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タイラー・コーエン 「『もしもし。大統領のバラク・オバマという者なんですが・・・』 ~電話で花を注文する大統領が本人であることを証明するにはどうすればいい?~」(2010年11月15日)

●Tyler Cowen, “How does the President order flowers?”(Marginal Revolution, November 15, 2010)


これまで大統領個人のことはあまり話題にしてきていない。その埋め合わせとして今回はつい最近目に留まった(オバマ大統領にまつわる)難題の一つを取り上げることにしよう。

映画『アメリカン・プレジデント』の中でマイケル・ダグラス演じる大統領は花を注文するのに四苦八苦しなければなりませんでしたが、実際のところはどうなのでしょうか? そう尋ねられたオバマ大統領は次のように答えた。「映画の中の大統領とは違って私はクレジットカードを持ち歩くようにしています。ですから花屋さんに行く機会があればカード払いであれやこれやの花を買うことも可能でしょうね」(さらに続けてオバマ大統領は次のように語った。花屋に直接足を運ぶのではなくて電話で花を注文しようとする場合には「店員の方々には私が大統領本人だとは信じてもらえないかもしれませんね」)。

あなたがオバマ大統領その人だと仮定しよう。あなたが正真正銘のオバマ大統領だということを電話越しで証明するためにはどうすればいいだろうか? 電話に出た花屋の店員の近くにはネットに接続されているパソコンがあり、すぐにGoogleにアクセスできる状況だとしよう。その場合は花屋の店員にこう伝えればいい。「私のことについて何でもいいから質問して下さい」、と。その店員がGoogleの力を借りて色々と(オバマ大統領に関する)質問を投げかけてきてもそれに即答すればあなたもGoogleの助けを借りている(Googleを使って質問への答えを検索している)とは怪しまれないだろう。さらには、あちらの電話には202(ホワイトハウスがあるワシントンD.C.の市外局番)で始まる電話番号が表示されるし、あなたの声はオバマ大統領の声(アメリカ国民の間で広く知れ渡っているあの声)そっくり(オバマ大統領本人なのだからそれも当然なのだが)ときている。というわけで、電話越しであってもあなたがオバマ大統領本人だということを証明するのは容易いというのが私の考えだ。まだいくらかスッキリしないところが残っていたとしても「もしかしたら本当にオバマ大統領本人なのかもしれない」と匂わすことができたら店員も(「大統領」という肩書きに気圧(けお)されて)何でも言われるがままのモードに入ることだろう。

アメリカ大統領と偽って電話すれば何らかの法律に抵触するかもしれず、そうでなくても後日(大統領を警護する)シークレットサービスが家にやってくることになるかもしれない。いたずらしてやろう(大統領と偽って電話してやろう)と企む輩が仮にいたとしても「違法かもしれない。シークレットサービスが玄関をノックしにやって来るかもしれない」と心配になって二の足を踏む(いたずらをあきらめる)ことだろう。そうだとすれば、「私は大統領です」とのあなたの発言の信憑性は一層高まることになる。

電話越しで本人であることを信じてもらうのに一苦労せねばならない人物には誰がいるだろうか? 例えばレディー・ガガなんかはどうだろうか? 彼女の普段の声(喋り声)は誰にでも広く知られているというわけではないし1、彼女のファンであればGoogleテストも軽く突破できることだろう(常日頃からネットで彼女に関する情報を調べていてガガのことなら事細かに知っているからだ)2。「私はガガです」と伝えられても花屋の店員の多くは(オバマ大統領の場合のように)「ハハー」と何でも言われるがままということにはならないだろうし、ガガの名を偽ったとしても後日シークレットサービスが家にやってくることもないだろう3

この話題を深く掘り下げていくと進化生物学方面の教訓が何か見つかりそうだ。

  1. 訳注;それゆえ本人であることを証明するために「声」に頼ることはできない。 []
  2. 訳注;(オバマ大統領の場合のように)店員に「私のことについて何でもいいから質問して下さい」と伝えて何でも質問させるという手は使えない、ということ。ガガの熱心なファンであればガガのことについて聞かれても大抵のことは(Googleに頼らずとも)即答できるため、店員がGoogleの助けを借りながら出した質問に即答できたからといってガガ本人であることの証明にはならない(ガガのファンがガガを偽っている可能性を排除できない)。 []
  3. 訳注;その分だけ(大統領の場合に比べると)いたずらを抑止する力が弱い。 []

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