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アレックス・タバロック「貴重な体液を輸入するカナダ」

[Alex Tabarrok, “Canada Imports Precious Bodily Fluids,” Marginal Revolution, September 14, 2017]

2004年に,カナダでは精子を提供した人に対価を支払うのが禁止され,ぼくが2003年に予想していたとおりにものすごい不足につながった(ぼくのポスト「カナダの一大精子不足」(英文)を参照).カナダ人のピーター・ジャロウスキーが最新事情の記事を書いている(なんとも妙なことに掲載誌は USA Today だ):

かつて,カナダでは国内の精子ドナーの供給が十分にあった.ところが2004年に Assisted Human Reproduction Act(「ヒト生殖支援法」)が可決され,精子を提供してもらう対価を支払うことが違法になった.その後ほどなくして,精子を提供してもよいという人の数が急減し,精子ドナー医院が相次いで休業した.いま,カナダの精子ドナー医院は1つしかなく,精子を提供するカナダ人男性は30~70人となっている.需要が供給をはるかに上回っているため,我らカナダ人はみなさん,つまりアメリカ人を頼っている.カナダはアメリカの営利企業から精子を輸入している.アメリカでは精子提供に金銭的な対価を払うのが合法でごくふつうのことだ.

ところで,ここに注目したい―― Titmus et al. から予想されるのと反対に,アメリカ産精子は高品質だと考えられている.ドナーに関する情報とともに提供されているためだ.

また,カナダが輸入する希少な体液は精子だけじゃない.

免疫グロブリンなどの血漿タンパク製品に使う血漿も,カナダはこれまでずっと国産でまかなえていない.だが,カナダではそうした製品の需要が増加している.昨年,カナダで対価なしにドナーたちから得られた血漿で製造された免疫グロブリンは,需要の17パーセントしかまかなっていない.残りはアメリカからの輸入を頼っている.これに払った金額は6億2300万カナダドル,つまり5億1200万アメリカドルだ.

アメリカ産の血漿への依存は,2012年に少し変わるかに思えた.Canadian Plasma Resources という企業が血漿の採取に特化した医院をオンタリオに開くと公表したからだ.そこで障害となったのが,同社のビジネスモデルが有償ドナーを想定していた点だ.公表のほぼ直後に,Canadian Union of Public Employees や Canadian Health Coalition といった団体〔医療系のロビー団体〕がオンタリオ州政府へのロビー活動を開始して,Canadian Plasma Resources が医院を開設できないようにする法案を通すようはたらきかけた.オンタリオは 2014年にこれに応じて,Safeguarding Health Care Integrity Act(「医療統合安全対策法」)を可決し,これによって有償での提供が違法になった.

(…)安全面について言えば,対価を払って提供された原材料でつくられた製品を輸入している事実から,どうみてもなんの問題ではないとわかるはずだ.Health Canada によれば,なんら健康面の懸念はないそうだ.Canadian Blood Services の CEO グレアム・シャーは YouTube に動画を公開して,「2015年にも2016年にも,有償ドナーによる血漿タンパク製品が安全面で劣ったり危険であったりするという事実は断じてない.そうした事実はない.無償ドナーから提供されたもので製造された製品と同じく安全だ」と説明している.

ジャロウスキーが書いているように――

いまカナダがなすべきなのは,再生可能な体液に国内で対価を払うことを合法にすることだ.それこそ,道義的になすべきことだろう.そうすることで,誰にも危害を及ぼすことなく,もっと多くの人命を救ったり新たな命を生んだりする助けになる.


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