「それはない」というのが,ブルームバーグのコラムに書いたぼくの答えだ.ちょっとだけ冒頭を抜粋:
いまの状況でなにより目を見張る事実はなにかと言えば,世界の主要な中央銀行のどれひとつとして物価インフレ率をもっと高くしたいと宣言していない〔インフレ目標の引き上げを宣言していない〕という点だ.欧州中央銀行や日銀やアメリカ連銀の首脳から,3パーセントインフレ率〔目標〕を支持するなんて発言を聞いた? だから,中央銀行が大したことなさそうに見えるのも当然なんだよ. ようするに,中央銀行は経済の刺激に付け足し程度の貢献をしたがっているのであって,物価上昇率をもっと高くすることで政治的な怒りを呼び込みたくはないわけだ.中央銀行が失った力は政治的なものであって,経済的なものではない.
こうした論点や関連する問題について,スコット・サムナーの文章に長らくお世話になっている.感謝.さて,結びにはこう書いた:
というか,マクロ経済学に関して言えば,いまの沈滞ぶりは政治的なものだけでなく文化的なものでもある:なにかを達成し発展させていこうという気概が麻痺してしまっている.伝統的な経済理論は,べつに誤りだと証明されたわけじゃない.少なくとも,いまのところはそうだ.たんに,その伝統的な理論を応用していこうという意志が弱まっているんだ.