経済学101は主に皆様の寄付によって賄われています。温かい支援をお待ちしています

タイラー・コーエン「ダン・ドレズナーの新著『アイディア産業』」

[Tyler Cowen, “*The Ideas Industry*, the new Dan Drezner book,” Marginal Revolution, April 7, 2017]

副題は「悲観主義者・党派主義者・金権主義者により変貌するアイディアの市場」。本書は、有名知識人たち〔専門分野外の世間にも知られている知識人たち〕に関するリチャード・ポズナーの研究の更新版と考えるといい。ソーシャルメディアの世界やいっそう大きくなった所得格差やさらなる世論二極化によってぼくらがどこにたどりついたのかを説明しているのがいままでとちがう。賢明にも、ドレズナーはスーザン・ソンタグや『コメンタリー』誌読者大衆の時代を理想化してはいない。ただ、それでも悪化したことはいくつかあって、それは信頼されるゲートキーパーの不在による部分が大きいのだという。たとえば、いまのスーパースターの地位は短絡とおもねりを招き、思慮深い「有名知識人」を伝道者めいた「思想指導者」に変えてしまう。大局的に見れば、いまのぼくらがいる地点は、あらゆる立場が論じられ、読者の眼識による検証が疑わしく、信頼の水準が低下し続けている均衡だ。すると今度は質の低下が起こり、それによって信頼はいっそう低下することになって、それがまたフィードバックして、どんな種類のスーパースターが台頭し地位を保持し続けるのかに影響をおよぼす。
[Read more…]

タイラー・コーエン「ジェフリー・ミラーの『消費資本主義!』についてもう少し」

[Tyler Cowen, “More on the new Geoffrey Miller book, *Spent*.” Marginal Revolution, May 3, 2009]

このあたりが典型的な箇所だ:

性的特徴も,中核6項目[性格特徴]でうまく予測される.(…)社会的性行動傾向が強く,開放的で,衝動的で,利己的な人たちは,時間とエネルギーを「子育て労力」よりも「配偶労力」に投資する傾向がある:つまり,この人たちは既存の関係でできた子供を育てることよりも優先して,つねに新しい性的パートナーを追い求めているわけだ.他方で,「制限された」社会的性行動傾向をもつ人たち(純潔・貞操を重視する人たち,結婚生活に満足している人たち)は,性的パートナーの数が少なく,不倫・浮気率が低く,堅実性と同調性が高く, 開放性と外向性は低い.

[Read more…]

アレックス・タバロック「経済学者版インディー・ジョーンズ?――貿易データから失われた都市をつきとめる」

[Alex Tabarrok, “Indiana Jones, Economist?!” Marginal Revolution, November 7, 2017]

Gojko Barjamovic, Thomas Chaney, Kerem A. Coşar, & Ali Hortaçsu による驚くほど独創的な論文では,貿易の重力モデルを使って,青銅器時代アッシリアの失われた都市がどこにあったかを推理している.いちばん単純な重力モデルでは,さまざまな都市の規模と都市どうしの距離にもとづいて貿易の流れについて予測を立てる.もっとややこしいモデルでは,地理的な障壁にもとづいてコストをとりこむ.著者たちの手元には,こうした都市すべてのあいだで行われていた貿易に関する古代の文献からえられたデータがあり,都市の一部はすでに場所がわかっているし,その地域の地理もわかっている.このデータを用いることで,著者たちは重力モデルを反転させて,既知の都市から三角測量し,モデルにいちばんうまく「はまる」失われた都市の所在地を見つけ出せる.この着想を検証すべく,著者たちは既知の都市の所在地がかりにわからないとした場合を試した.するとモデルはそうした都市の所在地を正確に復元できた.

論文の詳細は次のとおり.各手順そのものがすごい達成だし,最終的な産物は完全に予想外なものとなっている.すごーい!
[Read more…]

タイラー・コーエン「お金持ち大学への寄付金に課税すべき?」

[Tyler Cowen, “Should we tax the endowments of wealthy universities?” Marginal Revolution, November 5, 2017]

『ニューヨークタイムズ』のこの記事にいくらか背景が詳しく描かれている:

木曜に下院共和党が公表した税制案では,私立大学のうち,学生500名以上で資産がフルタイム学生1人あたり10万ドル以上ある大学の投資所得に 1.4 パーセントの課税案が盛り込まれている.これは公立大学には適用されない.

現在のところ,大学への寄付金は課税されない.大学の非営利な活動目的の一部と考えられているためだ.新税制案が可決されれば,2018年から2017年までの間に30億ドルの税収が得られると見込まれる.広範な減税をまかなう新たな税源のひとつになると議会は考えている.

[Read more…]

スコット・サムナー「雑感いくつか:FRB議長の件とか,のぞましい税制とか」

[Scott Sumner, “Random thoughts,” TheMoneyIllusion, November 3, 2017]

ジェローム・パウエルについて『ワシントンポスト』に書いた.
[Read more…]

サイモン・レン=ルイス「アマチュア科学者としてのジャーナリスト」

[Simon Wren-Lewis, “The journalist as amateur scientist,” Mainly Macro, November 4, 2017]

ポール・ローマーが2種類の言説についてここで語っている.政治的な言説と科学的な言説の2種類だ.この区別を使って,ローマーはいま経済学者たちがやっている営みのいろんな側面を批判している.ここでは,同じことをジャーナリズムについてやってみたい.
[Read more…]

スコット・サムナー「英『エコノミスト』誌に投資のヒントを求めず」

[Scott Sumner, “I don’t buy the Economist for investment tips,” TheMoneyIllusion, October 31, 2017]

英『エコノミスト』誌は世界で最良の雑誌だと思っている.だからこそ,こんなにしょっちゅう引き合いにだしてるわけだ.最近,2回ほど,『エコノミスト』で信条ベースの推論の事例を見かけた.まず,最近の日本の景気回復について書かれた記事
[Read more…]

スコット・サムナー「安倍首相のいうとおりに賃金を上げるのは日本にとっていいこと?」

[Scott Sumner, “Abe reasons from a price change,” TheMoneyIllusion, October 26, 2017]

フィナンシャルタイムズ』から:

安倍首相は,来年から賃金を3パーセント増やすよう日本企業に要請した.先週行われた衆院選での大勝を利用して日本経済をいっそう加速しようとの思惑だ.

今回,首相がこうして具体的な数字を示すことに決めたことで,民間の賃金調整に対する政府の介入はさらに深まることとなる.昨年,安倍首相はたんに少なくとも前年度と同程度の賃金引き上げを要請しただけだった.

[Read more…]

アレックス・タバロック「売春はレイプを減らす」

[Alex Tabarrok, “Prostitution Reduces Rape,” Marginal Revolution, October 31, 2017]

アメリカ経済ジャーナル:経済政策』に掲載された Bisschop, Kastoryano, & van deer Klaauw による新論文は,オランダ25都市の売春地域 (tippelzones) に着目して検討している.
[Read more…]

サイモン・レン=ルイス「イギリスで利上げすべきでない理由: 手短に」

[Simon Wren-Lewis, “A short guide to why we should not raise UK interest rates,” Mainly Macro, October 30, 2017]

木曜に金融政策委員会が利上げするだろうと誰もが予想している.そんなことをすれば,失敗になるだろう.金利変動をめぐる報道の議論は,通例,経済状況に関する大量のデータやグラフが盛り込まれる.ここでは,その反対のことをやりたい:つまり,イギリスでいますぐ利上げするのが過ちだということを理解するのに必要最小限のことだけを提示したい.
[Read more…]