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ポール・クルーグマン「金利をめぐる心配事」

Paul Krugman, “Anxieties Over Interest Rates,” Krugman & Co., November 14, 2014.
[“The Mysterious Fed,” November 10, 2014; “International Mensch Fund,” November 4 2014.]


金利をめぐる心配事

by ポール・クルーグマン

KESHAV/The New York Times Syndicate

KESHAV/The New York Times Syndicate

例によって,メールボックスいっぱいにおたよりがきてる.どれもこれも,アメリカで FRB が利上げする時期についてああだこうだと予想を書いてある.「2015年6月ではないか?」「もっと早期ではないか?」「連銀はすでに待ちすぎているのではないか?」などなど.これまた例によって,なんでそんなことをそもそも話題にしてるのか,ぼくは首をひねってる.そうだね,失業率は下がってる.でも,変化中の人口動態や,応募できる仕事がよくなってるなかで人々が労働力に復帰する度合いに関する不確実性などなどのおかげで,どんな水準の失業率なら維持可能なのかについては,あいまいなところがものすごく大きい.

それに,リスクの非対称性もある.一方では,あまりに早すぎる利上げをすれば,低インフレかデフレの罠にすごく長い間ハマってしまいかねないってリスクがある.他方では,利上げがちょっと後手に回るリスクもあって,その場合には,最悪なら一時的にインフレ目標を上回ってしまうことになるけど,おそらく,その目標からしてそもそも低すぎると言える.こういうリスクの非対称性がある一方で,賃金も連銀が好んでるインフレの尺度も,経済が過熱しすぎてるってきざしをまるで示していない.

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▲ 青線は食料・エネルギーを除く個人消費支出,赤線は全民間従業員の1時間あたり平均賃金

で,なんで利上げがどうのって話になるの? 〔「もしかして,『集団の無知』ってやつ?」と元ブログ記事では続けている〕

© The New York Times News Service


IMF――インタナショナル・メンシュ・ファンド

先日,国際通貨基金 (IMF) が2008年金融危機の後遺症に対する自分たちの対応を調べた監査報告書を公表した(ここで読める:英文).これには,財政緊縮で事態をめちゃくちゃにした件も含まれてる.他国の通貨で借り入れてる経済とそうでない経済を分けて考える必要があるってことを,IMF は理解しそこねた.それに,金利ゼロ下限に直面している環境における財政緊縮のマイナス効果は,歴史上のパターンからうかがい知れる以上に大きくなるだろうってことも認識しそこなった.

当時,ぼくにはそういうことをちゃんと伝えることもできた――で,実際に,何度も繰り返してそう伝えた.

ともあれ,IMF がみずからのやってきたことを誠実に振り返ってそこから学ぼうとしている点をみんなで称賛しようじゃないの.自分の行動と発言の責任をとるのは――ぼくの父ならこれを「いっぱしの人間[メンシュ]らしくやること」と言っただろう――現代の経済論議ではあまりにも希少だからね.その点,IMF はマシってものだ.称賛に値するよ.

© The New York Times News Service


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