読んでいて悲しくなった。
爆弾(街中で爆弾を隠し持っている人物)を早めに発見するのは、裏目に出る可能性がある。人間が盾の役割を果たすという陰惨な事実のために。「『群衆のサイズ』と『破片の飛散防止』の間にはトレードオフの関係があります」とカプラン教授は語る。大勢が密集している場所で爆弾が爆発すると、多くの人が危険な目に遭うことになるが、「爆弾の付近にいる人の数が多くなる――群衆のサイズが大きくなる――につれて、爆弾の破片が飛んできて被害に遭う確率が幾何級数的に(急速な勢いで)低下するのです」とカプラン教授 [1]訳注;カプラン(Edward H. Kaplan)の発言の根拠になっているのは、以下の論文。 ●Edward H. Kaplan and Moshe Kress (2005), “Operational effectiveness of … Continue reading。(爆弾が早めに発見されて、「逃げろ!」という警告を耳にした)群衆がその場から散り散りに逃げると、爆弾テロ犯の近くにいて(兵士が身を挺して手榴弾に覆いかぶさる時のように)爆弾の破片を体で受け止める人の数が少なくなるため、破片が飛散する距離が長くなる。爆弾テロ犯からいくらか離れた所にいる人たちに破片が直撃する可能性がある。爆弾の破片が飛散する距離が半径5フィート以内の時よりも半径20フィート以内の時の方が、死傷者の数が多くなる可能性があるのだ。・・・(略)・・・その場に伏せたとしても同様の効果が生じる。その場に伏せたら破片がぶつかる面積を減らせるが、それと引き換えに人間の盾が少なくなる。爆弾が爆発した時に500個ないしはそれ以上の破片が飛び散ると想定すると――イスラエルで起きた爆弾テロの典型的なケースだと、爆弾が爆発した時に1000個の破片が飛び散っている――、その場にいる人たちが「身を伏せる」おかげで死傷者の数が(減るのではなく)増える可能性があるというのだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の2005年7月8日付の記事――執筆者は、シャロン・ベグリー(Sharon Begley)――からの引用だ。
〔原文:“Neither run nor duck?”(Marginal Revolution, July 10, 2005)〕
References
↑1 | 訳注;カプラン(Edward H. Kaplan)の発言の根拠になっているのは、以下の論文。 ●Edward H. Kaplan and Moshe Kress (2005), “Operational effectiveness of suicide-bomber-detector schemes: A best-case analysis”(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, vol. 102, pp. 10399-10404) |
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