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サイモン・レン=ルイス「メディアと緊縮への態度」

[Simon Wren-Lewis, “The media and Attitudes to Austerity,” Mainly Macro, April 1, 2018]

まだ経済がまったく景気回復のきざしを示していなかった2010年からイギリスで導入された緊縮政策のとくに重要な特徴のひとつは、人気を博していた、という点だ。それどころか、連立政権が実際に緊縮政策を実施に移す段階になって、多くの人はかつての労働党政権を非難しているらしかった。財政赤字は労働党が政権にあった時期に増えていたから、というのがその理由だ。
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サイモン・レン=ルイス「財政規則: 政治と経済」(2014年6月)

[Simon Wren-Lewis, “Fiscal rules: politics and economics,” Mainly Macro, June 21, 2014]

ジョナサン・ポーツと私が執筆した記事が『プロスペクト』誌に掲載されている。財政規則に関する私たちのディスカッションペーパー(これこれを参照)を短く要約した記事だ。このポストでは、この論文を使って、政治と経済の相互作用について2点ばかり所見を述べたい。
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サイモン・レン=ルイス「産出ギャップはもはやインフレ圧力の十分な統計ではない」

[Simon Wren-Lewis, “The Output Gap is no longer a sufficient statistic for inflationary pressure,” Mainly Macro, March 23, 2018]

予算責任局 (OBR) による最新の予想にはいくつか特徴があるが,そのひとつは,持続可能な水準より少し高いところで経済が回っている(プラスの産出ギャップ)と信じているところだ.ここでいう持続可能な水準とは,インフレを一定にする水準を言う.この仮説がどれほど異様か理解するには,下記のチャートを見てもらうといい.たぶんこのブログをはじめてから一番よく掲載したチャートの最新版だ:
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サイモン・レン=ルイス「世代間の再分配」

[Simon Wren-Lewis, “Redistribution between generations,” Mainly Macro, October 24, 2014]

経済学でありがちな誤解に関するシリーズをはじめなくてはいけないようだ.(ゾンビ映画は見ないものでね.) そういう誤解のひとつに,中央銀行のバランスシートは通常は重要だというものがあるけれど,前回のポストのこのコメントがいい仕事をしてくれている.さて,かなり頻繁にでてくる誤解にこういうものがある――政府債務には世代間の再分配は関わっていない,という誤解だ.世代は重複するということがわかれば誤解ははっきりする.
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サイモン・レン=ルイス「経済学における諸派分立の危うさ:現代金融理論 (MMT) の場合」

[Simon Wren-Lewis, “The dangers of pluralism in economics: the case of MMT,” Mainly Macro, March 1, 2018]

現代金融理論 (Modern Monetary Theory; MMT) は、経済学の「学派」だ。「学派」で私が意味しているのは、MMT が主流からみずから分離している、ということだ。いろんなアイディアの集合としての MMT には好きな部分もたくさんある。主要な安定化ツールとして財政政策と金融政策のどちらを使うべきかという重要問題については――私個人は〔金利の〕下限にないときは金融政策に向かうべきという主流の見解をとるものの――いつでも開かれているべきだと思うし、金融政策の方が必ずすぐれているととにかく決めてかかる主流経済学者が多すぎる。それに、ある種の「雇用保証」タイプの方式のアイディアには魅力を感じている。また、銀行システムが需要をつくりだすために有している自律性がどれだけあるか主流が認識できていない場合がよくある〔のも彼らが指摘するとおりだ〕。なんならもっと続けてもいいけれど、要点はもうおわかりだろう。この結果、私はおそらくたいていの主流派経済学者よりも MMT のいろんなアイディアに首をつっこもうとしてきた。
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サイモン・レン=ルイス「イギリス右派系新聞の影響力」

[Simon Wren-Lewis, “The persuasive power of the UK right wing press,” Mainly Macro, February 23, 2018]

「政権をとれたのも、ああして権力を使えたのも、ラジオなしには不可能だっただろう」――ヨーゼフ・ゲッペルス

イギリスの党派的な右派系新聞(『メール』『サン』『テレグラフ』)擁護論の第一陣は、「ああした新聞はどうということもない」という言い分だ。右派系新聞が表明している意見やおいかけている新聞報道は、たんに読者たちの意見・関心を反映しているにすぎない、というわけだ。アメリカのフォックスニュースに関しては、これはたんに事実でないという明快な証拠がある。ここで述べているように、フォックスニュースの生産するおよそ真実とかけはなれたニュースは、みずからの説得力を最大限に大きくすべく意図されている。オバマはこの点をなかなか明快に要約してこう言った――もしもフォックスニュースの視聴者だったらじぶんに投票しなかっただろうね。
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サイモン・レン=ルイス「2004年に労働党が EU移民について下した決定は間違いだったか」

[Simon Wren-Lewis, “Was Labour’s decision on EU immigration in 2004 a mistake?” Mainly Macro, March 6, 2018]

当時新たに EU に加盟したばかりだった東欧・中欧のA8諸国の人々が2004年から自由にイギリスに出入りできるようにする決定をかつて労働党政権が下した。他の加盟国の大半は、こうした A8諸国との間での自由移動が許される時点を遅らせた。その結果として、ポーランドその他の国々からの移民の大量移入が2004年からはじまることになった。
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サイモン・レン=ルイス「右派権威主義政権への道」

[Simon Wren-Lewis, “A road to right wing authoritarian government,” Mainly Macro, March 18, 2018]

ヤン=ヴェルナー・ミュラーのポストに触発されてこのポストを書いている.ポピュリズムに関するミュラーの考えについては,前に話題にしたことがある.今回のポストでは,ポピュリスト政治家を選出する有権者よりも政治家たちそのものに関心をそそぐ理由を述べている.ミュラーによれば――
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サイモン・レン=ルイス「イギリス緊縮の経済的・政治的コスト」

[Simon Wren-Lewis, “The economic and political cost of UK austerity,” Mainly Macro, March 3, 2018]

いまイギリスでは、政府の予算が黒字になっている。ジョージ・オズボーンはこんなツイートをしている――「ついにここまできた――めざましい国民の努力のたまものだ。ありがとう。」 なるほどイギリスのマクロ経済の歴史で、めざましい時期が到来してはいる。だが,オズボーンが考えている意味でのめざましさではない。大勢の経済学者が、金利がゼロ下限にとどまっているなかで赤字を削減しようとするのにずっと反対してきたのに、オズボーンはその多数意見をわざと無視した。さて、この「めざましい国民の努力」のコストはいかほどだったのだろう?
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サイモン・レン−ルイス「トランプの財政赤字は問題か?」 (2018年2月16日)

Do Trump’s deficits matter?
(Mainly Macro, Friday, 16 February 2018, by Simon Wren-Lewis)

民主党はトランプと共和党がもたらそうとしている大きな財政赤字に異議を唱えるべきだろうか? あるいは,そうした異議は,2009年の財政刺激を不十分なものとし,それ以後 緊縮をもたらしつづけている共和党の言説のような役割を演じてしまうのだろか? [Read more…]