●Tyler Cowen, “What ended the Great Depression?”(Marginal Revolution, February 8, 2007)
ブラッド・デロング(Brad DeLong)のブログに寄せられたコメントより。
・・・(略)・・・財政政策と大恐慌の終息との間には、事実上何のつながりもない [1] 訳注;アメリカが大恐慌から抜け出す上で、財政政策は何の役にも立たなかった、という意味。。詳しくは、以下の文献を参照。
●E. Cary Brown, “Fiscal Policy in the Thirties: A Reappraisal”, American Economic Review vol. 46, no. 5 (1956): pp. 857-879.
●Larry Peppers, “Full Employment Surplus Analysis and Structural Change: The 1930s”, Explorations in Economic History vol. 10 (1973): pp. 197-210.
●Prosper Raynold, W. Douglas McMillin and Thomas R. Beard, “The Impact of Federal Government Expenditures in the 1930s”, Southern Economic Journal vol. 58, no. 1 (1991): pp. 15-28.
●Christina Romer, “What Ended the Great Depression?” Journal of Economic History vol. 52, no. 4 (1992): pp. 757-784.
(一番最後に挙げられている)ローマーの論文を久しぶりに読み返してみた。大恐慌を終わらせた要因は何かというと、・・・金融政策、金融政策、金融政策とのこと。大いに信頼できる説だ。
ところで、デロングが(アーノルド・クリングとの論争から派生するかたちで)ニューディールに関するちょっとしたエッセイを物している。非常に興味深い内容だ。
——————————————————————————————————-
●David Beckworth, “Paul Krugman Versus Christina Romer”(Macro Musings Blog, November 29, 2008)
ポール・クルーグマンが「果たして大恐慌は、本当に貨幣的な現象だったのだろうか?」と疑問を投げかけている。どうやら彼は、クリスティーナ・ローマー(Christina Romer)の論文 “What Ended the Great Depression?”(「一体何が大恐慌を終わらせたのか?」)を見過ごしてしまっているようだ。1933年~36年の景気回復局面においてのみならず、1938年以降の景気回復局面においても、「マネタリーな動向」(monetary developments)がキーとなる役割を果たしたというのがローマーの論だ。「マネタリーな動向」というのは何を指しているかというと、「非伝統的な金融政策」のことだと言っていいだろう。具体的には、①ルーズベルト大統領による平価切り下げの決定、②海外からアメリカへの金の流入、③金の流入に伴うマネタリーベースの拡大を容認した(金の流入を不胎化しない方針に切り替えた)財務省の決定、の三つにまとめられる。ローマーの論文に関しては、「第二次世界大戦が大恐慌を終わらせた」とする説への疑念も含めて、こちらのエントリー〔拙訳はこちら〕で(①~③の「マネタリーな動向」が仮に生じていなかったとしたらどんな展開になっていたと予想されるかを描写した、実に印象深い図を中心に据えて)もう少し突っ込んで論じているので、あわせて参照してもらいたいと思う。
References
↑1 | 訳注;アメリカが大恐慌から抜け出す上で、財政政策は何の役にも立たなかった、という意味。 |
---|