タイラー・コーエン「どうしてレズビアン女性に賃金プレミアムがあるんだろう?」

[Tyler Cowen, “Why is there a lesbian wage premium?” Marginal Revolution, February 22, 2016]

ワシントン大学の Marieka Klawitter は,昨年,賃金と性的指向に関する研究29件を検討した.すると,異性愛者の女性とくらべて,レズビアン女性には平均して9パーセントの収入プレミアムがあるのがわかった.一方,異性愛者男性に対してゲイ男性は11パーセントのペナルティがある.この収入の隔たりは,アメリカ・イギリス・カナダ・ドイツ・オランダに関する研究で確かめられている.平均してレズビアン女性の方が異性愛者女性よりも教育を受けている事実や子供をもたない傾向が強いことを考慮に入れて調整しても,この隔たりは消えうせることがなかった.

次の点に留意しよう.まず,レズビアン女性がそうでない女性よりも競争力があるわけではないと証拠が示唆している.また,公共部門ではレズビアン女性は賃金プレミアムを受けとっていない.いくつか,考えうる仮説がある:

(…)平均して,異性愛女性と比べて彼女たちは一日あたりの労働時間が長い(グラフ1参照).すると,こうして年月を重ねるにつれて,より多くの経験を積み,昇進の機会にめぐまれやすくなりうる.ネバダ大学の Nasser Daneshvary, C. Jeffrey Waddoups,Bradley Wimmer による論文に,それが垣間見える.同論文によれば,以前に男性と結婚していたレズビアン女性は結婚していなかったレズビアン女性と比べて賃金プレミアムが小さいのだ.

最後に,同性カップル女性は,あまり子育てや家事をする義務を感じないため,仕事でじぶんの可能性を開花させる自由がより大きくなっているのかもしれない.レズビアン女性のカップルは,子供をもっている場合にすら,はたらく時間がより均等になる傾向がある.また,いくつかの研究によれば,同性の家庭は異性の家庭と比べて家の雑事をより均等に分担しているという.

引用はすべて The Economist 誌から.

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