美女を目にすると、男性たちは合理的な思考ができなくなるらしい。
美女の写真を見せられた男子大学生たちは、近視眼的になったという。大きな利益を得るためにしばらく待つよりも、目先の利益を優先しがちだったというのだ。
被験者に選ばれたのは、マックマスター大学で学ぶ男女の学生たち。総勢209名の学生たちに魅力度の異なる異性の写真――ウェブサイトの「Hot or Not」から借用した写真――を見てもらった後に、二つのうまい話のどちらに乗るかを選んでもらったという。一つ目のうまい話は、15ドルから35ドルまでの間のいずれかの金額が明日手に入るというもの。二つ目のうまい話は、50ドルから75ドルまでの間のいずれかの金額が将来のいつかの時点（7日後から236日後までの間のいずれかの時点）で手に入るというもの。
実験を行ったウィルソン（Margo Wilson）＆デリー（Martin Daly） の二人によると、平均点（平均的な魅力度）の女性の写真を見せられた男子学生たちは、将来の利益を「合理的」なかたちで割り引く傾向にあったという。その一方で、美女（魅力度が高い女性）の写真を見せられた男子学生たちは、将来の利益を「合理的とは言えない」かたちで割り引く傾向にあったという。割引率が高まって（近視眼的になって）、二つ目のうまい話（しばらく待って大きな額のお金を得る）よりも一つ目のうまい話（明日にでも少額のお金を得る）を選びがちだったというのだ。
それとは対照的に、女子学生たちは、ハンサムな男性の写真を見せられても平均点（平均的な魅力度）の男性の写真を見せられても、変わらずに合理的な決定を下す傾向にあったという。
とある生物学者によると、魅力的じゃない男性ほど効果が強く表れるんじゃなかろうかとのこと。魅力的じゃない男性ほど、伴侶を手に入れるためにより大きなリスクをかけないといけない（目先のチャンスを大事にしないといけない）からというのがその理由だという。ちなみに、既婚男性が魅力的な若い女性と同じ職場で一緒に働いていると、愚かな賭けに出る――同僚の若い女性との愚かしい情事に手を染めて、離婚に至る――可能性が高まることが知られている。詳しくは、こちらの論文（pdf）を参照されたい。
私見を述べさせてもらうと、仰（おっしゃ）る通りなんだろうと思う。ただ、ポルノを規制したり、社会の風紀を引き締めたりするのを正当化する根拠として使われちゃうんじゃないかという一抹の不安もないではない。いつかまた馬鹿げたことを仕出（しで）かしてしまったら、妻のせいにしようと思う。妻が美人なのが悪いんだって。
（追記）こちらのエントリーで愉快なコメントが加えられている。
〔原文：“Beautiful women and rational thought”（Marginal Revolution, December 10, 2003）〕
