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スコット・サムナー「中国・アメリカ・日本の購買力平価について少し考える」(2019年9月23日)

[Scott Sumner, “Some thoughts on PPP in China, the US, and Japan,” Money Illusion, September 23, 2019]

中国についてぼくが考え違いをしていたことに,為替レートがある.2010年前半に,ぼくはこう予想していた――「バラッサ・サミュエルソン効果〔散髪みたいな非貿易財よりも自動車みたいな貿易財の生産性が高い国は物価が高くなる効果〕により,ドルに対する人民元の実質為替レートは強く価値が上がるだろう.」 そうはならなかった.さらに,中国を訪れた後でも,その理由はいまひとつわからずにいる.それでもいちおう,中国に行ってみて気づいたことについて,いくつか書いてみよう.

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アレックス・タバロック「モンティ・ホール問題の直観的にわかりやすいバージョン」(2019年9月19日)

[Alex Tabarrok, “The Intuitive Monty Hall Problem,” Marginal Revolution, September 19, 2019]

いろんなパズルは,ある角度から眺めたときには解きにくいのに視座を変えてみたらかんたんになることがよくある.Q&Aサイトの StackExchange に,モンティ・ホール問題と本質は同じで正解を切り替えるかどうかの正しい選択が一目瞭然なものはなにか,という質問があがっている.ジョシュア・B・ミラーが,見事な回答を寄せている.おさらいしておくと,もともとのモンティ・ホール問題では,3つ並んだドアのうち1つにすてきな賞品が待っていて,回答者がどれか1つを選ぶと,司会者のモンティ・ホールが残り2つのうち1つを開けてハズレなのを見せる(開けるのは必ずハズレの方だ).これを見たあとで,ドアの選択を切り替えるか,それとも最初に選んだままにしておくか? たいていの人は,切り替えるべき理由を見出さない.あのポール・エルデシュですら,切り替えない派だった.さらに,切り替えると答える人も,たいていは,直観的にわかりにくいベイズの確率計算をやってその結論にたどり着く.

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タイラー・コーエン「紛争の発生頻度は世界でどう変わってきたか」(2019年9月19日)

[Tyler Cowen “Frequency of conflict initiation worldwide,” Marginal Revolution, September 19, 2019]

上の画像は,Bear F. Braumoeller が書いた興味深い新刊『現代における戦争の永続』(Only the Dead: The Persistence of War in the Modern Age) から.

この本は,世界がだんだん平和になってきているっていうピンカーの説を批判するのに大部分を割いている(ピンカーはヨーロッパ限定の,より楽観的なデータだけを示している).本文から抜粋しよう:

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アレックス・タバロック「アクティブ・ラーニングは機能するけれど学生のお気には召さない」(2019年9月9日)

[Alex Tabarrok, “Active Learning Works But Students Don’t Like It,” Marginal Revolution, September 9, 2019]

一貫して同じ学生と教員を対象にして注意深く実施された実験により,アクティブ・ラーニング〔能動的学習〕の授業の方が学生たちはより多く学ぶものの,このスタイルの授業を学生は嫌い,学ぶものがそれほど多くないと考えていることが明らかになった.べつにものすごく意外な結果ではない――アクティブ・ラーニングは難しくて,学生はまるで自分がバカなような思いをしてしまうものだ.それよりも,イスにふんぞり返ってご立派な講師が巧みな講義でなにもかも単純なように思わせてくれるのを楽しんでいる方がずっとラクだ.

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ニック・ロウ「中銀に弾切れなし:農地の価格政策としての金融政策」(2019年8月23日)

[Nick Rowe, “On not “running out of ammo”: Monetary Policy as Farmland Price Policy,” Worthwhile Canadian Initiative, August 23, 2019]

〔それまで金本位制をとっていた〕とある国の中央銀行が農地の価格を決めて固定した場合を想像してみよう.中央銀行は,「これから1ヘクタールあたり1万ドルで無制限に農地を売買します」と宣言する.すると,「1ドル」は何オンスかの金(ゴールド)を意味しなくなる.1ドルが意味するのは,「1平方メートルの農地」を意味する.

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ダイアン・コイル「昔々,あるところに:物語と感染の経済学」(2019年8月29日)

[Diane Coyle, “Once upon a time,” The Englightened Economist, August 29, 2019.]

これほどいろんなところで物語への関心がぽこぽこ湧き出しているのはとても興味深い.王立協会は,人工知能における物語,ひいては科学における物語に,着目している.『投機バブル:根拠なき熱狂』の著者として(そしてノーベル賞受賞者として)名高いロバート・シラーが新しく出した本の題名は,『物語りの経済学:お話はいかにして伝播し大きな経済的事象を駆動するのか』という.この本のもとになっているのは,2年ほど前にシラーがやった講義だ.冒頭をこう書き出している:「本書は,経済変化の新理論の初手を提示し,定番の経済的要因リストに新しい重要要素を導入する:その要素とは,口コミや報道メディアやソーシャルメディアをつうじて人から人へと伝播して人気を博する感染力のあるお話だ.」

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サイモン・レン=ルイス「新たなマクロ経済政策割り当て」(2019年8月28日)

[Simon Wren-Lewis, “A New Macropolicy Assignment,” Mainly Macro, August 28, 2019]

次に景気後退が生じたときにこれを抑えられるかどうかについて中央銀行家たちが正しくも悲観的になるなか,中央銀行はインフレを目標値に維持しつつその責務を政治家に渡すときがきているのかもしれない.

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タイラー・コーエン「金融政策は力を失ってしまった?」(2019年8月29日)

[Tyler Cowen, “Has monetary policy lost its power?” Marginal Revolution, August 29, 2019]

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サイモン・レン=ルイス「イギリスで景気後退のさなかに財政緊縮をやった事例:1981年と2010年を比べてみると」(2019年8月3日)

[Simon Wren-Lewis, “Fiscal tightening in UK recessions: 1981 and 2010 compared,” Mainly Macro, August 3, 2019]

健康で平穏な生活を守るために,Twitter でのやりとりを控えることにしている.ただ,先日,Andrew Dentance とのやりとりを例外にした.論点は,1981年の財政引き締めが2010年の緊縮とどれくらい同等と言えるのか,という点だ.明らかに,これにはあれこれと話を整理するためにちょっと文章を書くしかない.このあと掲載するいくつかのグラフで,1981年/82年(青)と2010年/11年(赤)がGDP に占める割合でみたさまざまな財政の尺度でどう比較できるか見ていこう.(厳密に言うと,それぞれのグラフが取り上げている財政の尺度が GDP に占める割合を X とすると,青い線が示しているのは1980年/1年の X をその後数年から差し引いたもので,同じく赤い線は2009年/10年の X をその後数年から差し引いたものを示す.データの出典は予算責任局 (OBR) の公共ファイナンスデータバンク〔※OBR のデータはこちらのExcelファイルを参照.〕)

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ノア・スミス「貧困と悪癖についてケヴィン・ウィリアムソンが間違っているところ」(2019年8月3日)

[Noah Smith “Why Kevin Williamson is wrong about poverty and bad behavior,” Noahpinion, August 3, 2019]

先日,ブルームバーグのコラムでこう論じた.先進国において,「悪癖」は――ドラッグ使用・暴力・片親の育児・怠け癖などは――貧困の主な原因ではない.証拠に挙げた国は日本だ.日本は,薬物使用も暴力も片親の育児も怠け癖も低い率にとどまっているのに,貧困率がアメリカにほぼ並んでいて,豊かなヨーロッパ諸国よりも大幅に上回っている.日本にそうした悪癖はとても少ないのに先進国にしては貧困率が高いのだから,悪癖が総体として貧困の主な原因になっているわけがない.

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