●James Hamilton, “Energy use in Japan”(Econbrowser, July 9, 2007)
一週間ほど前まで、日本に滞在していた。東京にあるいくつかの大学と日本銀行で講演を行うのが訪日の目的だったのだが、それはさておき、驚きを禁じ得ないことがあった。東京では、南カリフォルニアとは大違いのやり方で、エネルギーが使われているようなのだ。
1999年からこれまで(2007年まで)の間に、日本における石油の総消費量は、年率に換算すると1%のペースで減っている。その一方で、同期間に、アメリカにおける石油の総消費量は、年率換算で0.8%のペースで増えている。日米間でかような違いが見られるのは、なぜなのだろうか? 日本の方が経済成長の伸びが鈍いというのも理由の一つではあろうが(日本の実質GDP成長率は年当たりに換算すると1.6%、米国のそれは2.7%)、エネルギーの使い方にまつわる習慣の違いも一因となっているように思われる。
福島駅にある駐輪場
私が直接言葉を交わした(東京で働く)日本人に限っていうと、職場まで自家用車で通勤しているという人は(車通勤を選択肢の一つに入れているという人さえも)、一人もいなかった。誰もが電車通勤。駅までは、バスを利用するか、自転車を漕ぐか、徒歩で向かうか。
東京で車通勤が忌避されているのは、アメリカに比べて、ガソリンの価格がべらぼうに高いからというわけじゃない。東京近郊にあるガソリンスタンドで、レギュラーガソリンが1リットル当たり136円(1ガロン当たりおよそ4.20ドル)で売られているのをよく目にしたものだ〔2007年7月時点の話〕。私が暮らす(南カリフォルニアにある)サンディエゴでは、レギュラーガソリンの価格が今年(2007年)の春に1ガロン当たり最高で3.50ドルに達したことがあったが、それに比べると、確かに東京の方がガソリンの価格は高くはあるが、かといって、べらぼうに高いというわけでもない。
東京では、駐車場代が高い。そんな不満の声をよく耳にしたものだ。私が観察した範囲でいうと、駐車場に車を1日預けておこうとすれば、2000円(およそ16.30ドル)はかかる、というのが典型的なケースのようだ。さらには、高い駐車場代を支払う意思があっても、駐車場に空きがあるとは限らない。職場で従業員のために駐車場を用意してくれていればいいが、そうなっているわけでもない。
駐車場の問題もあるが、個人的に一番しっくりくる説明は他にある。自分で車を運転するよりも、電車を利用した方が、通勤時間が短くて済む、というのがそれだ。東京だと、ほんの数分も待てば、目的の電車に乗れる一方で(私も東京にいる間に、ほとんど待つこともなく、1日のうちに何本も電車を利用したものだ)、車を運転して都内の主要道路を通り抜けようとすれば、渋滞に巻き込まれること必至だ。何年か前になるが、東京都が交通インフラの強化策を打ち出したが、その対象として選ばれたのは、駐車場や道路ではなく、鉄道だったものだ。
日本の隣国たる中国は、今後のエネルギー政策のお手本をどこに求めたらよいかと模索している最中のようだが、私ならどの国をお薦めするかはおわかりだろう。
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