私には、その行列が忘却の彼方に向かっていて欲しいものだが。そこはまさに反知性のゴミの山だ。 [Read more…]

ファデル・カブー「アフリカのパンデミック対応は、経済・通貨主権の回復を必要としている:公開書簡」(2020年9月)

Africa’s Pandemic Response Calls for Reclaiming Economic and Monetary Sovereignty: An Open Letter 

これまでのところ、アフリカは新型コロナウイルスによる公衆衛生への最悪の影響を免れてきたが、それに伴う経済活動の停止により、アフリカが抱える経済的欠陥と構造的脆弱性がより明るみに出るようになった。アフリカは資源に恵まれた大陸であり、すべての住民にまともな生活の質を提供する能力がある。医療や教育などの普遍的な公共サービスを提供し、働きたい人には雇用を保証し、働けない人にはまともな所得補助制度を保証することができる。しかし、長期にわたる植民地時代とその後の社会経済的混乱は、市場の自由化によってますます悪化し、アフリカ諸国を次に挙げるような構造的欠陥を有した悪循環に陥らせてきた。それは、

  • 食糧主権の欠如
  • エネルギー主権の欠如
  • 低付加価値の製造業・資源採取産業

である。 [Read more…]

ダニ・ロドリック「資本規制に対する的外れな批判」(2008年3月8日)

●Dani Rodrik, “Nonsensical arguments against capital controls”(Dani Rodrik’s weblog, March 08, 2008)

この間、私とアルビンド・スブラマニアンがフィナンシャル・タイムズに記事を寄稿した時もそうだったのだが、誰かがフォーマルな場で「資本規制」という言葉を口にするたびに、そうした考えは狂っているという反論が山ほど返ってくる。彼ら反対論者は、政策立案者が、国境を超える資本移動を食い止めようとする政策に手をつけるべきでないと繰り返し唱えている。しかし彼らの主張をよく見てみると、驚くほど根拠に乏しく、相互に矛盾していることが分かる。

ここではそうした中で典型的な反論を見ていく。

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ブランコ・ミラノヴィッチ「ミルトン・フリードマンと労働者管理企業」(2020年10月15日)

Milton Friedman and labor-managed enterprises
Posted by Branko Milanovic Thursday, October 15, 2020

 1973年の春、ミルトン・フリードマンはユーゴスラビアを訪問した。彼はその旅の数週間後、この訪問についての非常に興味深いやり取りを録音しているリンク先を参照;このリンクは私の友人であるミロス・ヴォイノヴィッチが発掘したものだ)。フリードマンのユーゴスラビアに対する印象と、そこで出した結論は非常に明確で的を射ている。ただしフリードマンの考えは当時において特に目新しいものではなかった。彼が言及しているユーゴスラビアの協同組合(正確には自己管理型企業、SME)の問題は1973年の時点では大変よく知られていた。それでもやはり、フリードマンのまとめは非常に的確であった。またおそらく彼は、よく計画された訪問と良い対談相手に恵まれていたようである。私はフリードマンと対談したメインホストが、ベオグラードの傑出した経済週刊誌である『Ekonomska Politika』に所属する優秀なジャーナリストであったことを漠然とだが読んで覚えている(私の初期の記事のいくつかはここで出版されているので、この雑誌に対する私の評価にはいつも多少の好意的バイアスがかかっている)。

 皆さんにはフリードマンの話を聞くことを勧めるが、フリードマン(もちろん他の人も)が指摘したSMEの3つの大きな欠陥についてもう少しだけ述べておきたい。これは労働者による経営と所有という考え方が再び人気を集め始めている今、特に重要と言える。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「不平等と新型コロナウイルス」(2020年9月15日)

Inequalities and Covid-19
Posted by Branko Milanovic on Tuesday, September 15, 2020

不平等というのは様々である。所得と富の格差だけではなく、性別、人種、年齢、国内の地域単位などにおいても不平等は存在している。ニューヨークのような街を散歩していると、あるエリアから別のエリアへと歩いただけで格差が見て取れる。

そのため、(様々な形で)不平等とパンデミックの影響にしばしば関連性が見られるのは特に不思議なことではない。私が思うに、これはアメリカにおいて非常に明白であるが、おそらく南アフリカやペルー、チリ、ブラジル、インドと言った甚大な被害を受けた他の国においても同じである。 [Read more…]