特許制度にとって特許トロールが根本問題ではないワケについてブログを書くつもりだったけど,ティモシー・リーがとりあげてくれてる:
トロールは特許制度にとって主たる問題ではない.トロールは,たんに議会が対処する意欲を持ち合わせている問題でしかない.特許制度の主たる問題は,なんというか,特許制度なのだ.この制度では,広範におよぶあいまいな特許をあまりにやすやすと取得できてしまう.しかも,訴訟プロセスはあまりにも原告有利に傾いている.だが,あれほど多くの大企業が特許制度からあれほどの大金を得ているために,もっと広範な改革を考えようという意欲を持ち合わせた人物は議会にほとんどいない.
近年の例はマイクロソフトだ.同社は4万件以上の特許を保有し,伝えられるところによれば,Androidスマホを販売する企業からの特許ライセンスで年間数十億ドルを得ているという.といっても,マイクロソフトの Winndows Phone ソフトウェアをグーグルがコピーしているのを捕捉されたという話ではない(Windows Phone は消費者にあまり受けていないし).そうではなくて,特許の審査基準が低いために――とくにソフトウェアに関しては低いために――マイクロソフトは携帯端末 OS によくある特徴に関してものすごい数の特許をまとめて主張できるようになっているのだ.マイクロソフトが積み上げている特許の山はあまりに巨大で,そのどれか一部に抵触することなしに携帯端末 OS をつくりだすのは実質的に不可能だ.そのため,マイクロソフトは同社よりも小規模でずっと革新的な企業に特許費用を払えと要求できる.》
(…)事実上,特許制度はイノベーション税として機能している.いま現在まさに首尾よい技術をつくりだしている企業から10年も前に多数の特許を取得した企業に富を移転するという税になっている.
もっと根本的な変更としては,特許にさまざまな期間を選択できるようにする手があるだろう.つまり,3年,7年,20年といった期間を用意し,その一方で,3年有効な特許はすぐに認められるけれど20年有効な特許だと非自明性(進歩性)や先行技術などに関して高いハードルを越えることが求められるようにする手がある.ぼくの論文「特許理論 vs. 特許法」を参照 [PDF].
特許に関するぼくの動画をみてもらうと,手っ取り早くてたのしく基本を知ってもらえる.