●Alex Tabarrok, “Why Do We Kiss?”(Marginal Revolution, February 14, 2016)
キスは、未来の伴侶(結婚相手)を探す手助けをしてくれる。特に女性は、付き合いはじめの段階で交わされるキスに重きを置く。唾液にはホルモンや化合物がたっぷり含まれていて、相手が未来の伴侶にふさわしいかどうかを「化学的」に見定めるヒントを与えてくれる可能性があるのだ。
・・・(略)・・・ある試算によると、男女がキスをしている最中には、9ミリリットルの水分、0.7ミリグラムのたんぱく質、0.18ミリグラムの有機化合物、0.71ミリグラムの脂質、0.45ミリグラムの塩化ナトリウム、1000万~10億匹のバクテリア(細菌)が(唾液を介して)交換されるという。
相手との「最初のキス」が未来の伴侶を見定める上での決め手になると答えがちなのは、男性よりも女性だ。「生物学的」には相性がいいのに、相手のキスが下手だと感じられたとしたら、どうなるのだろうか? ブウォダルスキ(Rafael Wlodarski)教授は、「生物学的な相性」と「キスの感想」を切り離すのは難しいと指摘しつつ、次のように語る。「あくまでも推量でしかありませんが、相手の口の臭いが合わなかった――「生物学的」に相性がよくなかった――ので、キスが下手という感想を持つのかもしれませんね」。女性は、男性よりも、伴侶選びに慎重にならねばならない理由がある。伴侶選びでヘマをしてしまった場合のコストが女性の方が大きいからだ。赤ん坊を身ごもらねばならないのは――それも、9か月にわたって――、女性の方なのだ。
・・・(略)・・・舌も絡ませながら口づけを交わすというのは、あらゆる文化に共通の行為というわけではない。ブウォダルスキ教授によると、現代の西洋に特有の――おそらくは、2000年くらいの歴史しかない――風習らしい。2015年に公けにされた研究によると、性的な行為として口づけが交わされているケースは、調査対象となった文化の半分にも満たないことが見出されている。
過去においては――少なくとも、文字として記録が残っている範囲で言うと――、お互いの顔や鼻をこすりつけたり、近寄ってお互いの匂いを嗅ぎ合ったりするのが、キスに相当する行為だったようだ。ヴェーダ語で書かれた古い文書では、口づけは相手の魂を吸い取る行為として記されている。
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