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スコット・サムナー「デイヴィッド・ベックワースのクルーグマンインタビュー」

[Scott Sumner, “David Beckworth interviews Paul Krugman,” TheMoneyIllusion, May 16, 2017]

好きな人だろうと嫌いな人だろうと,クルーグマンがすぐれた経済学者だというのは否定しようがない.デイヴィッド・ベックワースによるクルーグマンのインタビューはこのシリーズでいまのところお気に入りの回だ.もっとも,以前に登場したバラードのようなインタビュー対象の方が政策問題については同意するところが多いけれど.(おもしろいことに,この2人は政治のスペクトラムでは遠くかけ離れているけれど,いくつもの点で同じ見解をとっている.)
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タイラー・コーエン「トランプ政権,外見差別,サウジ人」

[Tyler Cowen, “The Trump administration, lookism, and the Saudis,” Marginal Revolution, May 22, 2017]

かくいうぼくも無罪ではないので,謝罪したい.どうやら,ぼくがフォローしてるTwitter界隈の地位ある人たちの一部では,トランプ政権の面々が映ったいろんな画像の醜い部分や風変わりなところや困惑している姿や汗まみれになっている姿など,バカにしやすいものを笑いのネタにするのが政治的に容認できることになっているらしい.
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スコット・サムナー「日本の名目GDP上昇イコール雇用,雇用,さらなる雇用」

[Scott Sumner, “Rising NGDP in Japan equals jobs, jobs, and more jobs,” MoneyIllusion, May 18, 2017]

今度でてきた日本の労働市場データは見どころ満載だ.最新データを見ると,失業率は 2.8% にまで下がっている.この数十年で最低の率だ:

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アメリカのデータに関して主張されているのとちがって,これはたんに人々が就労をあきらめているためだけではない.まずアメリカと対比される点として,人口に占める就労者の割合がかつてないほど高い水準に急上昇している.下記は,マット・オブライエンの『ワシントンポスト』記事からの引用だ:
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ノア・スミス「泥壕としての膨大な文献」

[Noah Smith, “Vast literatures as mud moats,” Noahpinion, May 16, 2017]

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どういうわけか,学術文献はよく「膨大な」と言われる(このフレーズは1世紀以上もさかのぼる).ただ,どうやらどんな話題について語っていようと,きまって誰かがひょっこりやってきてわざわざこう教えてくれる――その話題については,すでに「膨大な文献」がありましてね.このフレーズは,議論を打ち切る役目を果たしていることが多い.「膨大な文献がありますよ」ということは,ようするに,なにごとかについて語る前に,その話題についていろんな人たちがこれまでに書いてきたとてつもない分量の文章を読んでこなくちゃいけないと要求されているわけだ.膨大な文献を読み通すとなればそれはもう何時間もかかるのだから,この言い分は相当な時間と労力を要求していることになる.その膨大な文献とやらば40本の論文だとしたら,論文1本ごとに1時間かかるとして,ただ議論に参加するだけのコストとして1週間まるまる費やすフルタイムの仕事を要求しているわけだ.
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スコット・サムナー「言語と失業の件の追記」

[Scott Sumner, “A follow-up on language and unemployment,” MoneyIllusion, May 3, 2017]

前記事に Vaidas Urba がこんなコメントをつけてくれた:

もう1つデータポイントを増やしてみよう――ドイツ語が主流をしめるイタリアの南チロル自治州 (アルト・アディジェ自治州)はこの地図では青くなっている.

http://names.mongabay.com/ancestry/st-German.html
これをきっけかに,この問題に関わる他の証拠について疑問がわいてきた.そこで,ドイツ系の祖先をもつ住人が占める割合を州べつに調べてみた.上位10州はこうなってる:
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スコット・サムナー「言語と失業」

[Scott Sumner, “Language and unemployment,” Money Illusion, May 2, 2017]

地図はぼくの好物だ.先日,ランディ・オルセンがヨーロッパの失業を示すおもしろい地図にリンクを貼っていた:

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この地図を見る前から,フランスよりドイツの方が失業率が低いのは知っていた.そしてやっぱり,失業率は両国の境界で劇的な変化を見せている――ライン川流域がそれだ.
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タイラー・コーエン「1万語あたりに -ly 副詞がでてくる回数」

[Tyler Cowen, “Number of -ly adverbs per 10,000 words,” Marginal Revolution, May 17, 2017]

ヘミングウェイ: 80回
トウェイン: 81回
メルヴィル: 126回
オースティン: 128回
J.K.ローリング: 140回
E.L.ジェイムズ: 155回

ネタ元は,ベン・ブラットのおもしろい新著『ナボコフのお気に入り単語は「藤色」』.ヘミングウェイ作品で -ly で終わる副詞の生起率がいちばん高いのは死後出版となったTrue at Fist Light で,ヘミングウェイ作品で最低の駄作と考えられている.同じパターンはフォークナーやスタインベックにも見られる.つまり,いちばん評価の高い作品は -ly 副詞の生起率が相対的に低い.調査された著名作家たちのなかでは,D.H.ロレンスがこの規則性のいちばん明白な例外となっているようだ.
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タイラー・コーエン「イギリスで産業革命が起きなかったとしたら他の産業革命までどれくらいかかっただろう?」

[Tyler Cowen, “How long until another Industrial Revolution would have taken place?” Marginal Revolution, May 9, 2017]

こう仮定してみよう.どういうわけか,イギリスが産業革命の好機をのがしたか(しなくていい戦争で負けたとか),あるいはそもそも産業革命を起こす状況にいたらなかったとする(メキシコ湾流がなかったとか).その世界では,いったいいつ産業革命が起きただろうか? お忘れなきように――中国の宋はなんらかの突破口を開くのに比較的に近いところまで行ったけれど,産業革命を起こすにはいたらなかった.ローマ帝国についても同じことを言う評論家たちがいる.
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ノア・スミス「同質性にいざなうセイレーンの歌」(#8/完結)

[Noah Smith, “The siren song of homogeneity,” Noahpinion, April 30, 2017]

〔数回にわけて掲載しています.前回はこちら

白人国家の夢
The dream of a white nation

でも,そんなものをのぞんでいない人たちはどうだろう? オルト右翼や旅行者たちみたいに,べつにアメリカのいろんな人種がひとつにまとまろうと意を決するのを待ち望んでなんかいない人たちは? 多くの人たちは,同質な社会にいたる近道を行きたがっている――彼らが暮らしたいとのぞんでいる場所は,白人だけが住むのをゆるされた場所だ.彼らがのぞんでいるのは,半分記憶・半分空想の社会,1950年代の南カリフォルニアだ――通りは清潔で,きれいな芝生が広がり,信頼できる白人の隣人たちは通りすがりに帽子をかたむけて「やあ」と声をかけてくれる,そんな社会が彼らののぞみだ.そして,なんと,彼らはいまそんな社会になってほしいと思っている.
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ノア・スミス「同質性にいざなうセイレーンの歌」(#7)

[Noah Smith, “The siren song of homogeneity,” Noahpinion, April 30, 2017]

〔数回にわけて掲載しています.前回はこちら

代替理論: 「戦争 + 近接性 = 多様性」

でも,ひっきりなしに戦争が起きてるのはどういうことだろう? 大きな戦争が起きたときには,ほぼ決まって,少なくともそこそこの民族的なちがいが戦争当事者たちに見られる――イギリス vs. フランス,ドイツ vs. ロシア,フツ族 vs. ツチ族,日本 vs. 朝鮮.こうした小さなちがいがこれほどの信じがたい流血沙汰を引き起こしうるのだとしたら,アフリカ人とヨーロッパ人みたいにかけ離れた集団どうしだったらいったいどれほどの大惨事が引き起こされうるだろう!
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