●Tyler Cowen, “The twenty greatest English-language novels”(Marginal Revolution, August 17, 2015)
ガーディアン紙が英語で書かれた傑作小説を時代を問わずに100冊選んでいるが――英国文学の二流作品が思いの外多くランクインしている一方で、米国文学の二流作品はあまり選ばれていないようだ――、読者から「コーエン氏なら、どの小説を選びますか?」という質問がいくつか寄せられた。100冊はさすがに多いので、私なりに20冊を選ばせてもらうとしよう(順不同) [1] 訳注;どうやら19冊しか選ばれていない模様。。
*ジェイムズ・ジョイス(James Joyce)著『ユリシーズ』
*ジョナサン・スウィフト(Jonathan Swift)著『ガリヴァー旅行記』
*ハーマン・メルヴィル(Herman Melville)著『白鯨』
*チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)著『荒涼館』
*エミリー・ブロンテ(Emily Bronte)著『嵐が丘』
*ウィリアム・フォークナー(William Faulkner)著『八月の光』/『アブサロム、アブサロム!』/『死の床に横たわりて』/『響きと怒り』
*マーク・トウェイン(Mark Twain)著『ハックルベリー・フィンの冒険』
*ジョセフ・コンラッド(Joseph Conrad)著『ノストローモ』
*ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)著『灯台へ』/『波』/『ダロウェイ夫人』
*ウラジーミル・ナボコフ(Vladimir Nabokov)著『淡い焔』
*ヘンリー・ジェイムズ(Henry James)著『黄金の盃』
*トマス・ハーディ(Thomas Hardy)著『日陰者ジュード』
*J・R・R・トールキン(J. R. R. Tolkien)著『指輪物語』
*ルイス・キャロル(Lewis Carroll)著『不思議の国のアリス』
20冊じゃなくて25冊を選ぶとするなら、ローレンス・スターン、オルダス・ハクスリー、D・H・ロレンス、サミュエル・ベケット、イーディス・ウォートンなんかの作品もどれか入ってくるだろう。ウォルター・スコットとか、アントニー・トロロープとかの作品も。ハーディの別の作品も入ってくるかもしれない。ジェーン・オースティンの作品が入っていない責任はすべて私にある。オースティンの作品はどうも好きになれなくてね。
「バランス」をとろうとしていないことに気付く御仁もいることだろう。許されるようなら、同一作家の作品だけで20選を埋めるのも厭(いと)わなかっただろう。作家の人種だとか、民族だとか、性別だとか、出身国だとかに配慮して、「バランスのとれた」リストを作ろう・・・なんてことは一切考えずに、 個人的に傑作だと思う作品を思いのままに選ばせてもらった。
「どうしてあの作品が入ってないんだ!」っていう作品がいくつか思い浮かんでいる御仁もいるかもしれない。その中には、私がうっかり忘れてしまっているだけなのもあれば、あえて選んでいないのもあるだろう。良作はたくさんある。例えば、(ジョージ・オーウェルの)『1984年』も良作だが、私なら20選には入れない。20世紀後半に米国で書かれた小説の中にはすごく出来のいい作品が数多くあるが、その中から私なりに30選ないしは40選の中に入れてもいいかなと思えるのは、ほんの数冊(5冊くらい?)しかない。20世紀後半に米国で書かれた小説の中で、フォード・マドックス・フォードの『かくも悲しい話を…:情熱と受難の物語』(1915年刊行)――あるいは、ジョン・ゴールズワージーの作品――よりも優れている作品というのは、そんなに多くないのだ。
References
↑1 | 訳注;どうやら19冊しか選ばれていない模様。 |
---|