アレックス・タバロック「ロボット,貸します」(2022年4月4日)
[Alex Tabarrok, “Robot Rentals,” Marginal Revolution, April 4, 2022]
経済学者たちは,長らくこう言いつづけてきた――「金利 r とは資本の貸出料だ.その点,賃金 w が労働の貸出料(賃金率)なのも同様の話だ.」 さて,いまや,これが文字どおりの事実になりつつある:
ブルームバーグ: ロボットたちがしだいにやってきている――たんに自動車工場や航空宇宙工場みたいな大規模設備に来ているだけではない.アメリカ国内では,もっと小さな工場や倉庫や小売店や農場にもロボットたちが次々に登場しているし,さらには建設現場にも登場している. (…)ロボットをサービスとして提供する傾向は,まだ生まれたばかりだ.これは,ソフトウェア開発企業が提供するサブスクリプション・モデルに似ている.ソフトウェア製品を購入するのではなく月額や年額で顧客が対価を支払って利用するのと同様に,対価を払ってロボットを利用するわけだ.これによって,小さい企業にも利用機会が生まれている.この利用料モデルで,Thomson社はオートメーションを歓迎するようになった.同社では,成形機89台のうち27台にロボットを利用しており,今後さらに利用を増やす計画だ.同社では,1台当たり 12万5,000ドルにものぼるロボットの購入費はまかなえないと,CEO の Steve Dyer は言う.かわりに,Thomson 社では設置された機械ごとに1時間あたりで費用を払っている.このコストは,人間の従業員1名を雇うほどには大きくない――かりにそうした人間を見つけられたとしての話ですけどね,と彼は言う.「こうした広範におよぶ全面的な投資をするのに必要な種類の資本をうみだせるほどの利益は,我が社にはありませんよ.」 「かつて 15ドル~18ドルの時給プラス付加給付を払っていた職務を置きかえるロボットの費用は,1時間当たり10ドルから12ドルです.」
(…)Formic 社では,ロボット利用の対価として,わずかに1時間8ドルしかもとめていない.同社が最初にねらっているのは,もっとも退屈きわまる業務だ.たとえば,製品の梱包や荷ほどき,既存の機械に加工用素材を流し込む作業などだ.潜在的な市場は巨大で,ロボットが今後ますます洗練されていくにつれて市場は拡大していく一方だろうと Farid は言う.
ロボットによって,製造業がアメリカにもどってきそうだね.それに,ロボット労働力によって,人間の失業はいまよりもっと変動の少ないものになるはずだ.というのも,ロボット労働力は増強も縮小もすぐにできるし,名目賃金の硬直性を気にかけたりしない.それに,いまのところ,ロボットたちは労組をつくったりしない.ロボットの賃金により,最低賃金はいまよりも注目すべきものになりそうだ.買い手独占の買い手〔雇用主またはロボット利用顧客〕が,完全に弾力的なロボット供給に直面して,どういう相互作用が生まれるか,きっと面白い考察材料になる.