タイラー・コーエン 「リチャード・ギル ~経済学者にして遅咲きのオペラ歌手~」(2010年10月29日)

●Tyler Cowen, “Richard T. Gill”(Marginal Revolution, October 29, 2010)


リチャード・ギル(Richard T. Gill)氏が月曜日に亡くなった。ハーバード大学出の経済学者で、メトロポリタン歌劇場で計86回にもわたって歌声を披露したことがあるのは、おそらく彼くらいだろう。・・・(略)・・・享年82歳。

全文はこちら。ギルは、大学の講義でもよく使われた教科書をたくさん書いているが、ボイストレーニングをはじめたのは、何と40歳間近になってからだという。それまではクラシック音楽にも疎くて、タバコを一日に2箱半(50本)は吸うヘビースモーカーだったらしい。オペラ歌手としての初舞台は、ハーバード大学で公演された「フィガロの結婚」(演出はジョン・リスゴー、音楽の指揮はあのジョン・アダムズ)。フィリップ・グラス制作の「サチャグラハ(サティアグラハ)」の初演にも出演している。オペラ歌手として活動している間も教科書の執筆・改訂はやめなかったということだ。

ギルは、1971年にハーバード大学を去る決断を下した。オペラに専念するために、テニュア(終身在職権)を投げ打ったのである。1984年から1985年にかけてPBS(米公共放送サービス)で放映された経済学のテレビ講座で司会を務め、1990年代に入ると2冊の本を出版。一冊は人口問題がテーマで、もう一冊はアメリカにおける家族の衰退がテーマだ。彼が提案している「父母援護法案」はこちら。ギルは、アトランティック・マンスリー誌およびニューヨーカー誌に短編のフィクションを寄稿していて、それらは色んな選集に収録されている。2003年には、処女作の小説も発表している。

ギルは、三~四巻本の自伝を亡くなる間際まで執筆していたらしい。ハーバード大学の学部生時代は、ボクサーとしても好成績を残したとのこと。21歳の若さで(大学の運営管理職員として)部長補佐(Assistant Dean)に任命され、その後はレベレットハウス(ハーバード大学の学生寮の一つ)のマスター(寮長)も務めたということだ。

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