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タイラー・コーエン「どうして都市の成長に限界があるんだろう?」

[Tyler Cowen “Why don’t cities grow without limit?,” Marginal Revolution, January 1, 2018]

言い換えると、「アトランタやロサンゼルスになにもかも放り込んでしまわないのはどうしてだろう?」 ポール・クルーグマンがこの話題についていいブログ記事を書いている。

(…(かつて、あちこちに農地が散在していたことで、田舎の後背地に仕える小都市が生き延びていた。ところが、数世代を経て、いまのぼくらが暮らす経済では、小都市はひとえに歴史的な幸運まかせになっている。そして、その幸運はやがて底をつきがちだ。

クルーグマンが言うには、均衡にいたるまでのプロセスは長く緩慢なものではあってもやがて小都市は姿を消していく。クルーグマンが言っている論点はどれも基礎がしっかりしているけれど、多くの人たちの予想をこえる規模で小都市が存続するようはたらく要因がわずかながら思い当たる:

1. アレックスがTwitterで指摘しているように、〔小都市の方が〕賃貸料は長期にわたって安上がりになるし、大都市の居住環境をあまり評価しない人は多い。

2. 交通の混雑は低下していきそうだ。〔都市の規模に〕比例して道路が多くなっているのに大都市の交通渋滞がわるくなるのはどうしてだろう? その話をするにはあらためてべつに記事を書かないといけないかもしれないけれど、問題の一部は大規模都市の *内部* での地理的特化にある。これは、たんに小都市どうしがよりそって並んでいるのとはちがう。つまり、大都市のこちらの端っこからあちらの端っこへとはるばる車を飛ばさないといけないことがときどきあるということ。地理的特化を好まず、それより小さな繁華街やウォルマート(あるいはAmazon)でほぼなんでも揃う方がいいという人は多い。この観点から見ると、アマゾンは小都市よりも大都市に有利にはたらくかもしれない。大都市に暮らしていて、しかじかの種類のモノを買うには街の反対側まで行かないとならないのはうっとおしいというなら、自宅でくつろぎながらオンラインでそういうモノを注文すればいい。

3. とても大きな都市では行政が悪化するかもしれない。さらに、大都市内部で地理的に特化した各地に対応する個別の特化したロビー団体が悪影響をふるうかもしれない。メガ都市行政の公共選択に関する論文に、こういうのがある

4. とても大きくて豊かで有名な都市は、金融の中心地になったり、ことによると映画撮影の中心地になったりしがちだ。金融や映画撮影は、都市の全住民の利害関心ではない。その一部は賃貸料の問題だし、また別の観点では文化とエートスの問題だ。都市の規模が大きくなると匿名性も高まるし、(おそらく)いろんな相手と性的な活動を行いやすくもなる。もっと小さな場所だと、見せかけだけの順応のそぶりや本当の順応も増えるだろう。そちらの方が好ましいという人たちもいる。大都市でありとあらゆる専門特化のさなかに暮らすのをのぞまない人たちがいることは、こうした比較をするときに重要かつ永続的な要因となる。

5. 輸出で成功しようと企業をつくろうとしている人は、最初から大都市に会社を置く方を好むはずだ(「のちの規模を見越してはじめる」(built to scale) というやつだ)。すると、そうすることで価格が上がり、輸出にそこまで関心のない企業や人々がはじかれるようになりやすい。大都市はますますグローバル志向を強めるようになる。誰もがそうした都市に〔会社をかまえるために〕お金を払おうとはしないし、いやいっそ価格ゼロでもそういう都市は遠慮するという人もいるだろう。

6. もし給与全額に50パーセント分を上乗せした条件でフェアファックスから(10〜20マイル離れた)ワシントンDCに移住しないかと申し出を受けたとしよう(ただし給与額は〔実質ではなく〕名目。あらゆる財とサービスについて実質額でこの比較をやると肝心の場所のちがいが消え去ってしまう)。ぼくならこの申し出は断る。

7. 小さな都市は非金銭的な居住環境を消費するのに慣れているという事実から、その住民はパッと見よりも多様かもしれないのがうかがえる。GDP からサービスへの転換はこの多様性をさらに強める。この新たな準-小都市の苗は、製造業にたくさん依存していた旧来の小都市よりも〔いろんな変化に対して〕復元力が強いかもしれない。

8. 目だった傾向が長らく続いている。それは、より温暖で晴れ空の多い地域への移住だ。それで、たとえばロチェスターやフリントは衰退が進む一方で、チャタヌーガやバーミンガムは隆盛を続けている。ぼくの予測では、南部で長く過ごすほど、小都市・中規模都市についていっそう楽観的になりそうだ。

9. 都市規模の費用と便益に関する Duranton & Puga の論考はこちら。規模の限度としての複雑性に関する McKinsey の短い文章はこちらを参照。ゲームの『シヴィライゼーションVI』における都市規模の議論がこちら


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