マーク・ソーマ 「『ポール・クルーグマン: “共和党の気候変動否認説” 否認説』」 (2015年12月4日)

Mark Thoma, Paul Krugman: Republicans’ Climate Change Denial Denial, (Economist’s View, Friday, December 04, 2015)


そろそろそんな風に呼ぶ頃合いだ:

“共和党の気候変動否認説” 否認説, ポール・クルーグマンの論説 (ニューヨークタイムズ): 未来の歴史家は – 未来にも誰か歴史家の生き残りがいるとして – きっとこういうだろう、パリでの環境会議こそ、2015年12月の世界で起きていた最重要事件に他ならない、と。確かにパリでの合意事項それ自体が、地球温暖化問題を解決するのに十分なものになるとは思えない。しかし今回の会議が1つのターニングポイントとなるかも知れないのだ。…

繰り返すが、そうならない可能性もある。その場合に我々を待ち受けているのは、破滅の運命ということになる。しかしもしそうなら、誰にその責任があるのか、それはあなたもご存じのはずだ。そう、共和党である。… 加えて、新しいニュースメディアをはじめに批評家や政界既成権力は概してこの事実に向き合う能力を欠いているが、まさにこの無能力こそ、我々が現在直面している危険事態をさらに深刻にしている要因の最たるものなのだ。

環境問題に関して合衆国で繰り広げられてきた政治討論をフォローしてきた者にとっては、共和党の政治家が、温室効果ガスの排出を制限しようとする一切の動きに対し、他を圧する勢いで反対している事は周知の事実だ。…そのうえ共和党大統領指名選の候補者は、そのほとんどが筋金入りの反科学主義的陣営とくる。…

また温暖化否認説の本流は、単に科学者間でのコンセンサスが誤りである旨を言うばかりではない。合衆国議会の長老共和党議員は恰もそれが日課か何かのように、恐るべき種々の陰謀説を展開するのである。… それに留まらず、彼らはありとあらゆる手を使って、個々の科学者に対し嫌がらせや脅しを行っている。…

この種の事態は外国に例を見ないものでもある。成程、傾向としては、西欧諸国の保守政党に、温暖化問題への取り組みに対する態度に関して、もっと左寄りの政党のそれほど友好的でないところが有るのは確かだ。しかしほとんどの国では、- はっきりいえば、アメリカとオーストラリア以外の国はどこも – こういった保守政党であっても温室効果ガス排出制限の方策を支援しているのだ。くわえて合衆国の共和党員は、そもそも問題の存在を一切否定している点で、むしろユニークでさえある。だが不幸なことに、合衆国の重要性があるが為に、一国の内の一党の主張する極端意見にすぎぬものが地球規模で巨大な影響力をもってしまっているのだ。…

共和党員を斯くの如き見解へと導いたプロセスについて我々は知るところがあるが、その全てが、彼らの意見は純然たる盲信にすぎないと教えている。だがこの盲信は国民一般の認識能力を曇らせてしまうかも知れない。

恐らくさらに重要なことは、政治ジャーナリズムの慣習に内在的な事実否認だろう。それに因れば、二大政党は何時でも必ず左右対称なものとして描写しなければならない – つまり、一方の政党が採る極端な立ち位置について報道するときは何時でも、恰も両政党が揃ってそうしているかの如く聞こえるように枠組みを設定しなければならないというのだ。…

しかし私は、自分の方が間違っていればと思っている。そして気候問題否認バブルの外部にいる人達には、この驚異的かつ脅威的な現実を率直に認めてもらえるよう説いて行きたい。我々は1つの政党が科学に対し背を向けるのを目にしたのだ。それも、そうすることが文明の未来そのものを危うくするまさにその時代に、である。これは事実であり、しかも正面から向き合う必要のある事実なのだ。

 

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  1. ”しかしほとんどの国では、- はっきりいえば、アメリカとオーストリア以外の国はどこも ”
    細くてすみません。しかし原文ではオーストラリア、とあります。

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