Lars Christensen “The Kuroda boom remains all about domestic demand” (The Market Monetarist, January 6, 2014)
去年日銀が過去に例のない金融緩和プログラムを開始ししたとき、ほとんどのコメンテーターはこれを日本の輸出を後押しするための通貨戦争遂行の試みとみなしていたことを覚えているだろうか。僕はそれと違って日本をデフレの罠から引き上げるのは「輸出経路」ではないだろうと強調した。僕はそれよりも国内需要の重要性を強調したんだ。
僕は去年5月に次のように言った。
現在日銀が行っている政策は、おそらく名目GDP成長を目覚ましく加速させ、実質GDP成長についても近いうちに加速させるだろうと僕は強く信じているけれど、成長へ主に貢献するのが輸出だということについては疑っている。その代わりに僕は、おそらくは国内需要の上昇が起こり、それが成長の主要な原動力になると信じている。そう、日本の輸出改善はおそらく起こるだろうけれど、それは実のところ金融緩和が効果を及ぼす上で最も重要な経路ではない。
円の下落については金融緩和の指標と考えるべきなんだと思う。だから円の下落、株価の上昇、インフレ期待の上昇が同時に起こっている場合には、金融情勢が実際に緩和傾向にあるとするのが無難だ。もちろんここから第一に結論できることは、「流動性の罠」はないということをこれが示しているということだ。中央銀行は常に金融政策を緩和でき、それは金利がゼロもしくはゼロ近傍であっても同じだ。日銀は今これを証明しているんだ。
二つのことが日本では今起こっている。一つにはマネタリーベースが劇的に上昇している。そしてもう一つ多分もっと重要なこととして、貨幣の流通速度が目覚ましく上昇している。
インフレ率が上昇するだろうことから家計、企業、機関投資家たちが自分たちの保有している現金の価値は下落すると予想し、その結果日本における貨幣需要が下落しているのだから、貨幣の流通速度が上昇しているのも当然のことだ。円の下落はそれについての非常に良い指標だ。
さて、人はどうやって貨幣需要を減らすだろうか。うん、支出するか投資するかだね。それが日本でこの先数四半期に渡っておそらく起きるだろうことで、民間消費成長は上昇し、企業投資は増加、建設活動も加速するだろう。(中略)
だから日銀(そしてそれ以外の僕らも)は円の急落を祝福すべきだけど、それはそれが貨幣流通速度の急激な上昇を示すものだからであって、日本の「競争力」を高めるからではないんだ。
これを書いた後日本経済は(この世界の他のどの主要先進国よりもずっと力強く)回復を続けてきたけれど、それは輸出じゃなくてほとんど大部分国内需要のおかげだ。
そして今朝 [1]訳注;2014年1月6日 、国内需要にけん引された回復の証拠最新版が届いた。ダウ・ジョーンズ・ニュース・ワイヤーのこの報道をちょっと見てみよう。
日本の12月自動車国内販売(軽自動車を除く登録車)は、前年同月比で18.7%上昇と4か月連続で前年実績を上回ったが、前年同期では政府によるエコカー購入補助金の終了によって需要が打撃を受けていた。
日本自動車販売協会連合会は月曜日、12月の自動車総販売台数は254,464台となり、214,429台であった前年同月よりも上昇したと発表した。
トヨタ車の販売は11.8%上昇の102,566台となり、そのうち高級ブランド・レクサスの登録は15.1%上昇の3,414台とだった。日産車の販売は31,410台で、1.0%と若干の上昇となった。ホンダ車の販売は、9月の小型車フィットの新モデル発売もあり、18,886台から38,767台へと2倍に数を伸ばした。
同協会によれば、12月の数値を含めた2013年の日本の年間国内自動車販売は、339万台であった2012年から3.8%下落となる326万台となった。
自動車販売台数は政府への自動車登録数によって計測されており、毎月の消費者支出指標の中では最も発表が早いためにエコノミストから注目されている。
だからもう一度言おう。国内需要なんだってば!
References
↑1 | 訳注;2014年1月6日 |
---|
ん?年間国内自動車販売台数は下がったの?流れからいくと上がってるって話じゃないの?