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デイビッド・アンドルファット「年上の女を讃える」(2010年10月4日)

David Andolfatto, “In Praise of Older Women”1 , (Macro Mania, October 4, 2010)

どこで聞いてもアメリカの雇用情勢は悪いと言われる。だが、「悪い」とはどういう意味だろう?どれほど悪いかを証明する最もよくある方法は以下のような図表を使うことだ2

 (図表:不況期における民間雇用の急激な落ち込み)

ここも見て欲しい3 。これらは、景気循環ピークにある雇用水準を取り、ゼロを基準に合わせている。過去のいくつかの不況期が折れ線グラフになっているが、雇用の変化は各不況期の初めから見て取れる。そして今回の不況は悪そうだ。 [Read more…]

  1. 訳注:ハンガリー生まれカナダ人作家スティーヴン・ヴィジンツェイの恋愛小説の題名「年上の女を讃える」からと思われる。 []
  2. 訳注:残念ながらリンク切れだが、ダラスFedの統計だったと思われる []
  3. 訳注:残念ながらリンク切れ []

デイビット・アンドルファット「ミスリーディングなMMT調査に物申す」

David Andolfatto “The Chicago Booth Survey on MMT” MacroMania, March 14, 2019


シカゴ大学ブース校が経済学者たち対して行った調査(こちらを参照)についてに少々物申しておきたい。この調査は,次の2つの主張について各自がどれほど強く信じているかについて尋ねたものだ。

質問A:自国通貨での借り入れを行う国は,自身の債務を賄うためにいつでもお金を創り出すことができるので,政府の財政赤字を心配する必要はない。
質問B:自国通貨での借り入れを行う国は,お金を創り出すことで自身が望んだだけ政府実質支出を賄うことができる。

当然ながら,調査を受けた経済学者のほとんどが両方の主張を否定した。それは問題なし。でも実は問題ありだ。なぜならこの調査は

現代金融理論(MMT)

と前置きして,このふたつの主張があたかもMMTの核となる信念の一部をなすものであるかの如くしているからだ。

有力なMMT派はこの調査に含まれていただろうか。冗談言っちゃいけない,もちろんそんなことはなかった(MITの人は何人かいたけども。MITもMMTもどちらも似たようなものと思ったのかもしれない)。典型的なMMT派であればこのふたつの質問にどのように答えただろうか。そのほとんどはその他の経済学者とまったく同じように答えたに違いない。そうであれば,どうしてシカゴ大学ブース校は調査の冒頭にMMTなどと置いたのだろう。いろんな可能性があるけれど,そのどれもブース校にとってはおもしろくないものだ。 [Read more…]

デイビット・アンドルファット「日本のインフレ目標の失敗」(2016年11月29日)

David Andolfatto “The failure to inflate Japan” MacroMania, November 29, 2016


2013年1月22日,日本政府と日本銀行はデフレの克服と持続可能な経済成長を達成するという異例の共同声明を発表した。この声明の目的は2%のインフレ目標を導入することだった。これが共同で発表されたのは,金融当局と財政当局が自分たちの共通の目標を達成するために協調することが期待されることを念押しするためで,新たなインフレ目標の信頼性を強化するという明確な試みだった。

2013年4月4日,日銀はインフレ目標をどのようにして達成するつもりか説明を行った。つまりは量的・質的緩和(QQE)だ。QQEは(ほぼほぼ)標準的な金融政策で,例外だったのは通常の規模よりも大きなものだったことだ。すなわち,銀行預金準備(お金)を創り出し,それが今度は証券,基本的には国債,を購入するのにつかわれるというものだ。

当時,僕はこの政策が意図されたとおりにうまくいくか懐疑的だった。僕の疑念は今になっても薄らいでない。この記事ではその理由を説明しよう。僕の主張を簡単に言えば,日銀はインフレを上昇させようと考えていると思われるけれどもそれを行う力はあまりない,そして政府にはインフレを上昇させる力がある一方でそうしようと考えていないと思われる,というものだ。端的に言えば,必要な政策協調が欠けているように見える。 [Read more…]

デイビット・アンドルファット「賃金が安ければもっと働く」(2018年12月6日)

David Andolfatto, “Working More for Less”, (Macro Mania, December 6, 2018)

先日、労働市場について同僚とおもしろい話をした。会話の中で、彼は労働経済学の授業で教えていたことを話した。もちろん、労働供給の理論を含む重要な授業だ。まず最初に問われる論点というのはだいたい、労働対価(実質賃金)の変化によって労働供給がどれくらい変化すると予測できるのかというものだ。

彼はもう何年も、理論的な考察を始めるにあたって学生たちにある投票を行っていたという。彼はクラスに向かって、何かの職業に就いていると想定するように言う。そして、ある一定期間だけ、賃金が2倍になったと言う。もっと働きたい?(大多数が手を挙げる)。いつも通りの時間だけ働く?(少数が手を挙げる)。働く時間を少なくする?(パラパラっと手が挙がる)。投票が終わると、彼は標準的な労働供給の理論を教え始め、その理論を使って投票結果の解釈をする(代替効果 vs 資産効果)。

同僚はこの投票をもう十年以上実施している。結果はいつも同じだ(なんて素晴らしい)。 [Read more…]