タイラー・コーエン 「『あの国について知りたい』という時に重宝する本」(2018年1月8日)

●Tyler Cowen, “What is the best book about each country?”(Marginal Revolution, January 8, 2018)


確か王丹(Dan Wang)だったと思うが、ロバート・トゥームズ(Robert Tombs)の(イギリス史がテーマの)『The English and Their History』がお気に入りで、他の国についてもこんな本があったらいいのにと語っていたように記憶している [1] 訳注;この点について詳しくは、こちらを参照されたい。。それぞれの国について知るために格好の本を教えてもらえないだろうかという相談は、本ブログの読者からも寄せられたことがある。

候補になる本の条件としては、その国について幅広い観点から概観しようとしているか、その国の歴史を広くカバーしていなくちゃいけないだろう。そうだとすると、フランス革命についての傑作だったり、アラン・ジャニク(Allan Janik)&スティーヴン・トゥールミン(Stephen Toulmin)の『Wittgenstein’s Vienna』(邦訳『ウィトゲンシュタインのウィーン』)なんかは――あっぱれな一冊だけれど――、候補外になるだろう。とりあえず、以下に思い付くままに列挙するが、何かお薦めがあるようならコメント欄で教えていだたきたいと思う。コメント欄での指摘を反映した修正版をまた改めて投稿するつもりだ。

1. イングランド/ブリテン:ロバート・トゥームズ(著)『The English and Their History』;この本については、本ブログで過去にこちらのエントリーで話題にしている。

2. ドイツ:ピーター・ワトソン(Peter Watson)(著)『The German Genius: Europe’s Third Renaissance, the Second Scientific Revolution, and the Twentieth Century

3.イタリア:ルイジ・バルジーニ(Luigi Barzini)(著)『The Italians』(邦訳『イタリア人』)/デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)(著)『The Pursuit of Italy: A History of a Land, its Peoples, and their Regions

4. スペイン:ジョン・フーパー(John Hooper)(著)『The Spaniards

5. フランス:グラハム・ロッブ(Graham Robb)(著)『The Discovery of France: A Historical Geography

6. ポルトガル:バリー・ハットン(Barry Hatton)(著)『The Portuguese: A Modern History』;この本については、本ブログで過去にこちらのエントリーで話題にしている。

7. アイルランド:トーマス・バートレット(Thomas Bartlett)(著)『Ireland: A History

8. ロシア:ジェフリー・ホスキング(Geoffrey Hosking)(著)『Russia and the Russians』;今回のリストの中でもベストの一冊。

9. ウクライナ:セルヒー・プロヒー(Serhii Plokhy)(著)『The Gates of Europe: A History of Ukraine』(邦訳『ウクライナ全史:ゲート・オブ・ヨーロッパ 』)

10. 米国:ルイス・ハーツ(Louis Hartz)(著)『The Liberal Tradition in America』(邦訳『アメリカ自由主義の伝統』)/トクヴィル(の『アメリカのデモクラシー』)はどうだろう? ジョン・ガンサー(John Gunther)(著)『Inside U.S.A.』(邦訳『アメリカの内幕』)は?

11. カナダ:????;(カナダ出身の)タバロックよ、何か心当たりない?

12. メキシコ:アラン・ライディング(Alan Riding)(著)『Distant Neighbors: A Portrait of the Mexicans』;イタリアのところで挙げたバルジーニの本と同じく、内容がいささか古くさくなってはいるけれど。

13. カリブ諸国:ジョシュア・ジェリー=シャピロ(Joshua Jelly-Schapiro)(著)『Island People: The Caribbean and the World』;この本については、本ブログで過去にこちらのエントリーで話題にしている。

南アメリカ、アフリカ、中東については、もう少し考えさせてもらいたいと思う。

14. カンボジア:セバスチャン・ストランジオ(Sebastian Strangio)(著)『Hun Sen’s Cambodia』;この本については、本ブログで過去にこちらのエントリーで話題にしている。

15. インド:エドワード・ルース(Edward Luce)(著)『In Spite of the Gods: The Rise of Modern India』(邦訳『インド:厄介な経済大国』)/マイケル・ウッド(Michael Wood)(著)『India

16. パキスタン:アナトール・リーヴェン(Anatol Lieven)(著)『Pakistan: A Hard Country』;この本については、本ブログで過去にこちらのエントリーで話題にしている。

17. 中国: ????;どの本を選んだらいいか決めかねている。

18. シンガポール&マレーシア:ジム・ベイカー(Jim Baker)(著)『Crossroads: A Popular History of Malaysia and Singapore

19. 日本:一昔前であれば、カレル・ヴァン・ウォルフレン(の『日本 権力構造の謎』)を挙げていたかもしれないが、いかんせん内容が古すぎる。何かお薦めある?

ジョー・スタッドウェル(Joe Studwell)の『How Asia Works: Success and Failure in the World’s Most Dynamic Region』――この本については、本ブログで過去にこちらのエントリーで話題にしている――は、どこかに入ってくるだろう。

上のリストは修正される可能性があるので、ご容赦を。

何かお薦めがあるようなら、コメント欄で教えてもらえたらと思う。対象となる国の数を増やした上で、また改めて修正版を投稿するつもりだ(地域ごとに小分けして別々に投稿するかもしれない)。

こちらのページで、アメリカに駐在している各国の大使(総勢22名)が「我が国に旅行で訪れる前に読んでおくといい一冊」をお薦めしている。概(おおむ)ね可もなく不可もなくといったところだ。こちらのページでは、それぞれの国(全部で150カ国)を象徴する本が挙げられている。私も同意見というわけじゃないので、誤解なきよう。

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1 訳注;この点について詳しくは、こちらを参照されたい。
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