アレックス・タバロック 「ルーズベルトと大恐慌」(2003年11月8日)

ルーズベルト大統領がやったことはどれもこれもが悪手だったというわけじゃないが、多くは悪手だった。中でも最大の悪手だったのが、ルーズベルト大統領がビジネスに敵対的だったせいで「不確実性」が生み出されたことだ。
画像の出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=25412714

(ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記者である)コンラッド・ブラック(Conrad Black)がショックを受けているのに、かえってビックリだ。

ケイトー研究所のジム・パウエル(Jim Powell)が新著――『FDR’s Folly』――で述べている(ロバート・バートリーの最近のコラムで好意的に引用されてもいる)ところによると、フランクリン・ルーズベルト大統領は大恐慌を長引かせたというのだ!

言うまでもないが、パウエルの言う通りだ。ストライキが頻発していて大量失業が発生している最中に、ストライキや賃上げを図る労働組合の力を強化したらどうなるか想像してみるといい。全産業を対象に公認のカルテル化を推進して価格の吊り上げと生産の縮小を図ったら景気が上向くだろうと考えて、その考えを実行に移したとしたら(カルテル化に踏み切ったとしたら)どうなるか想像してみるといい。ルーズベルト大統領がやったことはどれもこれもが悪手だったというわけじゃないが――例えば、禁酒法を廃止した。税収(酒税)を増やすためだったけれど――、多くは悪手だった。中でも最大の悪手だったのが、ルーズベルト大統領がビジネスに敵対的だったせいで「不確実性」が生み出されたことだ――この点については、例えば、ロバート・ヒッグス(Robert Higgs)の研究――とりわけ、こちらの論文――や、歴史家のゲイリー・ベスト(Gary Dean Best)の見過ごされた古典である『Pride, Prejudice and Politics』を参照されたい――。 実業家たちは、ドイツやイタリアで起きたような体制の転換がアメリカでも起きるのではないかと恐れた。それももっともだったが、そのせいで企業による投資(設備投資)が落ち込んだまま回復しなかったのである。極端に聞こえる? 大統領に就任してから初の演説で、ルーズベルト本人が次のように脅している(約束している)のだ。

・・・(略)・・・前へ進むためには、我々は訓練された忠実な軍隊として行動せねばならない。共通の規律のために犠牲も厭わないつもりで。さもないと、進歩も遂げられず、指導力も効果を発揮し得ないからである。我々には、共通の規律のために己の生命と財産を差し出す用意も覚悟もあるはずだ。それと引き換えに、より大なる善を叶えるための指導力を発揮し得るようになるからである。・・・(略)・・・我が国が抱える共通の問題に規律をもってぶつかるために、アメリカ国民という偉大な軍隊を指導する役割を躊躇することなく引き受けるつもりだ。・・・(略)・・・議会がこれら2つの道のどちらも選ばず、国家の非常事態が依然として続くようなら、決して逃げずに全うするつもりだ。私が果たすべき明確な責務を。その時は、議会に要求するだろう。・・・(略)・・・我が国が外敵によって侵略されたとしたら私に与えられるのと同等の力(権限)を。


〔原文:“Roosevelt and the Great Depression”(Marginal Revolution, November 8, 2003)〕

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