タイラー・コーエン「ポルノを検閲すべき?」

[Tyler Cowen, “Should we censor porn?Marginal Revolution, February 12, 2018]

1971年に、アーヴィン・クリストル〔ネオコンの元祖みたいな人〕は「すべき」と言った。今日では、ロス・ダウサット〔ニューヨークタイムズのコラムニスト〕が「すべき」と言っている。「一目見ればそれとわかる」〔という直感だのみの〕定義でのポルノが社会にとってプラスマイナス差し引きした正味でマイナスになるという考え方にはぼくも共感を覚える(アレックスはちがう)。ポルノのおかげで性生活がたのしくなるひとたちがいるとしてもだ。とはいえ、ポルノを検閲する魅力的な方法は思いつかない。

ロスがこんなツイートをしてる:

まずはいまあるルールからはじめて、それをインターネットプロバイダに適用できそうな方法について考えればいいんじゃないかな。

そうは言っても、プロバイダでモグラ叩きをしてみても、いつでもうまくいくとはかぎらない。このブログにコメントしてくれてる情動の安定した多くのの人たちが「そのとおり」と請け合ってくれることだろう。それに、ポルノ利用者も提供者も、VPN などあれこれの迂回路をなんとか見つけようとするだろう。ポルノがすべてゲットー化するオチになるとは思わない。ぼくが心配してるのは,アメリカのインターネットがかなり急速に中国式の管理制度へと変貌を遂げていくんじゃないかということだ(いま現在は使われてないだろうけれど)。しかも、ポルノは大して抑制されないままに、他のいろんなものも検閲しようという声が高まっていくんじゃないだろうか。

それに、ポルノはイノベーションの主要な推進力でもある点に留意しよう。たんに〔かつての〕ビデオカセット普及を推し進める力になっただけでなく、インターネットでも大きな推進力になっている。決済方法、ストリーミング方法、海賊版追放などのイノベーションにポルノは貢献した。バーチャルリアリティのネットワークへの需要をポルノは後押しするかもしれないのでは? というわけで、さあポルノを禁止しましょうとは、いまのところぼくは言えない。

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