この話題について,William W. Olney が新しく論文を出している.どうやら,英語ができるとかなりこの仕事で助かるらしい:
本稿では,英語が世界に広まっていることで英語母語話者であることそのものが有利にはたらくかどうかを検討する.この問題を,ここでは経済学の専門職業という文脈で研究し,経済学において英語母語話者であることが将来の研究公表の成功度におよぼす影響を検討する.文章の質は論文公表を左右する重要な要因であり,経済学のトップ学術誌はすべて英語で出版されている.このため,母語で執筆できる英語話者は,利点を有しているかもしれない.本稿では,世界の上位 2.5% 層の経済学者たちのランキングを用いて,英語母語話者が類似の非英語母語話者に比べて100スポット上に位置する(よりよい位置にいる)ことを確証する.さまざまな観点からさらに検討を加えると,他に考える多くの説明が排除される.
「類似の」は油断ならない単語だ.フランス人とどれくらい類似しうる? ぼくにはよくわからない.ただ,英米圏で育つと――言語を脇に置いても――成功しやすい思考パターンに誘導されやすいかもしれない.つまり,英米圏で成功しやすい思考パターンって話だけども.とはいえ,すっかり説得されはしないけれど,この論文は興味を引く研究ではある.また,経済学のブログ活動は主に英米圏で行われている点にも留意したい.ただし,これも言語そのものというよりは「心性」の問題じゃないかとぼくは見てるけれど.
この論文を教えてくれたケヴィン・ルイスに感謝.