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ジョセフ・ヒース「移民についてのカナダ特殊論」(2017年7月1日)

Canadian exceptionalism
Posted by Joseph Heath on July 1, 2017 | Canada, immigration, multiculturalism

先日のことになりますが、イギリスの選挙ではジェレミー・コービンが躍進し、フランスではマクロンが現象を巻き起こすことになりました。この両出来事を受けて、右派ポピュリズムの熱狂は崩壊し始めている、といった楽観論が見られます。こういった楽観論が現れたのは、ドナルド・トランプ、彼の存在がある程度は理由になっているでしょう。トランプの選挙とそれに引き続いた彼の言動は、醜悪なアメリカ人の完全な自己標本のようなものになっていました。このトランプの一連の言動は、他国の有権者に「トランプに権力を与えた熱狂を我々は克服しているのだ」と思わせ、これらの国におけるポピュリズムの趨勢に相当のダメージを与えたことは疑うまでありません。(思うにこのトランプの言動はフランスでの出来事において重要な要因になっていました。)

ほんの数ヶ月前だと、〔このような楽観論は全く存在せず〕様々な事情は全く異なって認識されていたのです。当時、カナダでは排外主義が勢いづくような兆候が〔諸外国と比べて〕例外的に観察されず、カナダは特殊なのではないのか、といった議論が国内に蔓延することになりました。私たちカナダ国民皆が見た、ジャスティン・トルドーが笑顔でシリア難民を空港で歓迎している写真が、世界中の新聞に転載されたのです。そして写真が掲載されたことで、カナダ人の多くが、我が国はなぜ特殊なんだろう、と不思議に思うことになりました。

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