アレックス・タバロック「炭素税に関するティム・ハーフォードのコラム」(2021年11月26日)

[Alex Tabarrok, “Harford on a Carbon Tax,” Marginal Revolution, November 26, 2021]

炭素税の長所について,ティム・ハーフォードがいい文章を書いてる

友達からもらったメッセージに,とある倫理問題で苦しんでると書いてあった.友達が言うには,家族に会いに長距離の旅行に出かけるかどうか思案してるんだけど,そのときに乗る飛行機が大老のカーボンフットプリントを出すのがどうにも心苦しいのだという.「いったい,この旅行は正当化できるんだろうか?」 そこで,こう提案した.そのカーボンフットプリントを算出してごらん(やってみたら,CO2 1トンだった).それから,架空の炭素税を想像してみるといい.その税を払わなくちゃいけないとしても,やっぱり旅行に出かける? そうじゃないなら,その旅行にはそれだけの値打ちがないってことだよ.

この助言では,その炭素税がどうあるべきかって問いが出てくる.CO2 1トン当たり5ポンドの炭素税がかかるとすると――全世界での炭素排出量の多くは,ここまでの税金はかかっていない――その帰省旅行の飛行機が出す1トンにかかる追加の税金は,とるに足らない額だ.もっと重くして50ポンドにすると,かなり気になる金額ではあるけれど,たぶん,決定的とまでは言えないだろう.(EU とイギリスの炭素排出量取引システムでは,最近まで,CO2 1トン当たり約 50ポンドだった.イギリスの価格はその後に跳ね上がっている.アメリカの民主党はアメリカの炭素税について検討中だ.) 炭素税が環境保護をとことん追究して CO2 1トン当たり500ポンドだったら,きっと,たいていの人たちよりもずっと長く,この友人は家族と会わずに過ごすことになるだろう.

自分の個人消費について,完全に架空の税を考えて意思決定するように助言するなんて,とほうもない話だってことは,ぼくもわかってる.ただ,この助言は,炭素税の狙いの核心部分をついてるんだよ.炭素税は,たんに行動を変えるインセンティブなだけじゃない.炭素税は,ぼくらがいまなによりも優先して変える必要に迫られてる行動に関する情報源なんだ.

まさにそのとおり.あるいは,タイラーとぼくが『現代経済学原理』で言ってるように,価格はインセンティブで包装されたシグナルなんだ.炭素に価格をつければ,システム内のあらゆる行為者たちがそのシグナルにしたがうインセンティブがはたらき,誰にも予想も計画もできないかたちで炭素使用量が減少する.

ティムはコラムをこう結んでる:

(…)炭素税によって,気候変動が本物のコストになって,これが変化する.炭素税は,サプライチェーンの全体にわたってシグナルを送り,炭素排出がより少ない選択肢へとあらゆる意思決定を小突く(「ナッジする」).炭素税込みの Tシャツの値が張りすぎると買い物客は考えるかもしれないけれど,その一方で,繊維工場は電力節約を模索するし,電力業者は太陽光発電に切り替えはじめる.バリューチェーンのあらゆる部分が,もっと環境にやさしくなる.

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