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タイラー・コーエン「窓税」(2020年10月23日)

[Tyler Cowen, “The window tax,” Marginal Revolution, October 23, 2020]

イギリスで実施されていた窓税(1696年~1851年)は,課税によって資源配分の歪みが誘発されるめざましい実例となっている.住戸に課される税は,その住戸にある窓の数で変わっていた.その結果,人々は窓に板を打ち付けて塞ぎ,新たに立てる住宅の窓はごくわずかに抑えた.これにより,人々の健康も美観も損なわれた.地域の個別住宅の課税記録から得られたデータを用いたところ,本稿の分析では,こうした節税を示す説得力ある証拠を見出すとともに,さらに,窓税に関連した過大な税負担の概算を示す.

Robert M. Schwab と Wallace E. Oates による論文の全文はこちら

タイラー・コーエン「パンデミック下の最低賃金法」(2020年10月24日)

[Tyler Cowen, “Minimum wage laws during a pandemic,” Marginal Revolution, October 24, 2020]

ブルームバーグの Michael Strain 記事から:
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タイラー・コーエン 「ノーベル賞の権威に陰りが見えつつある?」(2020年10月11日)

●Tyler Cowen, “Are Nobel Prizes worth less these days?”(Marginal Revolution, October 11, 2020)


どうやらそのようだね。受賞者もたくさんいるしね1ブルームバークに寄稿したばかりのコラムの一部を以下に引用しておこう。

今年のノーベル平和賞は、国連(国際連合)の機関である世界食糧計画(World Food Programme)に授与されたが、グローバル開発センター(Center for Global Development)――その方面では名の知られた有数のシンクタンク――が作成している「援助効果」ランキングによると、世界食糧計画は(途上国の援助に取り組んでいる計40の組織のうちで)最下位という結果になっている。ウィリアム・イースタリー(William Easterly)&トビアス・プフッツェ(Tobias Pfutze)の二人による2008年の研究(pdf)でも、世界食糧計画には手厳しい評価が下されている。

この件に関して特筆すべきは、ノーベル賞委員会が判断を誤ったかもしれないってことではなく、誰も気にもかけてないようだってことだ。世界食料計画の成果に疑問を呈する声がツイッターの一部で上がっているものの、大きな論争を巻き起こすまでにはなっていないのだ。

私もツイッターでノーベル賞受賞者を何人かフォローしているが、その面々の全体的な印象として、20代(あるいはそれ以下)の若者よりも気まぐれ屋に見える。そのこともノーベル賞の威光を弱めることになっているかもしれない(この点について詳しくは、コラムを参照してほしい)。マーティン・グッリ(Martin Gurri)の言う通りってわけだ。

もう一丁引用しておこう。

インターネットは、別のかたちでも賞のインパクトを弱める方向に働いている。ポール・ローマー(Paul Romer)のケースがいい例だ。「チャーター都市」構想をはじめとして、ローマーのアイデアの多くについては、2018年に彼がノーベル経済学賞を受賞(文句なしで受賞)するよりもずっと前から(10年近くは)、ネット上で盛んに論じられていた。ブログだったり、ツイッターだったり、Medium(ミディアム)だったりで。ネット上でその議論を追っていた誰もが、「ローマーはそのうちノーベル経済学賞を受賞するだろう」と予想していたが、2018年になってローマーに実際に賞が授与されると、「今頃になってか」と拍子抜けしたものだ。労働経済学者であるデビッド・カード(David Card)が(おそらくは共同研究者と一緒に)今年のノーベル経済学賞を受賞することになったとしたら(その可能性はありそうだが)、同じような反応(「今頃になってか」)になることだろう。

ちなみに、今年のノーベル経済学賞は「カードと誰かの共同受賞」というのが私の予想だ。

  1. 訳注;受賞者の数が年々積み上がるのに伴って、賞の特別感が薄れていっている、という意味。 []

タイラー・コーエン「セックス労働違法化の意図せざる帰結」(2020年9月21日)

[Tyler Cowen, “Unintended Consequences of Criminalizing Sex Work,” Marginal Revolution, September 21, 2020]

本稿では,セックス労働違法化の影響を検討する.インドネシアの東ジャワにある地区で地域行政によってセックス労働が唐突に違法化された一方で,隣接する複数の地区では違法化されなかったのを,ここでは利用する.我々は,違法化前後での女性セックス労働者とその顧客たちからデータを収集した.生物学的検査による計測を検討したところ,違法化によって,女性セックス労働者のあいだで性感染症が 58パーセント増加していることがわかった.この増加を進めた要因は,コンドームの入手・使用が減少した点にある.また,違法化を受けてセックス労働をやめた女性たちの収入は違法化によって減少し,さらに,女性たちの子供が学校に通うのに必要な金銭を工面する能力が下がる一方で,子供たちが世帯所得を補うために労働しはじめる確率は高まった.性産業が永続的に縮小すれば人口当たりの性感染症発生数が改善する余地はあるが,違法化から5年間で市場は再び拡大に転じ,人口全体での性感染症罹患率は高まっている見込みが大きい.

上記は,Lisa Cameron, Jennifer Seager, & Manisha Shah による NBER ワーキングペーパーからの抜粋.

タイラー・コーエン「1918年のスペイン風邪はどれくらいひどかったのか」(2020年8月25日)

[Tyler Cowen, “How bad was the Spanish Flu pandemic of 1918?” Marginal Revolution, August 25, 2020]

〔1918年のインフルエンザ・パンデミックは〕たしかに酷い悲劇だったにはちがいないけれど,多くの地域では,近い年に起きた他の出来事の方がずっと酷かった.
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タイラー・コーエン「フェイクニュースに言及するのもダメ」(2020年8月8日)

[Tyler Cowen, “Don’t mention the fake news,” Marginal Revolution, August 8, 2020]

定義不良の用語「フェイクニュース」を使ってフェイクニュースが広まっていると主張しているのを読んだり聞いたりするのですら,有害になりうる.Van Duyn & Collier (2019) の研究では,メカニカルタークの回答者を対象に実験を行い,「フェイクニュース」という単語を含むツイートに触れると,回答者たちが虚偽のニュースと事実のニュースを識別しにくくなるのを見出している.同様に,Clayton et al. (2019) の研究では,メカニカルタークで回答者たちに実験に参加してもらい,ソーシャルメディアで誤解を誘う情報が広まっているという一般的な警告を読んでもらうと,妥当なニュース源と信頼できないニュース源のどちらのヘッドラインも正確さを〔比較的に〕低く評価する傾向が出てくるのを見出している.ここから,この警告によって〔ニュース源が信頼できるところかそうでないかについて〕無差別な懐疑が引き起こされることがうかがえる.

上記の出典は,誤認がどう生まれて存続するのかについて Brendah Nyhan が調査した JEP のすぐれた論文

タイラー・コーエン「これは現代の奴隷制と戦うのにふさわしい方法ではない」(2020年8月2日)

[Tyler Cowen, “How not to fight modern-day slavery,” Marginal Revolution, August 2, 2020]

――というのが,今回『ブルームバーグ』に書いたコラムの話題だ.ちょっと抜粋しよう.
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タイラー・コーエン「ロックダウン以後に就業時間の過ごし方はどう変わってるかな」(2020年8月4日)

[Tyler Cowen, “How the workday is changing post-lockdown,” Marginal Revolution, August 4, 2020]

3,143,270名のユーザーによる会議とメール利用について得られたメタデータを匿名化して集積して用いたところ,パンデミック以前の水準に比べて,一人当たりの会議回数が増加し(+12.9パーセント),会議1回あたりの出席者数も増加している(+13.5パーセント)一方で,会議の平均時間は減少している(-20.1パーセント).全体を総合して見ると,ロックダウン期間以後に,一日当たりの会議時間は減っている(-11.5パーセント).また,就業時間の平均的な長さは顕著に持続して伸びている(+8.2パーセント,すなわち +48.5分).さらに,電子メール利用時間も短期的に増加している.

上記の抜粋は,Evan DeFilippis, Stephen Michael Impink, Madison Singell, Jeffrey T. Polzer, & Raffaella Sadun による新しい NBER 論文から引用した.この研究は,ヨーロッパ・北米・中東から得られたデータに基づいている.

タイラー・コーエン「どうしてアメリカ人のリーダーたちはこんなに高齢なんだろう?」(2020年7月18日)

[Tyler Cowen, “Why does America have such old leaders?” Marginal Revolution, July 18, 2020]

1950年いらい,OECE に加盟する30ヶ国ほどの政府首脳陣の平均年齢は一貫して下がってきている.当初の平均年齢は60歳以上だったのが,今日では平均54歳だ.OECE 加盟国首脳陣の平均年齢は,いまやトランプ氏より20歳ほど若い――バイデン氏に比べると,さらに四半世紀近くも若い(…)

高齢なのは,アメリカの大統領だけではない.議員の平均年齢も,数十年にわたって高齢化している.下院議長ナンシー・ペロシは80歳,上院多数党院内総務ミッチ・マコーネルは78歳だ.最高裁判事9名の平均年齢は67歳を超えている.トランプ氏の閣僚たちの平均年齢は,OECD諸国で最高齢となっている.

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タイラー・コーエン「ハーバードでのシグナリングと資質認定」(2020年7月7日)

[Tyler Cowen, “Signaling vs. certification at Harvard,” Marginal Revolution, July 7, 2020]

ハーバードは秋学期の教育をオンラインだけでやる予定だ(一部の学生は寮生活をする).それでも,学費は全額請求するそうだ.この件を論評している人たちの多くは,教育のシグナリング理論を支持する証拠がここからもたらされると主張している.
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