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タイラー・コーエン「経済学者たちは Twitter をどう使ってる?」

[Tyler Cowen, “How economists use Twitter,” Marginal Revolution, March 24, 2018]

Twitter 利用にあたって,経済学者も自然科学者も大半はじぶんの分野外の人々と交流しているが,似たような自然科学の専門家たちと比べると経済学者の方がツイート数が少なく,メンションをとばす相手も少なく,知らない相手との会話も少ない――という中心的な発見を報告しているのが,Marina Della Giusta と共同研究者たちによる研究だ.これは2018年3月にブリントンのサセックス大学で開かれる王立経済学会の年次カンファレンスで発表される.

また,彼らの研究では,経済学者たちの方が通じにくい言葉を使っていて,複雑な表現や略号を使いがちなのを見出している.さらに,科学者たちに比べて経済学者たちの口調はもっとよそよそしく,あまり個人的なことを言わず,あまり人の輪を広げないのだそうだ.

こうした結論を導くのに研究者たちが収集したのは,IDEA と sciencemag で同定された経済学者のトップ25名と自然科学者のトップ25名の Twitter アカウントの何万ものツイートに関するデータだ.経済学者のトップ3名はポール・クルーグマン,ジョセフ・スティグリッツ,エリック・ブリニョルフソンで,自然科学者のトップ3名はニール・ドグラース・タイソン,ブライアン・コックス,リチャード・ドーキンスだ.

さらなる情報はこちら (via Romesh Viitilingam).ただ,もとの論文はオンラインでは見つけられなかった.興味深い研究結果だけど,ぼくとしては全体の分布がどんな風になっているのか知りたい.

サイモン・レン=ルイス「経済学における諸派分立の危うさ:現代金融理論 (MMT) の場合」

[Simon Wren-Lewis, “The dangers of pluralism in economics: the case of MMT,” Mainly Macro, March 1, 2018]

現代金融理論 (Modern Monetary Theory; MMT) は、経済学の「学派」だ。「学派」で私が意味しているのは、MMT が主流からみずから分離している、ということだ。いろんなアイディアの集合としての MMT には好きな部分もたくさんある。主要な安定化ツールとして財政政策と金融政策のどちらを使うべきかという重要問題については――私個人は〔金利の〕下限にないときは金融政策に向かうべきという主流の見解をとるものの――いつでも開かれているべきだと思うし、金融政策の方が必ずすぐれているととにかく決めてかかる主流経済学者が多すぎる。それに、ある種の「雇用保証」タイプの方式のアイディアには魅力を感じている。また、銀行システムが需要をつくりだすために有している自律性がどれだけあるか主流が認識できていない場合がよくある〔のも彼らが指摘するとおりだ〕。なんならもっと続けてもいいけれど、要点はもうおわかりだろう。この結果、私はおそらくたいていの主流派経済学者よりも MMT のいろんなアイディアに首をつっこもうとしてきた。
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アレックス・タバロック 「車検は安全性を高めない」

[Alex Tabarrok, “Vehicle Safety Inspections Don’t Increase Safety,” Marginal Revolution, March 22, 2018]

2003年に書いたポスト「政治家と修理工が共謀してぼくからふんだくってる」で、年1回の自動車検査は安全性を高めずただ時間とお金を無駄遣いしながら不必要な修理をつくりだしていることを示す研究を引用した(別の研究もある)。その後ずっと、こうした無駄政策についてなにかとぶちまき続けている。

でも、今日はちょっといいニュースがある。自動車の品質が向上しつづけていることで、アメリカの一部の州でこうした「安全」検査を本当に打ち切るところがでてきている。たとえば、コロンビア特別区(2009年)、ニュージャージー(2010年)、ミシシッピ(2015年)が車検をやめている。とはいえ、車検の撤廃をめぐって、いまなお多くの州で熱い論戦が交わされている。

「もし[車検の撤廃が]可決されると、夜もおちおち寝ていられなくなりますよ」とテキサス州の上院議員 Eddie Lucero は言う。「どうして[撤廃案を]可決して自分やほかのテキサス人を危険な目に合わせようなんて気を起こしたんです?」 同様に、ユタ州の下院議員 Jim Dunnigan はこう主張する――彼の地元住民は「ブレーキが壊れ、マフラーが外れ、タイヤがどこかにいくまで、運転しつづけるでしょうよ。」潜在的な安全面の懸念事項に自動車の所有者が確実に対処するようにする唯一の方法は車検なのだと彼は言う。こうした主張は、大半の自動車サービスステーションが支持している。総じて彼らは車検の実施で利益を得ており、車検制度の撤廃は「確実に事故を増やす結果になる」と主張している。

これは、Hoagland & Woolley の新論文からの引用だ。この研究では、車検制度を撤廃したニュージャージーを使って、撤廃が事故増加につながるかどうかを検証している。アメリカ全土から集められた死亡事故率の精密なデータと合成統制法 (synthetic control methodology) を使って、Hoagland & Woolley はこういう結論を導いている:

(…)〔車検の〕義務を取り除いても、1人あたり交通事故死も、とくに自動車による1人あたり交通事故死も、自動車による交通事故頻度も、有意に増加しない結果となった。したがって、自動車安全性検査は政府予算の効率的な使い方とは言えず、交通事故における自動車の故障が果たす役割になんら有意な減少効果をもたらすようには見えない。

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そろそろ、年1回の車検をやめて、車検制度をまるまる無くしてしまうなり、メリーランドのように自動車譲渡時にのみ安全性検査を課す制度に移行するなりしていい頃合いだ。譲渡時の検査も、ぼくには必要だと思えない。譲渡時こそ、義務があろうとなかろうと買い手が検査を実施する場面にほかならないからだ。ともあれ、少なくともその制度でも車検回数は大幅に減るだろう。

Hat tip: Kevin Lewis.

サイモン・レン=ルイス「イギリス右派系新聞の影響力」

[Simon Wren-Lewis, “The persuasive power of the UK right wing press,” Mainly Macro, February 23, 2018]

「政権をとれたのも、ああして権力を使えたのも、ラジオなしには不可能だっただろう」――ヨーゼフ・ゲッペルス

イギリスの党派的な右派系新聞(『メール』『サン』『テレグラフ』)擁護論の第一陣は、「ああした新聞はどうということもない」という言い分だ。右派系新聞が表明している意見やおいかけている新聞報道は、たんに読者たちの意見・関心を反映しているにすぎない、というわけだ。アメリカのフォックスニュースに関しては、これはたんに事実でないという明快な証拠がある。ここで述べているように、フォックスニュースの生産するおよそ真実とかけはなれたニュースは、みずからの説得力を最大限に大きくすべく意図されている。オバマはこの点をなかなか明快に要約してこう言った――もしもフォックスニュースの視聴者だったらじぶんに投票しなかっただろうね。
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アレックス・タバロック 「囚人の食料費を懐に入れた保安官が告発者を牢屋に入れる」

[Alex Tabarrok, “Sheriff Takes Food from Prisoners, Locks up WhistleBlower,” Marginal Revolution, March 20, 2018]

アラバマ州の郡保安官が、囚人の食費予算を使って住宅を購入した。一週間前にこの新聞見出しを見かけた時には、「またホワイトカラーのありきたりな不祥事ネタか」と思って受け流した。その後の展開に促されて、昨日になってもっと調べてみた。実情は、想像していたのよりもずっとひどかった。保安官がやったことは、完璧に合法なんだそうだ。
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サイモン・レン=ルイス「2004年に労働党が EU移民について下した決定は間違いだったか」

[Simon Wren-Lewis, “Was Labour’s decision on EU immigration in 2004 a mistake?” Mainly Macro, March 6, 2018]

当時新たに EU に加盟したばかりだった東欧・中欧のA8諸国の人々が2004年から自由にイギリスに出入りできるようにする決定をかつて労働党政権が下した。他の加盟国の大半は、こうした A8諸国との間での自由移動が許される時点を遅らせた。その結果として、ポーランドその他の国々からの移民の大量移入が2004年からはじまることになった。
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タイラー・コーエン「サービス部門ではこういうお仕事もあったとか(ほんとかな?)」

[Tyler Cowen, “Those old service sector jobs (speculative?),” Marginal Revolution, March 19, 2018]

ダニー・ベイカーほどの権威が言うことなので、この話は絶対に事実だ。

60年代のハロッズでは、クビにされる役の人間が雇われていた――それはもう世界最高の仕事にちがいない。

パッと見ただけだと、この従業員はハロッズの最上階で品々の箱に囲まれながら腰掛けてパイプをふかしスポーツ雑誌を読みふけるだけでお金をもらっているように見える。しょっちゅう呼び鈴がならされ、その度に彼はあっちの売り場、こっちの売り場に呼びつけられる。駆けつけた先にはご立腹の顧客がいて、ハロッズの店長になだめられている。

今回のお客様はポンソンビー=ワッフルズ夫人だとしよう。夫人は、先日お買い求めになった高価な陶器のティーカップが欠けていたのがわかって苦情にいらしている。

我らがご同輩が駆けつけると、店長はこう言い渡す。「ポンソンビー=ワッフルズ夫人は最高に大事なお客様ですよ、キミがご夫人のお求めになったティーカップの品質を確認しなかったばかりに、こうしてご立腹なさる事態になったのです。キミはクビです」

ポンソンビー=ワッフルズ夫人が「なにもそこまでしなくていいのよ」と許しを申し出ても、店長は一向に許そうとしない。ご同輩はがっくりと肩を落としてトボトボと出口に向かう。最高の顧客対応水準を維持しようとするハロッズの断固とした指針に納得したポンソンビー=ワッフルズ夫人は苦情を取り下げる。さて、我らがご同輩は、いったんデパートの出口を通り抜けるとすぐさま最上階にとってかえしてスポーツ雑誌とパイプをたのしみながら、次にふたたびクビにされるべく待機する。

Henry Tapper からのリンクはこちら。via Steve Stuart-Williams.

タイラー・コーエン「《ビッグ・プロフェッサー》が監視してるぞ学生諸君!」

[Tyler Cowen, “Big Professor is watching you,” Marginal Revolution, March 16, 2018]

アリゾナ大学では、中退しそうな学生を事前に大学当局が把握している。

ツーソンにキャンパスを構えるこの公立大学では、数年前から、キャンパスのあちらこちらで初年度学生たちが学生証を読み取り機にかざすのをデータ収集している。学生証は入学したすべての学生に与えられ、キャンパス内の700箇所以上で使用できる。たとえば自動販売機、図書館、研究室、レジデンスホール、学生会館、映画館だ。

さらに、学生証にはセンサーも埋め込まれていて、カードが読み取り機にかざされた地理的な履歴を追跡するのにも使える。こうしたデータが分析システムに渡され、中退しそうな学生の「きわめて正確な指標」が見つけ出されるのだと、先週公表された大学プレスリリースには記されている。「[学生の]デジタル痕跡を得ることで、彼らの移動・行動・やりとりのパターンを調査できますし、そこから学生たちについてわかることはたくさんありますね」と管理システム学教授で本プログラム責任者の Sudha Ram は同リリースで語っている。「実はもともと学生の社会行動を追跡するために設計されたシステムではないんですが、その用途に使えます。タイムスタンプと位置情報がありますので」と Ram は言い添えた。

以上は、Quartz の Amy X. Wang からの抜粋。

サイモン・レン=ルイス「右派権威主義政権への道」

[Simon Wren-Lewis, “A road to right wing authoritarian government,” Mainly Macro, March 18, 2018]

ヤン=ヴェルナー・ミュラーのポストに触発されてこのポストを書いている.ポピュリズムに関するミュラーの考えについては,前に話題にしたことがある.今回のポストでは,ポピュリスト政治家を選出する有権者よりも政治家たちそのものに関心をそそぐ理由を述べている.ミュラーによれば――
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タイラー・コーエン「Twitterではフェイクニュースの方が拡散しやすい?」

[Tyler Cowen “Does fake news spread faster on Twitter?” Marginal Revolution, March 18, 2018]

たぶん読者も覚えているだろうけど,Twitterではフェイクニュースの方が素早く広く拡散するというニュースが先週あちこちで流れた.たとえば,『ニューヨークタイムズ』のスティーブ・ロアもこれを取り上げている.彼はいまひとつわかっていない:
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