「エアコンの温度に対する性差」について取り上げている記事がまたもや目に留まった。
北アメリカのオフィスでは、冷房の設定温度が女性からすると低すぎるというのだ。女性社員はデスクで震えているが、男性社員はへっちゃらだというのだ。
環境へも深刻な影響を及ぼしている。冷房の設定温度が低すぎて耐えられないほど寒いので、7月だというのに小型ヒーターをつけている女性社員がいるのだ。エネルギーが無駄遣いされているのだ。
エアコンが使用されている室内の温度に対して性差(男女で感じ方に違い)が生まれるのは、なぜなのか? 服装――女性は、夏場にライトコットンのワンピースを着がち――だったり、女性の基礎代謝の低さ――女性は、男性と比べると、エネルギーの燃焼速度が遅いため、同じ温度でも寒く感じる――だったりに原因が求められがちだ。ビルの空調システムの設計も一因になっている――設定温度を高くすると、効率が悪くなる仕組みになっている――のかもしれない。
別の理由もあるんじゃなかろうか。メディアの記事で言及されずにいる理由。女性が働いているオフィスは、男性が働いているオフィスよりも寒いんじゃなかろうか(この可能性を指摘してくれたのは、知り合いのロナルド・パリスだ)。
典型的なオフィスビルでは、南向きの大きな窓があるオフィスが一番暖かい。それとは反対に、太陽光で暖められる機会がほとんど(あるいは、まったく)ないオフィスが一番寒い。ビルの内部にあるオフィスだとか、北側に面したオフィスだとかだ。南向きの大きな窓があるオフィスで働いているのは、誰だろうか? 私が働いている大学でいうと、主任教授だとか、学科長だとか、理事だとか、副学部長だとか、学部長だとか、副学長だとかが、南向きの大きな窓があるオフィスの主であることが多い。その一方で、ビルの内部にあって窓がないオフィスで働いているのは誰かというと、事務職員たち(その多くは女性)だ。
少なくとも、私の職場ではそうなっている。同じような経験の持ち主はいないだろうか?
〔原文:“Or perhaps women’s offices actually are colder?”(Worthwhile Canadian Initiative, August 03, 2015)〕