タイラー・コーエン 「耐久消費財としての『記憶』」(2012年4月26日)

●Tyler Cowen, “Memory as a consumer durable”(Marginal Revolution, April 26, 2012)/(訳者による付記)“タイラー・コーエン 「休暇の行動経済学」”とあわせてご覧になられたい。


ギャレット・ジョーンズ(Garett Jones)がAtlantic誌に次のような記事を寄稿している。

・・・(略)・・・耐久性というアイデアは、政府による公式統計の定義によっては捉えきれないだけの重要性を備えている。目にはまったく見えない「記憶」(memory)も、極めて耐久的な性質を持っているのだ。

遠くまでドライブに出掛けよう。レストランの予約をとろう。飛行機に乗って未訪問の国に旅に出よう。何か新しいスポーツを始めよう。そういう思いを抱きつつも、いざ実行に移そうとなると躊躇してしまう。そういう経験はよくあることだ。準備が面倒なわりに、楽しい時間もすぐに終わってしまうのではないかと考えてしまうのだ。しかし、そのような見方は誤っている。バンジージャンプに挑戦したとしよう。その時、あなたは一体何を買っているのだろうか? 束の間の体験? そうではない。「記憶」(思い出)を買っているのだ。ジーンズなんかよりもずっと長持ちする可能性を秘めた「記憶」を買っているのだ。

心理学の研究も私の見解を裏付けているようだ。多くの人は、休暇が始まるのをワクワクしながら心待ちにする。しかし、休暇の最中は、あまり楽しむことができない。そして、休暇が終わると、休みの記憶(思い出)を愛でるのだ。つまり、休暇がもたらす喜び――経済学の用語では、「効用」――の大半は、休暇を過ごしている最中以外――その前後――に生じることになるのだ。

観光消費支出をはじめとした休暇絡みの支出は、耐久消費財への支出と似たような動きを示す傾向にある。観光消費支出は景気後退期に大きく落ち込む傾向にあり、現在の大不況(Great Recession)下でも、約15%もの落ち込みを記録している。それとは対照的に、食料への支出額はわずか5%しか減っていない。

是非とも全文に目を通されたい。

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