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ポール・クルーグマン「失墜した経済思想」(2017年9月22日)

Paul Krugman, Discredited Ideas (Video VOX, 22 September 2017)

金融危機とその後の状況は私たちが思ったように理解不可能なものだったでしょうか。この動画では、ポール・クルーグマンは私たちが学ぶことのできる四つの見解をあげています。この動画は2017年9月22日に開催された「金融危機から10年」と題されたカンファレンスで録画されたものです。1  [Read more…]

  1. 訳注:本訳はクルーグマンが実際に話しているものをもとにしており、動画の英語字幕とは必ずしも一致しません。 []

タイラー・コーエン「写実的なアートを好むひとはBrexitを支持する」(2018年10月9日)

Tyler Cowen, “Preference for realistic art predicts support for Brexit“(Marginal Revolution, October 9, 2018)

これはノア・カール、リンジー・リチャード、アンソニー・ヒースのペーパーの概要の一部だ。

個人の性格特性の違いを対照として〔実験を行ったところ〕、 4枚の写実的な絵画すべてを好みだと回答した被験者は、ゼロまたはひとつしか好みではないと回答した被験者に比べて、Brexitを支持する確率が15-20%高い傾向にあることがわかった。この結果は、大卒者と高卒者の〔Brexit支持率の〕違いと類似しており1  、被験者の支持政党アイデンティティを対照にした場合では強固であった2

素晴らしいケヴィン・ルイスの記事から。

  1. 訳注:Brexit支持率は大卒者で低く、高卒者で高い []
  2. 訳注:Brexit支持率は英国保守党支持者で高く、労働党支持者で低い []

タイラー・コーエン「美術書ってどれくらい売れてる?」(2004年4月15日)

Tyler Cowen, “How well do art books sell?“(Marginal Revolution, April 15, 2004)

答えはシンプルだ。美術書はあまり売れない。写真集やハウツーものを除いて、2003年[アメリカで]最も売れた美術書はロス・キング著「システィナ礼拝堂とミケランジェロMichelangelo and the Pope’s Ceiling)」で、5万5693部売れた。アメリカでは一万部以上売れた美術書は、写真集とハウツーものを除いて、他に4冊しかなかった。驚くべき事実は、私が見る限り、ボーダーズやバーンズ&ノーブルといった一般的な大型書店で我々がどれだけたくさんの美術書を見つけることができるかだ。もちろん、そのうちの多くは出版社に返却されてしまうのだが。これら美術書は読者を、ウォルマートではなく本屋で、小説「ダヴィンチコード」を買うように導いていく。

アメリカに比べて人口が少ないにもかかわらず、イギリスでは美術書はもっと人気がある。イギリスで最も売れた美術書は、ティツィアーノのカタログだが、6万部を売り上げた。

これはウェブでは読めないが、The Art Newspaperの2004年4月号の記事「Big Market but Few Books Bought」から。

タイラー・コーエン「レオナルド・ダ・ヴィンチって過大評価されてるんじゃない?」(2017年10月18日)

Tyler Cowen, “Is Leonardo da Vinci overated?“(Marginal Revolution, October 18, 2017)

モナリザは史上最高の芸術品と言うわけではないし、絵描きとして、マンテーニャやピエロ・デラ・フランチェスカといった世間ではあまり知られていない画家に比べてレオナルドは大して上手いとは思えないし、ティツィアーノに比べたら随分下だ。ミケランジェロのダヴィデ像のような素晴らしく魅力的な芸術作品もないし、彼が受注した依頼品のあまりに多くは未完成のままか、若しくは描き始められさえもしなかった。彼の手稿は豊かな想像力を見せてくれるが、大動脈弁について以外に実用的な知識は大して含まれていないし、GDPを押し上げたわけでもなければ読む価値があるわけでもない。彼の科学のほとんどは、彼の時代を考慮しても、理論的に弱い。ミラノで宮廷インプレサリオ1 として働くには満足しすぎていたし、比較優位を踏まえたうえで自分の才能をどう生かすかまったくわからないというように見えた。

思いついたアイディアを記憶に残るようなスケッチに描き表すのが、レオナルドの最も卓越した才能であり、これについては彼に匹敵する者はいない。

それに加え、「ミラノの貴婦人の肖像」は、愛くるしささえも伴って、とても素晴らしく描けている。

レオナルド・ダ・ヴィンチ入門書として、ウォルター・アイザック氏の書籍をお勧めする。私のレオナルドについての意見は変わらないが。

  1. 訳注:現代で言うところのアートプロデューサー。中世イタリアでオペラなどの公演を運営する者の名称。レオナルド・ダ・ヴィンチはミラノ公爵に仕えていた時代に演劇や野外劇を手がけている。 []

タイラー・コーエン「シンフォニーオーケストラと産業革命」(2018年4月22日)

Tyler Cowen, “The symphony orchestra and the Industrial Revolution“(Marginal Revolution, April 22, 2018)

昨夜、モーツアルトの交響曲39番をコンサートで聴いた。そしてこれは人類最大の「技術的」偉業のひとつを目撃してもいるのだと、私は(もう一度)気付いた。この活動に注ぎ込まれているものを考えてみてほしい。ひとつひとつの楽器は最終的には完璧なまでに発展し、他の楽器と調和している。調律のシステムと音楽の基礎原理。音楽ホールの音響。紙の楽譜と記譜法。これらすべての機能は1710年から1920年といった中央および西ヨーロッパに出現した作曲タレント(才能)と非常によく連動している。18世紀半ばまでにはこのシステムの重要部分のほとんどはできあがっており、19世紀初期には概ね完成した。 [Read more…]

ジョセフ・ヒース「男の子差別文化」(2018年3月26日)

Joseph Heath, “How our culture treats boys” (In Due Course, 26 March 2018)

子供たちが少し大きくなったので、以前ほどThe Children’s Placeで買い物をしなくなった。だが先日そこで買い物をすることがあり、我々の文化が男の子たちに向けて発しているメッセージの類が気がかりになった。The Children’s Placeが何か知らないひと向けにいうと、それは洋服屋だ。ウェブページの表示はいつも同じ。ページは真ん中で分かれ、女の子用が片方に、男の子用がもう片方にある。これはその時々にどんなものが男の子用と女の子用それぞれに売られているか比較するのに、そしてどんな思い込みが性別に付随しているのか考えるのに、都合がよい。 [Read more…]

タイラー・コーエン「古いオーケストラ向けコンサートホールのほうが音が良いのはなぜ?」(2015年12月4日)

Tyler Cowen, “Why older halls for symphony orchestras sound better than new ones?“(Marginal Revolution, December 4, 2015)

ヴィトルト・リプチンスキーによると、それは大きさと形の問題だという。ウィーン楽友協会(1870年建設)、コンセルトヘボウ(1888年建設)やボストンシンフォニーホール(1900年建設)といった古いコンサートホールは〔長方形の〕シューボックス型になっている。オーケストラはホールの先端に位置し、「音は(約18-24メートル離れた)平行な2枚の壁と天井で反響して聴衆に届く。聴衆は演奏家たちに比較的近いところにいるため、空間は視覚的にも聴覚的にも親密だ」。

収入のためにより多くの座席が必要となり、それがコンサートホールに座席数を最大で3000まで膨張させ、ホールが良い音を響かせるのをより難しくした。とりわけ「ベース音を壁で反響させる」ことが難しくなった。

更に、異なったホールは異なった「残響」時間があり、ゆえにホールが違うタイプの音楽に使われるほどホールのデザインは妥協を招くことになる。理論的には、グレツキとバッハの演奏には別々のホールがあるべきだ。なので、多目的ホールが理想的な音を作り出すのは稀だろう。

これは彼の新しい本 Mysteries of the Malls and Other Essys(188-192ページ)の中にすべて書かれている。

タイラー・コーエン「破産した美術館を救済する方法?」(2004年12月26日)

Tyler Cowen, “How to Save an Insolvent Art Museum?“(Marginal Revolution, December 26, 2004)

サザビーズのアメリカ絵画部門元部門長であるジェームズ・S・マロニー氏は、バーンズ財団を救済しフィラデルフィア郊外メリオンにコレクションを留める計画を裁判所に提出した。マロニー氏の計画は、個々の絵画の生涯不動産権を売るというものだ。各購入者は絵画価格の10%かそれ以上を支払い、購入者の存命期間中絵画を展示する権利を「所有」する。バーンズ財団は購入者の死亡時に絵画を買い戻す。収益は、2億米ドルほどの寄贈財産として使用されるという。

これはコレクションの「最も望ましい」作品100点を貸し出さなくてもすべて可能だろう。そしてもし美術館が個人より絵画に低いディスカウントレートを提供できるなら、この取引は経済的に筋が通る。しかし前例は過去に一件しかない(デンバー美術館)し、インフォームドオピニオンはこの提案が通らないだろうと予測している。それに人々が観るためでなく単に所有するために絵画を購入するなら、この計画は成立しない。

引用は2003年12月号のThe Art Newspaper (14ページ)から。

タイラー・コーエン「美術館の本当のお客は誰?」(2004年4月9日)

Tyler Cowen, “An Impossibly Crude Theory of Museums“(Marginal Revolution, April 9, 2004)

洞察力鋭いデビッド・ニシムラ1 は、美術館は所蔵している美術品の売却になぜそんなにも強く反対されるのだろうかと疑問を呈している。私の(非公式の)推計では、数年の間にアメリカの美術館はコレクションのわずか5%しか展示していない。ニシムラは言う。 [Read more…]

  1. 残念ながら引用先の記事はリンク切れ []

タイラー・コーエン「ノーマン・ロックウェルを売ってしまえ」(2017年11月17日)

Tyler Cowen, “Let them sell the Norman Rockwells“(Marginal Revolution, November 17, 2017)

そう、バークシャー美術館のことだ。彼らは40枚の絵画をサザビーズで売却する予定で、そのうちの2枚はとても特別なノーマン・ロックウェルの絵画だった。だが、直前になって、裁判所が中止命令を出した。絵画の売却は美術館の信頼を害するものであると、(不十分な正当性のみで)主張した。以上が私のブルームバーグコラムの設定で、以下がその抜粋だ。

悲しい事実は、バークシャー美術館の運営陣は単にアメリカ美術をあまり大切にしなくなったということだ。少なくとも組織的観点ではそうだ。その現実を踏まえ、重要な美術品を彼らに任せないほうが実際のところ良い。

裁判所の決定は12月に再審議されるが、(美術館が所蔵品に対して)完全で明瞭な権利を有するとして所蔵品の売却を成し遂げるのが難しくなったことをこれは意味する。不確実さと周囲のネガティブな世論の両方が買主を怖がらせて退散させてしまうし、これから長い期間マーケットをダメにするかもしれない。

リンク先のコラムにはもっと詳細を書いている。もちろん売却に反対する理由としては、売却が頻繁に行われる世界では美術館は寄贈者が納得いく拘束約定を締結することが難しくなることだ。寄贈者は自分が寄贈した美術品をマーケットで売却されて再利用されたくなんてないという場合が多い。しかし、売却ゼロの均衡はアートの世界にとって価値を相当破壊する。この問題は時間が経つにつれ大きくなっていき、所蔵品の数と美術館の過去の不適切なコミットメントは積みあがっていく。少なくとも、遅かれ早かれ破綻状態が始まる。錆びは眠らない。などなど。

教会は停滞しているアメリカの主要都市に、あれ程の土地を全部、本当に所有しておくべきだろうか?