タイラー・コーエン 「歩き慣れた道は長く感じられてくる?」(2006年2月14日)

特徴蓄積理論と呼ばれている説によると、歩き慣れた道は長く感じられるようになるらしい。同じ道を繰り返し歩いていると、その道の細かいところにまでますます目が向くようになるせいで、その道が長く感じられるようになるというのだ。
画像の出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/26273334

イギリスのマンチェスター大学で教鞭をとるアンドリュー・クロンプトン(Andrew Crompton)教授は、我々の距離感覚がどれくらい正確なのかを知りたいと考えた。

そこで自校の学生に協力をお願いすることにした。学生自治会が入っている大学の建物(A地点)を出発点として、そこからまっすぐ伸びている一本道を歩いていくと到着する場所(B地点)までの距離――A地点からB地点までの距離――がどのくらいあるかを、建築学部で学ぶ1年生から3年生までの学生140人に見積もってもらったのだ。学生であれば何度も歩いたことがある(あるいは、つまずいたことがある)道だ。

結果はどうだったか? その道を歩いたことがある回数が多い学生ほど、距離を長く見積もる傾向にあった。正確な距離は1マイルなのだが、1年生の見積もりの平均はおよそ1.24マイル。それに対して、3年生の見積もりの平均はおよそ1.45マイルだったのだ。この結果をまとめた論文は、Environment and Behavior誌に掲載された。

クロンプトン教授の発見は、その他の先行研究とも一致している。例えば、バーチャル空間での実験で同様の結果を得ている研究がある。・・・(略)・・・

クロンプトン教授の発見は、特徴蓄積理論(feature-accumulation theory)と呼ばれている説を支持する格好になっている。特徴蓄積理論によると、同じ道を繰り返し歩いていると、その道の細かいところにまでますます目が向くようになるせいで、その道が長く感じられるようになるという。 「その道についての詳しい情報が蓄積されるにつれて、距離が長く感じられるようになるわけです」とクロンプトン教授。

全文はこちら。ところで、初めて向かう先を訪れて同じ道を通って戻ってくる時には往路よりも復路の方が短く感じられるんじゃなかったか? 年をとるほど時間が経つのが早く感じられるんじゃなかったか? 上の引用文で言及されている研究と一見すると矛盾しているようだが、「他の事情を一定」に保てば矛盾も解消されるのだろう。とは言え、私の主観的な時間を刻む時計は混乱中と白状しなくてはならない。情報を寄せてくれた(相変わらずの切れ者ぶりの)www.geekpress.com に感謝。


〔原文:“More familiar walks seem longer”(Marginal Revolution, February 14, 2006)〕

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