マイルズ・キンボール 「ピンカーに学ぶ『藁人形』の使い方」(2012年12月8日)

●Miles Kimball, “Steven Pinker on Straw Men”(Confessions of a Supply-Side Liberal, December 08, 2012)


スティーブン・ピンカー(Steven Pinker)の『The Stuff of Thought』(邦訳『思考する言語』)より(原書 89ページ)。

藁人形(straw man)の美点は、用途(ようと)が多いところだ。

・「サンドバッグにする」というのが一番使い古されている用途だ。手強い論敵を隙(すき)だらけの間抜け(藁人形)に仕立て上げて、タコ殴りにするのだ。

・二段階作戦という手もある:第一段階で、論敵の間抜けな似姿(藁人形)を拵(こしら)える。第二段階で、そんなに間抜けじゃないと認めてやる。ただし、論敵にまともなところがあるのは、こちらの舌鋒鋭い批判に屈したからであるかのように言い募る。

・「生贄(いけにえ)」として使うという手もある。自説の評判が芳(かんば)しくない時に役立つ手だ。自説を過激にしたような藁人形を拵えて、その藁人形との対比で自説の穏健さをアピールするのだ。 [1] … Continue reading

References

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1 訳注;この後に次のような文章が続く。「ワインディーラーがお店の陳列棚に法外な値段のワインを敢(あ)えて置くのと同じ戦略だ。どれを選ぼうかと迷っているお客が、真ん中の価格帯のワインに引き寄せられるのをワインディーラーは知っているのだ。一番高価なワインが30ドルだったとしたら10ドルのワインが選ばれていたところを、100ドルのワインも並べておいて30ドルのワインを買わせるのだ」。つまりは、自説を過激にしたような藁人形(=法外な値段のワイン)のおかげで、自説が穏健(=真ん中の価格帯のワイン)に見えるようになって説得力が増す、という意味。
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