●Tyler Cowen, “How much fake news is needed to swing an election?”（Marginal Revolution, January 19, 2017）
ハント・アルコット（Hunt Allcott）＆マシュー・ジェンツコウ（Matthew Gentzkow）の二人が、フェイクニュースをテーマにした論文〔最新版はこちら（pdf）〕を書いている。全部はまだ読めていないが、主な結論は以下の通り。
・・・（略）・・・我々が見出した結果をまとめると、次のようになる。(i) ソーシャルメディアは大統領選挙に関する重要な情報源の一つではあったが、他のメディアを圧倒するほどの情報源だったかというと、そうとは言えない。ソーシャルメディアを大統領選挙に関する「一番重要」な情報源に挙げているのは、アメリカ人（成人）全体のうちの14％に過ぎない。(ii) 投票日当日までの3ヶ月の間にソーシャルメディアを通じて流布したフェイクニュースのうち、トランプのイメージアップにつながるフェイクニュース（全部で115件）がFacebookで共有された回数は、合計で3000万シェア。ヒラリーのイメージアップにつながるフェイクニュース（全部で41件）に関しては、その数は合計で800万シェアという結果になっている。(iii) 一人ひとりがどれくらいの数のフェイクニュースを目にした覚えがあるかというと、トランプのイメージアップにつながるフェイクニュースに関しては、成人一人当たり0.92件。ヒラリーのイメージアップにつながるフェイクニュースに関しては、成人一人当たり0.23件を目にした覚えがあるという推計結果が得られている。フェイクニュースを目にした覚えがある人のうちで、その内容を真実と信じ込んでいたのはどのくらいに上ったかというと、半数を少し上回る程度だった。(iv) フェイクニュースが選挙結果を覆せるだけの影響力を持つためには、一つのフェイクニュースに「テレビで流れる選挙広告（CM）36回分」のインパクトが備わっている必要があったろう。
自分へのお薦めの論文だ。
