真実を探求するのが学者で、真実が自明なのが活動家だ。活動家は、問う(あるいは、問われる)のを好まない。議論するのを好まない。独自の研究を好まない。レヴィット(Steven Levitt)のチャイルドシートの効果に関する研究(pdf)に対して、フィラデルフィア小児病院に籍を置く二人の活動家であるデニス・ダービン(Dennis Durbin)&フローラ・ウィンストン(Flaura Winston)が寄せているコメントをご覧あれ。
レヴィット&ダブナーの二人が下している結論は、チャイルドシートの着用に支持を与えている既存の科学的なデータと著(いちじる)しく食い違っているだけでなく、無責任かつ危険でもあるというのが我々の意見です。・・・(略)・・・レヴィット&ダブナーの誤解を招くような記事が子供の命を犠牲にする事態を生まないことを祈るばかりです。
これは科学とは言えない。脅しだ。我々(我々の研究)に疑問を投げ掛けるのは、子供を危険にさらすのと同じだぞと迫っているのだから。 さっさと引っ込め。さもないと、お前たちを怪物に仕立て上げて成敗するぞ・・・というわけだ。
真実の探求に興味を持つ学者との姿勢の違いを比較してみるといい。
僕にとって何よりも不思議だったのは、医学方面の研究だと、子供がチャイルドシートを着けてたら(車が事故に遭った時に)怪我を70%(!!)も減らせるっていう結果がちょくちょく得られているのに、僕やヒートン(Paul Heaton)の研究だと、チャイルドシートには怪我を防ぐ効果がほとんどないっていう結果が得られているのはどうしてなんだろうってことだった。僕たちの研究で見出されている効果(チャイルドシートが怪我を防ぐ効果)は、桁違いに小さいのだ。まるっきり違う手法が使われている――医学方面の研究だと、車が事故に遭ってから数週間後に当事者に行(おこな)った聞き取り調査の結果が使われている――のが関係しているのかもしれないけれど、謎は解けないままだ。僕の論文を読んでもらったらわかると思うけど、得られた結果の解釈にものすごく慎重になっているのは、謎が解けずにいるからなんだ。
別々の手法を使って得られた結果が食い違っているのはなぜなのかという重要な謎を解く鍵を掴(つか)むために、医学方面の研究者たちとヒートンと僕が一緒に協力できたらいいなあと願っている。
レヴィットは、私の助けなんていらないだろう。彼にとっては、データがいつでも最強の味方なのだから。
〔原文:“Scholars versus Activists”(Marginal Revolution, July 25, 2005)〕