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タイラー・コーエン 「チャイナフリーの一年 ~中国製品を買わずに1年間過ごしてみた~」(2007年7月2日)

●Tyler Cowen, “A Year Without Chinese Goods”(Marginal Revolution, July 2, 2007)


サラ・ボンジョルニ(Sara Bongiorni)とその家族は中国製品に一切頼らず(中国製品を一切買わず)に一年を過ごしてみようと企てた。その計画をいざ実行に移してみたところ、中国製品に頼らずに生活するというのはそんな簡単な話じゃないと思い知らされたのであった。サラ・ボンジョルニがその顛末をまとめた本が『A Year Without ‘Made in China’』(邦訳『チャイナフリー:中国製品なしの1年間』)だ。

本? 本ってのは印刷された本? あれかい? 紙とインクからできている本のこと? サラに幸あれ。サラのことは決して嫌いじゃないけれど、今度君が出すという「中国製品」を僕宛てに寄こしてくれても残念ながら少なくとも1年間は――あるいはおそらくそれから先も――それを読めそうにない。

上の引用の続きはこちら

タイラー・コーエン「本の書き込みはどうすべき?」

Tyler Cowen “How should you take and write notes in books?Marginal Revolution, February 3, 2018

訳者注:本エントリに関連して「大著の読み方」(拙訳)というのもありますので,ご興味あらば。


こんちわ!
本を読んでるときにノートを取るやり方なんかはある?本の重要な部分をクリッピングするとか。それとも読んだだけでハイお終いって感じ?

マシュー E.

(訳注:上記の読者からの質問と)同じ週にWilliam D. からもメッセ―ジがあった。

(前略)読んでる本にどうやってメモ書きしたりマーカーを引いたりしていますか。これは僕の教官(教科書は再読の際の完全性を保つために真っ新に保っておくべき派)と僕(教科書の理解や目的の部分を探すのにメモ書きが役に立つ派)で活発な議論をしてる際にこれが問題となったんです。教科書に書かれた過去のメモによって再読が妨げられるとおもいますか,それとも便利になると思いますか。自分としてはどっちとも判断がつきません。教科書に依るんでしょうか。

僕のやり方は簡単,だけど洗練されたものじゃない。 [Read more…]

タイラー・コーエン 「おそロシア? ~バラク・オバマが巻き込まれたスパイ小説さながらの展開~」(2009年7月5日)/「お上に嘘をついたことがありますか?」(2006年4月6日)

●Tyler Cowen, “The value of personal experience”(Marginal Revolution, July 5, 2009)


バラク・オバマ絡みで初見のエピソードを目にするというのは私にとって珍しいことだ。

バラク・オバマが(大統領になる前に)最後にロシアを訪れたのは2005年。オバマがまだ上院議員を務めていた時のことだが、旅の締め括りは苦々しいものだった。シベリア近くにある空港で保安職員に引きとめられて3時間も足止めさせられたのである。空港の待合室に閉じ込められただけでなく、パスポートも没収。ジョン・ル・カレの小説さながらの展開が待ち受けていたのだ。

後になってロシア当局は「あれは誤解(手違い)だった」と弁解したそうだ。

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●Tyler Cowen, “жесткий is Russian for “intense””(Marginal Revolution, April 6, 2006)


ロシアを旅する何百万もの観光客はそのうち空港で嘘発見器と向き合わねばならなくなるかもしれない。ロシア国内の一部の空港でセキュリティチェックの一環として嘘発見器による検査の実施が検討されているのだ。ゆくゆくはロシア全土の空港に嘘発見器が導入される可能性もあるという。

嘘発見器の導入が検討されているのはモスクワにあるドモジェドヴォ空港。早ければ今年(2006年)の6月にも導入される見込み。テロリストや麻薬の密輸人を見抜くためというのが導入の目的だという。乗客には嘘発見器を前にして四つの質問――そのうちの一つは「これまでに公権力(お上)に嘘をついたことがありますか?」――に答えねばならないというひやひやものの試練が待ち受けている。

嘘発見器の前で答えねばならない質問は全部で四つ。一つ目の質問は氏名等の個人情報に関するもの。二つ目の質問はソビエトらしさ満載のぶっきらぼうな問いであり、怖気づかずにはいられない問い。「これまでに公権力(お上)に嘘をついたことがありますか?」 その後に続くのは武器や麻薬の所持の有無を問う質問。

乗客は靴を脱ぎX線検査装置で手荷物検査を終えてから嘘発見器による検査に臨むことになる。四つの質問にちゃんと答え終わらないと脱いだ靴は返してもらえない。いずれの質問も検査結果が出るまでには1分程度かかる。「検査で不合格となった(嘘をついているとの結果が出た)お客様は特別警備員に伴われて小さな部屋に通されることになります。そこでいささか張り詰めた雰囲気の中でいくつか質問に答えていただくことになります」。そう語るのはドモジェドヴォ空港でITディレクターを務めるウラジミール・コルニーロフ氏。

完全自動化されたその嘘発見器の名前は”Truth Verifier”。古臭いスパイもののフィクションでお馴染みのポリグラフとは似ても似つかない代物だ。乗客は受話器に話しかけるだけ。イスラエルに拠点を置く会社が開発した”Truth Verifier”には「多層音声解析(LVA)」技術が組み込まれており、そのおかげで乗客が記憶を正確に辿って答えているのかそれとも空想を働かせて答えているのかを見分けることができるという。

全文はこちら

タイラー・コーエン 「テロリストをあぶり出す新手のプロファイリング? ~選曲には細心の注意を~」(2006年4月11日)

●Tyler Cowen, “Musical profiling”(Marginal Revolution, April 11, 2006)


いやはや困ったものだ。

イギリスの空港で会社員が保安職員に引きとめられて飛行機への搭乗を阻止された。その原因は空港に向かうタクシーの中で会社員が運転手にカーステレオでかけてくれるように頼んだ曲にある。地元警察の話によると、その曲に運転手が不信感を抱いて空港当局に通告したという。

その曲とは? ザ・クラッシュの『ロンドン・コーリング』(”London Calling”)にレッド・ツェッペリンの『移民の歌』(”Immigrant Song”)。タクシーの運転手が歌詞のどこに不信感を抱いたのかという点も含めて詳しくはこちらを参照されたい1

(追記)ダニエル・シュトラウス・バスケスの指摘によると、会社員はタクシーの中で(『ロンドン・コーリング』をはじめとした)歌を口ずさんでいただけという少し違った報道もあるようだ2

  1. 訳注;リンク先の記事の中では『ロンドン・コーリング』の歌詞の中から次の一節が引用されている。「こちらロンドン はるか遠くにある街へ告ぐ 宣戦布告なり 戦闘のはじまりだ(“London calling to the faraway towns, now war is declared and battle come down”)/こちらロンドン 地下に潜り込んでいる連中に告ぐ そんな狭いところに隠れてないで出てきたまえ そこの僕にそこのかわいこちゃん 君らのことだよ」(“London calling to the underworld, come out of the cupboard, you boys and girls”)。さらには、『移民の歌』の歌詞の中からは次の一節が引用されている。「神々のハンマーが我らの乗る船を新大陸へと走らせる 歌い叫ぶやつらと戦うために 『神よ、今すぐに向かいます』」(“The hammer of the gods will drive our ships to new lands. To fight the horde singing and crying. Valhalla, I’m coming!”)。 []
  2. 訳注;会社員はインド生まれの24歳の男性。保安職員に引きとめられたおかげで結局予定の便には乗れなかったらしい。「運転手さんはレッド・ツェッペリンもザ・クラッシュも好きじゃなかったんだろうけど、だからって警察に告げ口する必要なんて微塵もないように僕には思えるんです」とは会社員本人の言。 []

タイラー・コーエン 「我が子に珍しい名前を付けるべきもう一つの理由」(2006年10月7日)

●Tyler Cowen, “Another reason to give your kid a weird name”(Marginal Revolution, October 7, 2006)


ケヴィン・ドラム(Kevin Drum)が次のように報じている

空港当局(運輸保安庁)がテロリストの可能性ありと疑われる乗客をあぶりだすために使用している「搭乗拒否リスト」。『60 Minutes』の制作に携わる記者のスティーブ・クロフト(Steve Kroft)がそのリストのコピーをどうにかして手に入れたそうだ。リストに載っている氏名とは?

ゲイリー・スミス、ジョン・ウィリアムズ、ロバート・ジョンソン。搭乗拒否リストに載っている氏名の一例だ。クロフト記者が総勢12名の「ロバート・ジョンソン」氏に取材をしたところ、全員がほぼ毎回のように空港での保安検査で引きとめられた経験があると語ったという。厳重な身体検査を要求されるなどして旅の計画が遅れに遅れることも。

「そうですね。『ロバート・ジョンソン』がリストから削除されることは絶対にないと思います」。そう語るのはドンナ・ブッセラ(Donna Bucella)。搭乗拒否リストの作成を取り仕切るとともに、2003年からFBIのテロリスト監視センターのトップを務めている人物だ。搭乗拒否リストに氏名が載っている方々には不愉快な思いをさせて申し訳ないと陳謝しながらも、「9・11」以後の世界で安全を守るためには必要な代償だとも語る。「搭乗拒否リストに氏名が掲載されている方々は空港を訪れるたびに不便な体験をされることでしょう。それもこれもテロリストであることが確定している人物ないしはテロリストの疑いのある人物と同姓同名なためなのです」とブッセラ。

言いたいことはわかる。上院議員の中に「ロバート・ジョンソン」がいたらどうなる? その場合FBIは搭乗拒否リストがいくらか乗客に優しくなるようにあれこれ工夫を凝らすに違いない。我々有権者一同は「ロバート・ジョンソン」を上院選で当選させるべきなのかもしれない。

これから生まれてくる息子が悪ガキ(悪人)に育ちそうだと予想する親は我が子に「ジョン」という名前を付ける(息子の名前がデート相手にグーグルで検索されても大丈夫なように1)。その一方で犯罪と関わり合いたくない市民は「ジョン」という名前の持ち主を避けるようになる。かくしてほんの数世代もすれば新しい「分離均衡」が定着するに至る2ことだろう。

  1. 訳注;悪ガキである息子の名前が珍しいものだとデート相手にグーグルで名前を検索されると悪事がすぐにばれてしまう恐れがある。その一方で、息子の名前が悪人に多い名前(例えば「ジョン」)と一緒だとグーグルで検索してヒットした悪ガキの「ジョン」がこれからデートする予定のジョン君その人のことを指しているのかどうかわからない。 []
  2. 訳注;「ジョン」という名前が善人か悪人かを識別する有効なシグナルとなる、という意味。 []

タイラー・コーエン 「インセンティブの力 ~民間の航空保安職員 vs. 運輸保安庁の職員~」(2010年12月31日)

●Tyler Cowen, “Incentives vs. the TSA”(Marginal Revolution, December 31, 2010)


サンフランシスコ国際空港で働く民間の保安職員にとって春と言えばあの季節だ。賞金(最高で1500ドル)の獲得を目指して同僚を相手に「マーチ・マッドネス」張りのトーナメントでしのぎを削る季節。

「ゲーム」の内容は? 乗客の手荷物の中に違法な品物や爆発物が潜んでいないか発見する。(スーツケースなどの)荷物の鍵がなかなか開かなくて困っている乗客を救う(鍵を開ける)。監視カメラに映る大勢の乗客の中からテロリスト役(今回の訓練ではCAS社の社長であるジェラルド・ベリー(Gerald L. Berry)が直々にその役を務めた)を見つけ出す。

「賞金(ボーナス)は結構な額になります」とベリー社長。「我々一同は保安職員として立派でなきゃいけません。運輸保安庁で働く方々(連邦政府職員)と同等かそれ以上に立派でなければなりません。そのために日々一生懸命努力していますし、社員にやる気を持ってもらうためにインセンティブも与えています」。

どういうわけだか今まで知りもしなければ、そんなことが可能だと思いもしなかった事実もついでに引用しておくとしよう。

米国内の大空港の中には煩わしい手荷物検査に対する国民の怒りの声に応じようとする動きも見られるようだ。運輸保安庁(TSA)の代わりにCAS社のような民間の警備会社に空港の保安検査業務をお任せしようかと検討しているところが出てきているのだ。サンフランシスコ国際空港やカンザスシティ国際空港をはじめとして米国内の16の空港は既に(2002年以降に)民間の警備会社に保安検査業務を任せている。

全文はこちら

タイラー・コーエン「移民問題に関して大事なポイント」

[Tyler Cowen, “A few simple points about immigration,” Marginal Revolution, January 15, 2018]

我ながらくどいとは思うんだけど、こういうことが相変わらず無視されている:
[Read more…]

タイラー・コーエン「合法大麻はメキシコからのドラッグ密輸を減らす?」

[Tyler Cowen, “Is Legal Pot Crippling Mexican Drug Trafficking Organisations?” Marginal Revolution, January 15, 2018]

どうやらそうらしい。サブタイトルは「医療用マリファナ法がアメリカの犯罪に及ぼす影響」で、著者は Evelina Gavrilova, Takuma Kamada, Floris Zoutmanの3名。Economic Journal に掲載されている。アブストラクトは下記のとおり:

本稿では、医療用マリファナ法 (MMLs) の導入がメキシコ国境付近の州で暴力犯罪が減少することにつながったことを示す。犯罪がもっとも減少したのは国境に近い州(350キロ以内)で、もっとも減少した犯罪はドラッグ密輸に関連した犯罪だった。これに加え、内陸部の州では MMLs が州境にもっとも近い場所で犯罪の減少につながっている。本稿の研究結果は、「マリファナの生産・流通を合法化すると、メキシコのドラッグ密輸組織が伝統的に支配する市場において暴力犯罪が減少する」という説と整合する。

論文へのリンクはこちら。以前のバージョンはこちら。紹介してくれた Peter Metrinko に感謝。ところで、Kevin Lewis には、〔合法マリファナの影響で〕高校卒業率が下がっているのを教えてもらった。

タイラー・コーエン 「何もしないでいるよりは『無益な忙しさ』に身を任せる方がマシ?」(2010年7月22日)

●Tyler Cowen, “Is “futile busyness” good for us?”(Marginal Revolution, July 22, 2010)


残念ながら大抵の人は自ら進んで「無益な忙しさ」に身を任せようとはしないだろうと件の研究チームは語る。そこで政府なり組織なりがパターナリスティックな(温情主義的な)立場から介入する余地が生まれることになる。何らかの無益な活動機会を作り出して無理矢理忙しくさせる(暇を潰させる)わけだ。論文の一部を引用しよう。「お手伝いさんを手持ち無沙汰にさせておく代わりに何の必要もないのにネズミを家の中に招き入れてその始末をさせる。その方が(何もしないでいるよりも)お手伝いさんも高い満足を覚えるかもしれない。政府が公共事業を通じて何もすることがない市民に何の役にも立たない橋を作る仕事を与える。その方が(何もしないでいるよりも)その市民の満足度は高まるかもしれない」。件の研究チームによるとそのような介入の実例が既に存在するという。空港の中には手荷物受取所までの道のりをわざと長くする(お客を無駄に長く歩かせる)ことでお客が手荷物の到着を手持ち無沙汰で待たねばならない時間を短くしているところがあるというのだ。

全文はこちら

タイラー・コーエン 「くしゃみが生み出す無限大の『時間の無駄』?」(2008年4月10日)

●Tyler Cowen, “The infinitely bad sneeze”(Marginal Revolution, April 10, 2008)


Zackが次のような意見を書き送ってきた。

あなたは空港にいて今まさに(保安検査場にある)セキュリティゲートを通過しようとしている。そう考えてください。ちょうどその時です。くしゃみが出てしまい、ゲートを通過するのが2秒遅れてしまいました。いや、「2秒の遅れ」を被るのはあなた一人だけじゃありません。「2秒の遅れ」はあなたの後ろに並んでいる「みんな」にもこれから列に並ぶ「みんな」にも降りかかることになります。セキュリティゲートに並ぶ列が途切れることがないと想定すると――大きな空港なんかだと午前3時になっても列が途切れることはないものです――、「あなたのくしゃみ」が生み出す「時間の無駄」は(「みんな」の分を足し合わせると)無限大ということになるでしょう。

セキュリティゲートに並ぶ列もいつかは(午前4時には?)途切れるのでくしゃみが生み出す「時間の無駄」が無限大になることはないと思われるが、Zackが言うように無限大の無駄(損失)が生み出される状況というのは考え得るだろうか? 仮にそのような状況があり得るとしたら無限大の無駄(損失)を回避するためにあなたが負うべき義務は何だろうか? (くしゃみをしないために)鼻を切り落とすべき? この問題に哲学的な観点から切り込むのであればこちらの論争からヒントを得られるかもしれない。