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フィル・アームストロング&ウォーレン・モスラー「現代貨幣理論(MMT)のレンズでみたワイマール共和国のハイパーインフレ」(2020年11月11日)

Weimar Republic Hyperinflation through a Modern Monetary Theory Lens
by Phil Armstrong and Warren Mosler
11/11/2020
翻訳:朴勝俊

抄録

 1922-23年のワイマール・ドイツにおけるハイパーインフレは、「健全財政」のルールで政府を拘束すべきだとする論拠として、主流派経済学者(特にマネタリスト)のお手本とされている。彼らは、政府は必ず分限を超えた支出をする傾向があり、放っておけばインフレは「手に負えなくなり」、ハイパーインフレが起こると主張する。つまり破局的な貨幣価値の崩壊が起こり、それは継続的で、加速的で、止めることが出来ないものだというのである。

このような主流派の常識的分析とは対照的に、我々はインフレの原因は全く別物だと認識している。持続的で積極的な政策的支援が行われなければ、インフレなど起こらないと考える。そして、そのような政策がなくなればインフレは急速に沈静化するのである。我々は主流派の誤った理論を、物価水準とその変化の決定要因を明らかにする現代貨幣理論(MMT)の知識で置き換える。我々はワイマールに関する歴史家ではないので、包括的な歴史的分析を行うことを目的としているわけではない。我々は、これまで伝えられてきた、ワイマールのハイパーインフレの背景にある因果関係を、それを突然収束させた要因とともに検証する。

 本稿の目的は、これまで伝えられてきた情報を、 MMT の観点から考察することである。  この中で、インフレの原因は、ドイツ政府が政府支出の調達価格を高め続けたことだと明らかにする。それは特に、賠償金支払いのために、連合国が要求した外貨を購入する際の価格上昇である。そして貨幣量の増加と紙幣の増刷は、ハイパーインフレの原因ではなく、むしろ結果であることを示す。 

本稿は、ワイマール共和国のインフレは、ドイツ政府がライヒスバンクと協働してマネーストックを積極的に拡大させたことに起因するという、主流派の見解に異議を唱えるものである。 第1節では、まず新古典派の視点から、次にMMTの視点から、物価水準の決定要因とインフレの原因を検証する。 第2節では、ワイマールのハイパーインフレを分析する。 第3節では、MMTの洞察をワイマールのハイパーインフレに適用し、我々の代替シナリオを提示する。 第4節で結論を述べる。 [Read more…]