タイラー・コーエン 「時刻がわからない時計 ~ヴェブレン財は至る所にあり?~」(2008年5月2日)/「ステータスシンボルとしての矯正装置」(2013年1月6日)

●Tyler Cowen, “Markets in everything, Thorstein Veblen edition” (Marginal Revolution, May 2, 2008)


時刻がわからない(針のない)時計の値段はおいくらかというと、30万ドル(およそ3400万円)もするそうだ。

時刻を教えてくれる時計なら誰でも買えるが、時刻がわからない時計を買えるのは目利きのお客だけだ。(針がなくて時刻がわからない時計を発売したメーカーの最高経営責任者である)イヴァン・アルパ氏は、そう付け加えた。

一番のニュースを伝えるとしよう。件の時計は、発売開始から48時間で完売したというのだ。

情報を寄せてくれた Darren Klein に感謝。

(追記)ボルヘス(Jorge Luis Borges)がヴェブレンについて次のように語っていたのを思い出す。「もう何年も前になるが、ヴェブレンの『有閑階級の理論』を何かのきっかけで読んだことがある。風刺作品だと思った。名のある社会学者の処女作だと知ったのは、後になってからだ」。

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●Tyler Cowen, “Signaling markets in everything: fashion braces”(Marginal Revolution, January 6, 2013)


東南アジアの十代の若者たちが100ドルを超える大金を払ってでも手に入れようと群がっているのが、「ブラック・マーケット・ブレース」と呼ばれている偽物の(歯の)矯正装置だ。偽物なので、歯の矯正には使えない。ファッショングッズの一つとしてしか使えない。ステータスシンボル(富と地位の象徴)の一つとしてしか使えない。米国だと、歯に矯正装置をはめているのは、ダサいと見なされるかもしれない。しかしながら、バンコクだとかでは事情が違う。バンコクで歯科に通って本物の矯正装置をはめてもらおうとすると、1200ドル近くはかかる。歯の治療は、普通の庶民には手が届かない贅沢なのだ。それゆえにこそ、東南アジアの一部の地域で矯正装置が思わぬかたちでステータスシンボル(富と地位の象徴)になるに至っているのだ。

全文はこちらDaniel Lippman 経由で知ったネタだ。関連する話として、香港では場所によって駐車場代がかなりの高額にのぼるらしい(同じく Daniel Lippman 経由で知ったネタ)。

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