タイラー・コーエン 「後世にたった一文だけしか託せないとしたら」(2013年1月4日)

マクロ経済学の教えについてたった一文だけしか後世に託(たく)せないとしたら、どんな一文にする?
画像の出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/968660

イアン・レズリー(Ian Leslie) から次のようなメールを頂戴した。

ジョン・ランチェスター(John Lanchester)がロンドン・レビュー・オブ・ブックスでこう書いています

「現代の科学知識の全体系が破壊されてしまって、後世にたった一文だけしか託せないとしたらどんなことを伝えますか? リチャード・ファインマン(Richard Feynman)がかつてそう尋ねられたことがある。できるだけ少ない文字数で科学に関する情報を最大限に伝える金言とは? 『万物は原子からできている』(“all things are made of atoms”)というのがファインマンの答えだった。それに倣(なら)って、現代のマクロ経済学を支えている脆(もろ)い土台が崩れてこれまでの蓄積が無に帰してしまい、マクロ経済学という建物をまた一から作り直さないといけなくなったとしたら、どんな一文を後世に託したらいいだろうか? できるだけ少ない文字数でマクロ経済学のエッセンスを伝える一文というのは、『政府と家計は別物』(“governments are not households”)なんじゃなかろうか?」

「短期的には、政府と家計は別物」というのが私なりの答えだろうかね。「今はもう既に長期だ」というのもありかもしれない。スコット・サムナー(Scott Sumner)の答えが気になるところだ。

歴史上の景気循環の99%は(実物的な要因によって引き起こされた)「実物的景気循環」なのであり、国家の破産(政府の債務不履行)は歴史的に見るとよくある話――主要な国の多くの政府は、今日ではかなり高い信用度を誇っているとしても――ってことを忘れないでおきたいものだ。


〔原文:“If we could preserve only one sentence…”(Marginal Revolution, January 4, 2013)〕

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