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タイラー・コーエン「社会保険の一形式として再分配を支持するロールズ的な論証はあるか?」

[Tyler Cowen, “Is there a Rawlsian argument for redistribution as a form of social insurance?” Marginal Revolution, September 23, 2017]

そういう論証を提示した一例がこれ (pdf).ただ,次の点に留意しておこう:
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ノア・スミス「エアカーも宇宙植民もないけどサイバーパンクは実現した21世紀」

[Noah Smith, “What we didn’t get,” Noahpinion, September 24, 2017]

先日,1980年代と1990年代のサイバーパンク SF がいまの世界について多くのことをいかに正確に予測していたかという話題で Twitter に連投したらけっこう好評だった.現代社会はなにもかもがネットに接続されてつながっているけど,同時に,なにもかもが不平等だ――ギブソンが好んでよく言ってたように,「未来はここにある,ただ均等に分布してないだけだ.」 ハッカー,サイバー戦争,オンライン心理戦は,みんなの政治経済生活でおなじみのものになっている.億万長者たちは宇宙ロケットをつくったり政府に協力して国民監視に手を貸したりしてる.白人労働階級は廃棄コンテナを住居にして有毒な水を飲んで暮らしてる.在野の趣味人たちが身体改造や遺伝子工学に手を染めてる一方で,実験室では人工四肢や脳-コンピュータ・インターフェイスを研究してる.ジェットパックは実現してる.ただしひとつきりだし,持ち主はお金持ちだ.人工知能が株取引をやり碁で人間に勝ったり,耳の聞こえない人が音を聞こえるようになったり,リバタリアンと犯罪者どもが追跡不可能な民間の暗号通貨で世界中で何十億ドルってお金を回してる.『スノウ・クラッシュ』みたいにイカレたミーム・ウイルスがネジのはずれた男を合衆国大統領の座にまで上り詰めさせたり,テキサスでは『ニューロマンサー』のストリート・サムライみたいにカタナをかついで町中を歩き回れる.バーチャルアイドルもいるし,殺人サイボーグスーパーアスリートだっている.
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サイモン・レン=ルイス「生産性と金融政策」

[Simon Wren-Lewis, “Productivity and monetary policy,” Mainly Macro, September 21, 2017]

イングランド銀行がまもなく金利を引き上げるという警告を発している.Chris Giles が指摘するように,これは前にもあったことだし,その前にもあった.だけど,だからといってこの話を無視すべきだという話にはならない.いつかは金利が引き上げられるからだ [1].たしかに彼ら(金融政策委員会)は真剣そうに聞こえる.だが,目下の成長率がこうも低い現状で,どうして金利引き上げが俎上に載せられたりするんだろう? Mark Carney の最新スピーチに1つ手がかりがある(強調は引用者によるもの).
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アレックス・タバロック「グーグル都市」

[Alex Tabarrok, “Google City!,” Marginal Revolution, September 21, 2017]

Amazonは新しい本社を建てる都市を探してるそうだ.ちっちゃいねぇ.グーグルは都市をつくろうとしてる.『フィナンシャル・タイムズ』の記事から:
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タイラー・コーエン「今日の小ネタ:日本のオピオイド消費量」

[Tyler Cowen, “Japan (America) fact of the day,” Marginal Revolution, September 20, 2017]

(…)そこで,日本ではオピオイドの一日当たり標準消費量がどれくらいなのか考えてみよう.次に,それを2倍する.さらに2倍.またまた2倍する.そしてまた2倍.とどめに5回目の2倍.これだけやると,日本の消費量は世界2位になる.アメリカはその上の1位だ.

Vox の German Lopez 執筆記事から.

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サイモン・レン=ルイス「学部生向けの経済学教育も21世紀に」

[Simon Wren-Lewis, “Undergraduate economics teaching moves into 21st century,” Mainly Macro, September 19, 2017]

CORE経済学カリキュラムのねらいは,数十年むかしの経済学じゃなくて今日の経済学を反映させた経済学入門を提供することだ.正当にも,ジョン・カシディに賞賛されている.すぐれたカリキュラムだとも思う.たんに初年度の学部生向けとしてすばらしいだけじゃなくて,経済学に関心をもった一般人向けとしてもすぐれている.どんなものかちょっと味見をしてみたい人は,このプロジェクトの主導者2人が書いた短い解説を一読してみるといい.
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タイラー・コーエン「ピアレビュー制度はみんなが思ってるより新しい」

[Tyler Cowen, “Peer review is younger than you think,” Marginal Revolution, September 17, 2017]

ベン・シュミットのブログによると,「ピアレビュー」という言葉が一般的になったのは1970年代になってのことにすぎない〔※グラフはグーグル ngram viewer の検索結果〕:

実際に学術誌での慣習がどうなっていったのか詳細を知りたいところだけど,ぼく個人の感覚だと,ごく最近になって外部査読者のチームによる査読が一般的になるまでは編集部による査読が基本だったと思う.たとえば,1956年に American Historical Review は投稿論文のコピーを1部しか求めていなかったし,1970年ごろまでずっとそれは変わっていなかったようだ.おそらく,編集の方で写真複写をつくってたんだと思う.どうやらシュミットの考えでは,政府による資金提供の慣行によって,大学専門職が複数査読者によるレポートを含むもっと正式なピアレビューへと背中を押されていったということらしい.

少なくとも,ピアレビューが論文掲載の値打ちがあるかどうかを決定している以上,さらに調べてみる必要があるね(すごく高齢の人たちに聞いてみるのはどうだろう?).率直に言うと,そういう調べ物は編集部による査読での方が掲載される見込みがあるんじゃないかと思う.

こちらは,まさか Twitter をやってるとは知らなかった Judy Chevalier〔イェール大学教授,金融・産業組織論〕のツイート

39ページの論文についたコメントに28ページの「査読者と編集部の疑義への返答」をやっと書き上げたところ.

それなら Judy にもう一本論文書いてもらう方がぼくはありがたいけどね.

ところで,科学論文はだんだん読みにくくなっているとの話だ.

タイラー・コーエン「というかセメントって輸出されてたのか」

[Tyler Cowen, “I find it remarkable that cement is exported at all,” Marginal Revolution, September 16, 2017]

下記は,2016年にドル換算でみたセメント輸出額上位15カ国だ:
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タイラー・コーエン「賃金大停滞のおわり?」

[Tyler Cowen, “Is the great wage stagnation over?” Marginal Revolution, September 15, 2017]

もしかするとそうかも.ただ,せめてもうしばしいい年が続いてくれるならありがたい.ノイズや遅れてきたキャッチアップ成長の部分もありそうだ.とはいえ,これまでの傾向から変化が起きているようだ:
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サイモン・レン=ルイス「フォックスニュースは投票行動を左右する:経済学からの知見」

[Simon Wren-Lewis, “Economists show how Fox news changes votes,” Mainly Macro, September 14, 2017]

前にも述べたように,経済学者がだんだんメディア研究に参入してきている(なにしろ天然の帝国主義者なものでね).そこから,古くからの批判的な論争に関する実証的な証拠がもたらされつつある.一部のメディア報道に偏向があるのは,たんに視聴者・読者が党派的だからだろうか,それとも,そうしたメディア報道は政治的な見解を変える因果関係に一役買っているのだろうか? また,視聴者/読者はメディア報道の偏向を割り引いて受け止めているのだろうか,それとも,彼らの投票行動に影響を及ぼしているのだろうか?
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