科学・テクノロジー系の各種職業に手引きする広告を女性が目にする機会は,男性よりも少ない.だが,企業が選り好みして男性を対象に広告を展開しているからではない――そうではなく,どうやら広告販売の経済事情の結果としてそうなっているらしい.
意外にも,科学・テクノロジー・エンジニアリング・数学 (STEM) の求人広告も含めて,広告を出稿する側がデジタル広告に対価を払うときには,男性より女性に見てもらう方が高くつく.その結果として,広告主の用意した予算で最大の効果をあげるべく設計された広告アルゴリズムは,より安上がりに多くの目にとまる方を選ぶ――その目とは,男性だ.この格差を例証した新研究では,この差が科学系求人の男女差にどう寄与しうるかについて,問いを提起している.
(…)だが,最適化の結果,女性に比べて男性が広告を目にする頻度は 20パーセント高くなった(…).
Tucker は Google 経由で 181ドル相当の広告を出稿した.その際に,たとえば,「1クリックあたり最大で50セント支払う用意がある」と彼女は申し出た.その結果,男性は1人当たり19セントの費用がかかったのに対して,女性は1人当たり20セントかかる結果となった.こうした投資により,男性の「インプレッション」(業界用語で広告を誰かが見た回数を指す)は 38,000になったのに対して,女性のインプレッションは約 29,000 だけにとどまった.
同様に,Twitter では,男性のインプレッションを約 52,000得るのに31ドルかかるのに対して,女性のインプレッションを 66,000 得るのにおよそ46ドルかかる.また,Instagram では,女性に広告を見てもらうのに1回当たり 1.74ドルかかるのに対して,男性なら1回当たり 95セントしかかからない.
Scientific American 誌の記事全文はこちら(via Luke Froeb).こうした差は,時間経過につれて著しく大きくちがってくるかもしれない点に留意しよう.男女差の各種問題を脇において言うと,時間の価値がすごく大きくなることのもっと一般的な問題が,ここには反映されていると思う――つまり,キミがぜひとも目にしたいと望む貴重なあれこれを見せてくれる人たち(いやがらせをしてくる人たちやペテンにかけようとしてくる人たちじゃなくって)全体のうち,比較的に大きな割合を維持しておきたくても,キミの時間の価値が高くなるとそれが難しくなってしまう,という問題だ.