タイラー・コーエン 「死亡率に関するゴンペルツの法則 ~あなたが死ぬ確率は8年ごとに倍増する?~」(2009年8月2日)

●Tyler Cowen, “Gompertz Law of Mortality, or, your body wasn’t built to last”(Marginal Revolution, August 2, 2009)


ここ最近目にしてきた中でも興味深さの点で上位に入るブログエントリーを紹介しておこう。

あなたが次の誕生日を迎える前に死ぬ確率はどのくらいだろう?
自分なりに予想してもらいたいと思う。
100分の1だろうか? それとも、1万分の1?
その具体的な値はともかくとして、あなたが死ぬ確率は8年ごと(8歳年をとるごと)に倍増するらしいのだ。

そんな衝撃的な事実にはじめて気付いたのは、イギリスで保険数理士として働いていたベンジャミン・ゴンペルツ(Benjamin Gompertz)氏。1825年のことだ。ゴンぺルツ氏の発見は今では「人間の死亡率に関するゴンペルツの法則」と呼ばれているが、それによると、あなたが一年の間に死ぬ確率は8年ごとに倍増する。
僕は25歳のアメリカ人だが、僕が26歳になる前に死ぬ確率はごくわずかで、0.03%。3000分の1くらいだ。でも、8年経って僕が33歳になると、僕が34歳になる前に死ぬ確率は1500分の1くらいになり、さらに8年が経って41歳になると、僕が42歳になる前に死ぬ確率は750分の1くらいになる。僕が100歳になったら(そこまで生きるつもりだ)、101歳になるまで生きていられる確率は50%しかない。
かなり急速な上昇率だが、僕が死ぬ確率は年齢を重ねるとともに指数関数的に高まっていくのだ。

僕が死ぬ確率(次の誕生日を迎える前に死ぬ確率、あるいは、次の1秒を迎える前に死ぬ確率)が(年齢を重ねるとともに)指数関数的に高まっていくってことは、僕が次の誕生日まで生きていられる確率は(年齢を重ねるとともに)超指数関数的に低下していくってことになるのだ。

リンク先では、目を見張るグラフ付きでもっと掘り下げた議論が展開されている。「ゴンペルツの法則」に関するウィキペディアのページはこちら。簡単なモデルを使って「ゴンペルツの法則」を導き出そうと試みている論文はこちら

ふと思ったことを3点ほど。a) 「ゴンペルツの法則」は、金融市場におけるシステミック・リスクや資産価格の決まり方に対してどういう意味合いを持ってるんだろう? b) 「ゴンペルツの法則」は、金融市場における規制のあり方に対してどんな意味合いを持ってるんだろう? チェスの比喩を使って金融規制のあり方にメスを入れているアーノルド・クリング(Arnold Kling)の論に対してどんな示唆を投げかけているんだろう? c) 「ゴンペルツの法則」は、フェルミ・パラドックスに対してどんな意味合いを持ってるんだろう?

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