[ジュリア・]ゲレフは,こうした予測がどれほど当たっているのか気になって,正確に知りたいと考えた.「そこで,『スタートレック』全エピソードと映画版を全部通して調べてみたんです――見つけられるかぎりすべての書き起こしを調べて――それで,スポッックが「確率」「見込み」「偶然」「確実に」「おそらく」といった単語を使っている事例を検索してみました」とゲレフは言う.「スポックがなにか予測した事例をすべてカタログにして,その予測が当たったか外れたかをまとめていきました.」
その結果はどうなったか.ガレフの新著『スカウト・マインドセット』にも述べられている結果は,惨憺たるありさまだった.スポックの予測実績はひどいものだったし――「不可能」とスポックが言っていた出来事の 83パーセントは実現していた――,そればかりか,スポックの確信度は現実と逆相関していた.「しかじかのことが起きるという予想に――宇宙船が大破するとか,生存者が見つかるとか,その手の予想に――スポックが自信をもっていればいるほど,その出来事は起こりにくいんです.そして,スポックの自信が小さいほど,その出来事はよく起こります」とゲレフは言う.
スポックの最大の弱点は,他人がいつでも「論理的に」ふるまうとはかぎらないことを理解し損ねているところだ.また,スポックは自分のアプローチを更新しようと試みない.自分の失敗が仲間が死ぬ憂き目になってもなお,アプローチを改めようとしないのだ.
Wired の記事全文はこちら.ジュリアの新著はこちらから購入できる.テレビシリーズに比べて映画版の方がスポックは合理的になってたりしないかな.あと,ファンの二次創作だとどうだろう? 劇的な不合理性がとりわけ強く求められる場面って,どんなのだろう? その理由は?